プレイヤーはBGMとして流れてくる「ねぶた祭り」の音頭に合わせ青森や北海道の特産品のアイコンが上下から降りてくるので、タイミング良く2つのボタンを押せば青森県がアクションし、北海道をパンチしたり、相手の攻撃をガードしたりします。青森が勝つと青森が大きくなり北海道が小さくなるという、青森を育てるゲームなのだそうです。
このゲームが作られたきっかけは「地名を使ったゲームを作る」という案から始まり「青森は本州最北の地なんだけど、どうしても"北"のイメージといえば北海道になってしまう・・・青森にもいいところがたくさんあるのに」「津軽海峡を挟んで2つで勝負だ」という自由な意見交換からアイデアが広がってこの不思議で個性的な世界観の「アオモリズム」が生まれたとのこと。
言ってしまえばゲームシステムとしては「太鼓の達人」などによく似たリズムアクションゲームですが中村先生と神奈川工科大学のこだわりは「ゲームの操作による爽快感」にあります。ボタンを触った時にゲームがどうリアクションするか、どうレスポンスを返すかが「ちょっとゲームを触ってみたときの楽しさ」に大きく影響するとのことです。
ゲーム開発の現場ではレベルデザインやゲームバランス調整に重きが置かれがちですが「ゲームの操作による爽快感」こそがゲームデザインの本質だと中村先生は主張しており、そのこだわりはこの「アオモリズム」に強く反映されています。
もじぴったんプロデューサーである中村氏は以前開催された自身の「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」でもこの「ゲームの操作による爽快感」を強調しており、それを抽出するための分析シートなども制作していました。
「ゲームの操作による爽快感」を生み出す具体的な施策として、制作においてもっともこだわったのが「青森」「北海道」を生き物のように見せる工夫だそうです。地形を生き物のように動かすために骨構造を地形のアニメーションに入れ、関節を付けたりしているとのこと。
また、操作の爽快感を出すためにどういう変化を付けたかについて伺ったところ勢いよく見せるために手を伸ばした時に関節が余分に伸びるようになっていたり、迫力を付けるために地形がパンチをした時に少し手が大きくなったりしているのとのことです。
これらの事について、関節の伸びや手のアクションを現実味のある数値にしてしまうと「かえってゲームとしての迫力を損ねてしまうケースが多い」と述べました。なので、前述のような「誇張表現」を加えることでゲームの爽快感を確かに、こういった事例はリアルさを追求しすぎスポーツゲームなどにおいてよく見受けられる印象があります。
そうした細かな工夫によって生み出されたゲームの操作による爽快感はゲームの楽しさを決定づける非常に重要な要素だということをこの「アオモリズム」で体験させられました。躍動感ある「青森」と「北海道」の動きは見るものの笑いを誘うこと間違いなしでしょう。
ぱっと見でくだらないと言うなかれ、ゲーム開発に興味のある方は近くを通ったら是非訪れてみてください。ゲーム作りのヒントが得られること間違いなしでしょう。また、中村先生は終日神奈川工科大学のブースにいらっしゃるとのことで、お話を伺ってみることも可能です。また、ブースにおいてある小冊子のCalaboにも中村先生と神奈川工科大学の取り組みが書かれているので、より詳細に知りたい人はそちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。
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