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今の基準で10年後を計っちゃいけない……山口浩氏インタビュー

ブロードバンド推進協議会のシンポジウム「仮想世界の法と経済」が7月21日に迫っています。シンポジウムで『仮想世界による情報の技術、契約の技術、金融の技術の融合』を講演する、駒澤大学の山口浩氏(経営学博士)にお話しを聞きました。

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■広告の意味を変えるインターネットのトレーサビリティ


山口氏: マスの広告では、少なくとも広告を見た人がそれを見て買ったかどうかをトレースできないというところに帰着する。それは広告を見るという行動に使われているそのメディアである『テレビ』などと、リアルでものを買う時に使うリアルなメディアである『道路』や『お店』が紐付けがされていないからですね。

ところがインターネットのサービスですと、それが関連づけできるようになる、トレースができるようになる。だから、これに基づいてお金を払うっていう形式が可能になる、そういうようなことになると思うんです。だから、その意味では、技術的な条件が新しいタイプの契約を可能にしてきた。

あるいはコスト構造も変わってくる。アフィリエイトの例でいくと、広告料として一件の本の販売に13円払いますといっても、現実の取引としては、銀行口座の決済やクレジットカードでは難しい。ところがポイントという形で展開すれば十分可能なわけですよ。そのポイントで買えるものが少なければ、それは単なる値引きクーポンですが、買える範囲が広がってきて日常のかなりの部分をカバーするようになると、もはや単なるポイントではなくなってくる。

コスト構造も、技術的な側面から変わってきたという部分がある。さらに付け加えると、そういう条件が備わってくると人の行動が変わってくる。

つまり技術的な条件が変わってきて、コスト的な条件も変わってきて、そうすると人がものを買う時にどういう行動をするかっていう条件が変わってくる。書評にしても、例えばプロからすると素人の書評なんか誰が見るかいな、と思われてきた。でも、Amazonの書評を見て、人がそれをもとにものを買うようになってきている。ブログの書評から本を買うというのも同じですが、ネットを通じて生活をするということに人が慣れてきたことで、ネットの持つ意味合いが単なる情報のやり取りというところから、変わってきている。

いろんな変化が多分いっぺんに起きているんだと思うんですね。そういったようなものを併せて考えると、今はそれを金融と契約と情報の技術との融合という形でとらえたらどうかなというようなことを考えている、そんなような形であります。

Q: ネットの変化というと、人が情報を出す手段としてインターネットとらえ始めたというのが効いていると感じます。コミックマーケットとかの文化の中では作品評論に一定のニーズがあってアマチュアの評論というものに対するある程度の認知っていうのがあったんですが、送り手も少なかったし、受け取る方もやっぱりすごい狭かったんですね。

山口氏: 同じ趣味の人同士では、コミュニケーションの敷居が低いんですね。インターネットの技術によって、大きく広がるようになってきたというのはあると思います。

Q: 検索エンジンによって、いくつものリンク集を辿らなくても見つけられるようになったというのも非常に大きいですね。



《伊藤雅俊》
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