Q:国際的なコラボレーションということで何か特別なチャレンジに直面した?
シェーン:いや。それはありませんでした。MGSはパブリッシャーではあるけれど、こういった開発スタジオ間のコラボレーションが円滑に進めるための手助けをする役割も担っていますからね。
Q:『ブルードラゴン』開発におけるシェーン氏の役割は?
シェーン:僕の役目はMGSを経営することであり、リーダーとして陣頭を指揮することです。でも自分の果たしている役割を多くの人に特に知ってもらいたいと思っているわけではありません(笑)。ゲームビジネスの主役は僕じゃない。主役はゲームタイトルであり、坂口氏といったクリエイターです。彼らがゲームビジネスにとって一番重要なんです。
Q:『ブルードラゴン』以外でこのようにスタジオ間のコラボレーションがおこっていることは?
シェーン:実は、このように技術を共有する事例はあまりありません。ただ、今後もゲーム開発において汎用的な技術はより頻繁に使われるようになると感じています。Unreal Engine3が開発で使われているのが好例です。そのような中で、MGSとして共有できることは、ノウハウだと思っています。これは先ほど説明した『ブルードラゴン』での坂口氏とEnsemble Studioとのコラボレーション以上に一般的に行われてきています。技術の効果的な活用方法などの知識を共有するということです。
Q: 今後もゲーム市場のグローバル化が進むのですが、特定の地域に特化した作品と全世界に向けて開発する作品の割合はどの程度でしょうか?
シェーン:基本的に、特定の地域をターゲットとしたゲームタイトルの開発を進めることはありません。MGSが開発する全てのタイトルはグローバル市場で成功するということを前提に開発を進めています。過去に地域の特殊性に合わせてゲーム開発を進めてきた唯一の地域は日本です。しかし最終的には坂口氏のような優れたクリエイターを招き入れ、日本、アメリカ、ヨーロッパのユーザーにアピールできる、世界で通用するコンテンツを日本から発信しようという方針に変わりました。
Q:では現在、坂口氏以外で「世界に通用するクリエイター」とのコラボレーションを進めているプロジェクトはありますか?
シェーン:これまで過去の歴史を振り返ると日本のクリエイターで世界的に成功を収めた人は数多くいます。MGSでは現在坂口氏とともに優れたタイトルを開発していますが、サードパーティでも『デッドライジング』や『ロストプラネット』、弊社のメディアブリーフィングで話題となった『バイオハザード5』−ちなみにこのシリーズが弊社のコンソール機でリリースされるのは初めてなのですが−を輩出したカプコンのように、日本発のタイトルで世界中で受け入れられる作品は多々あります。ただし開発者個人に関しては、公開済みの情報はまだありません(笑)
Q:では、さらに優れた日本のクリエイターが参加することを期待していいわけですね?
シェーン:既にリリースされている情報としてはありませんよ(笑)