■Wiiリモコンプラスを準備!
本作はゼルダシリーズ25周年の記念すべきタイトルとしてちょうど1年前の2011年11月23日に発売されました。プレイするにはWiiリモコンプラスが必要なので持ってない方は事前にご購入を!Wii U専用ソフトでもプレイ内容よってはWiiリモコンプラスが必要になるので用意しておいてソンはありません。
(※編集担当:Wiiモーションプラスを装着したWiiリモコンでもOKですが、やや縦長になるのでちょっとやりにくいかも?)
■今回は「空」!
全体的なストーリーは『ゼルダの伝説』の“はじまりの物語”。初めてゼルダをプレイする人も十分に楽しめる内容となっています。これまでのゼルダはシリーズごとにさまざまな乗り物と世界が待ち受けていましたが、本作はタイトルに「スカイ」と入っている通り、舞台は空! 主人公のリンクは空に浮かぶスカイロフトを拠点にし、ロフトバードという巨大な鳥に乗り大空を自由に飛び回り、地上へ下りて様々なダンジョンを冒険します。リアルとデフォルメの中間の、やわらかい水彩画のようなビジュアルで描かれており、空のイメージと相まってとても爽やかな世界観です。
■3つのエリアを繋ぐ空
本作は主に3つの地方を探索することになります。これまでのように陸続きではなく、それぞれの地方へは空から落下して訪れます。陸地を自由に走り回る爽快感にはやや欠けまが、ストーリーの進行に合わせて行動できるエリアが広がったり、状況が変化したりするので、まったく同じところを行ったりきたりするわけではありません。
地上には様々な種族が存在していますが、集落が存在するわけではなく、地上はまさに“未開の地”。リンクにとって空が唯一安らげる場所。ここに帰ってくるとホッとします。
■Wiiモーションプラスによる新しいアクション
本作はWiiモーションプラスによってより直感的なアクションが可能になりました。剣の振りはリモコンを動かす事で可能。リモコンを左右に振れば剣も左右に振れ、リモコンを突き出せば突き攻撃をしかけます。前作『トワイライトプリンセス』では「Z注目」をすれば同時に盾でガードした状態になりましたが、本作ではヌンチャクを手前に出す動作をすることで盾を構える仕様になっています。敵の攻撃を受け止めるために踏ん張る感じですね。リンクの持つ剣と盾がヌンチャクとWiiリモコンプラスに完全にシンクロしている感覚です。まるで自分がリンクになった気持ちでプレイすることができます。
■アクションは体で覚えろ!
また、Wiiモーションプラスのアクションはアイテムにも適応されており、おなじみの爆弾ならリモコンを振って投げ飛ばしたり、ボーリングをする感覚で転がしたりと、これまでにない動作を楽しむことができます。本作で登場した新しいアイテム「ビートル」はリモコンの上下左右の操作で動きを制御します。ロフトバードの操作もリモコン操作です。
これらの動作は操作に慣れるまでちょっぴり時間がかかりますが、ゲームを進行させながらじっくりと体に覚えさせていくと次第に爽快になってきます。習うより慣れろ! です。そして一度覚えてしまえば暫く間を空けてプレイしたとしても自然にゼルダの世界に入り込めむことができるようになります。この「ゼルダの世界に帰ってきた」感じが非常に心地よいのです。ちなみに本作をやった後にWii版『トワイライトプリンセス』をやると操作性の変化にほんとうに驚かされます。
■直感的な動作が生みだす新しい戦闘
Wiiモーションプラスによって敵との戦闘も今までと違った感覚になりました。剣を繰り出す先を自在に操れるので、敵のガードの逆をついたり、敵の弱点を見極めて縦に斬ったり横に斬ったりと、ボタンを押すだけでは叶わない攻撃方法を楽しむ事が可能です。ボタン連打のごり押し戦法が通じないので新しい敵と対峙した時は緊張が走ります。ちなみに筆者はこれまでのゼルダシリーズを全てプレイしてきましたが、これまでの“ゼルダの常識”が通じないという感覚に驚かされました。そしてザコ相手にゲームオーバに…(笑)
特に序盤に登場する敵キャラクター「ギラヒム」との戦いでこの操作の楽しさと難しさを同時に知ることになると思います。ボス戦は駆け引きの連続です。これから初めてプレイする方はもちろんのこと、3Dゼルダに触れてきたこれまでのファンにとっても新しい感覚を体感することができると思います。
■謎解きはほどよい難易度
