ついにくるべきものがやってきました。アップルからゲーム業界への挑戦状です。
アップルのイベントでPhil Schiller氏は「これら(ニンテンドーDSとPSP)が出た当時はクールだったみたいだが、一度iPod Touchでゲームをするなら”これ、そんなにクールじゃないだろう”と思うだろう」と発言。また、スティーブ・ジョブズ氏は「当初iPod Touchをどのように売ればいいのか分からなかった。電話機能のないiPhoneなのか、それともポケットコンピューターなのか。結局は顧客が我々に教えてくれた。彼らはiPod Touchをゲーム機と見なしはじめたんだ」と語りました。
iPhoneやiPod Touchでゲームが充実し始めてから、新たな携帯ゲーム機としての動向が注目されるようになりました。アップルがゲーム業界のライバルになる……これは常々いわれていたことですが、その日がついにやってきたのかも知れません。
任天堂はiPhoneをライバル視するというよりは別物であるとするスタンスを見せてきました。岩田聡社長は「慎重にiPhoneユーザーとDSユーザーを考えたときに、確かに被る部分はあるものの、そう大きいかと言うと、決してそうではないという結論になると思います」と発言。任天堂オブアメリカ(NOA)のDenise Kaigler氏は「我々はゲーム会社であり、iPhoneを脅威と見ていない」とコメントしています。対決する、共存共栄を図っていく……というよりはフィールドが違うため対決を避けてきた、そんな印象です。
しかしアップル側はやる気まんまんのようです。先のSchiller氏の発言はハッキリとiPhoneとニンテンドーDS&PSPを比較していますし、会場ではiPhone、ニンテンドーDS、PSPのゲーム及びエンターテイメントソフトの数を比較し、iPhoneの優位を示すグラフも提示されたといいます。
ジョブズ氏はニューヨークタイムズのインタビューに対し、一つの目的のために作られたデバイスには利点があるものの、最終的には多目的の用途に使えるデバイスが勝利するとコメントしています。ポケットコンピューターとして使え、更にゲームもできるiPod Touchはジョブズ氏のいう多目的用途のデバイスというわけです。
任天堂はニンテンドーDSで“ゲームは脳を鍛えたり英語力をアップさせたりすることにも使える”と提唱、ヒットを飛ばしました。純然たるゲームもできるし、学習もできる。これはある意味多目的化であり、そうした意味ではiPod TouchとニンテンドーDSは真っ正面から衝突する品となります。
ニンテンドーDSが受けたもう一つの要因を見てみましょう。それは原点回帰的なゲームを問うたことであり、ニンテンドーDS自身の操作もシンプルで分かり易いものとなっています。ゲームの変更はカートリッジを差し替えることで行われますし、ゲームのセーブデータもニンテンドーDS本体ではなくカートリッジ側に記録されます。ファミコンから受け継がれてきた親しみ深い方式であり、ニンテンドーDSの機能のみを使う(DSiウェアを使わない限り)のであれば、記憶容量の残りやネットの接続環境などハードウェア的な部分を気にする必要はありません。最初に時刻やユーザーネームの設定を終えれば、その後は手続き的な部分がなく、コンピューターの一種を扱っているということを意識せず遊べるのがニンテンドーDSなのです。ここには、一つの目的のために作られたがゆえのシンプルさが存在します。
そう考えると、岩田社長の「ニンテンドーDSとiPhoneでは被る部分はあるが大きくない」という発言は本質を現している気がします。ニンテンドーDSのシンプルさはガジェット的なものを好む人には物足りないかも知れませんが、そのシンプルさこそを必要としている人々もいるのです。
それでも対決が避けられないというのであれば、鍵となるのはソフトウェアの質でしょう。
これは誰にでも分かり易い図式です。ニンテンドーDSとiPhoneで被るジャンルのものが多く出てきた時、それが対決のスタートということになります。果たしてゴングはいつ鳴るのか、今は静観するしかないようです。
《水口真》
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