またプロデュース力を身につけるには、何よりも「ゲームを作ってみることと、遊んでみることが重要だ」という。過去の名作ゲームを遊んでみて、面白さのエッセンスを見極め、それを応用してオリジナルのゲームを制作。できたゲームを他人に遊んでもらって、批評してもらうことが重要というわけだ。ちなみに遠藤氏の最近のお気に入りは、Xbox360で発売された『テストドライブ アンリミテッド』で、オアフ島をドライブするのを日課としており、全車種をコンプリートする寸前だという。
このほか、会場からの「日本には切腹など死をロマンチックに描く文化があるが、ゲームでは直接的な死の描写を避ける傾向にあるのはなぜか?」という質問については、遠藤氏が「歌舞伎と同じで、様式美としての死であったり、滅びの美学などのストーリーは受け入れられやすいが、直接的な描写は需要が少ない。『真・三國無双』シリーズなどのように、雑魚キャラクターをなぎ倒していくような場合では、死に対して重みを持たせない配慮をするのが一般的だ」と回答した。
また「日本と海外でのコラボレートというように、クロスカルチャー開発についてどう思うか?」という質問について、飯田氏は「『真・三國無双』シリーズなどは、中国の豪傑や伝承をゲームの素材に用いており、そこからコスプレ文化が発展するといったように、すでにクロスカルチャー化していると言える」と回答。コンテンツの世界では、作り手と受け手が一つの作品を徹底的に遊び尽くして、新しい作品を生み出すようなパロディ表現も一般的だとした。その上で「ゲームの基本はインターフェースにある」と自説を展開し、「日本のおたくというキーワードを外しても通用するような素材を、ゲーム的なインターフェースで表現するのが夢だ」と抱負を述べた。
一方で遠藤氏も、「日本では最近ローカライズではなく、市場にあわせて内容を変更する『カルチャライズ』という言葉も使われるようになってきている」と回答。カルチャライズがきちんとできる作家なら、クロスカルチャーでもゲームが作れると述べ、『ルミネス』を全米で大ヒットさせた水口哲也氏などの例をあげた。その上で、クロスカルチャーでゲームを作った方がおもしろいのは間違いなく、若いクリエイターほど文化的な障壁は減ってきているので、ぜひ日本でも大ヒットするようなゲームが海外から来て欲しい、と期待を寄せた。
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