ゼルダと言えばダンジョンの謎解き。これまでの「お約束」な仕掛けから、新しいアイテムによる新しい仕掛けが用意されています。難しい謎もちょっと間を置いて考えたり、遠くを見渡したり、「ビートル」を偵察に出したりすれば解決します。また、本作ではナビゲーターとして剣に宿る精霊「ファイ」が様々なアドバイスを提供してくれるので、迷ったらファイに聞いてみるのもいいかもしれません。操作に慣れが必要な分、難易度はほどよく抑えめな印象です。
■ちょっと怖いゼルダも健在
空を拠点にしたお陰か、『トワイライトプリンセス』ほどのダークな印象が薄れてしまった感のある本作ですが、ストーリーを進行していくと発生する「サイレン」モードはなかなかの恐怖!「逃走中」のような恐怖感と言いましょうか。青白い光に包まれた裏の世界で、表情のない守護者たちが丸腰リンクをつかまえるために襲いかかってくるなんてトラウマもの!爽やかな世界に油断していました。心臓の弱い方はご注意を。
■個性的なキャラクターたち
リンクが拠点とするスカイロフトには様々な人が住み、サブイベントとして住民の色々な悩みを解決していくことになります。また、町には昼と夜が存在し、時間帯によって様々な変化が起こります。このへんは『ムジュラの仮面』を彷彿とさせますね。
リンクはもちろんのこと、幼なじみのゼルダ、同級生のバドなど、ストーリーの進行にあわせてキャラクターたちも成長をしていきます。これまでのシリーズより年相応なリンクやゼルダが見られるのも魅力のひとつです。
■RPG的な要素も
本作ではリンクにスタミナゲージが存在し、走り続けたり剣を振り続けたりするとスタミナが切れて動けなくなってしまいます。ここぞという時に動けない状況というのはスリリング。盾にも耐久度が設定されているのでメンテナンスをしなければ壊れてしまいます。
また、体力回復の薬は調合によって強化することができますが、いくつかの素材が必要になり、素材集めもストーリーと同時進行で進めていくことになります。素材集めはやや難儀しますが、アクションが苦手な人はアイテムを強化する事でカバーすることが可能になりました。己の体力と消耗品の限界を見ながらの探索はPRG要素が強くなった印象です。
<総括>
・本作では空を自由に飛び回ることができ、地上は3つの地域を冒険することが可能。ストーリーの進行によって追加されるマップや変化する景色が楽しめます。
・最も変化した点はWiiモーションプラスによるアクション。剣の攻撃はリモコンの動きにほぼ連動しているのでリンクとのシンクロ率が高くなりました。敵の倒し方もこれまでのゼルダとは全く違うので昔からのファンも新鮮な気持ちでプレイできます。ただし慣れるまでそれなりに時間が必要。
・謎解きはほどほどの難易度で、迷ったら優秀なナビゲーター・ファイに聞けばまず詰まることはありません。通常のダンジョン攻略だけでなく「サイレン」というモードも存在し、ストーリーの合間にスリリングな展開が待ち受けています。
・サブシナリオも充実しており、スカイロフトの個性的な住民たちの生活をしばし垣間みることができます。年相応のリンクとゼルダを見る事ができ、成長して行くさまを体感することができます。
Wiiモーションプラスによるアクションは好みが分かれると思いますが、一度ハマってしまうとこの一体感がクセになります。『ゼルダの伝説』を体で覚える感覚、ぜひWii Uで体感してみてはいかがでしょうか?
『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』は好評発売中。価格は通常版が6,800円(税込)、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード Wiiリモコンプラス(シロ)セット』が8800円(税込)です。
(C)2011 Nintendo
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■著者紹介
みかめゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。
ゲームはジャンル問わずなんでもござれ。難しければ難しいほど燃えるドMゲーマーです。
歴史・ホラー漫画、歴史コラム、イラストなど雑多に活動しています。
サイト「車輪の真上」
http://zwei.lomo.jp/syarin/