IVRCでは団体部門の他に個人部門もあり、会場では4作品が展示された。こちらは作品数が少ないことから、東京予選ですぐに最優秀賞が決定される。
Cycling Colorful Composer
(小岩 亮太/関西学院大学大学院)
昨年出展された「Crossing Colorful」の発展的作品。テーブルの上に時計の文字盤のような棒がくるくる回っており、サイリウムの配置の仕方でさまざまな音が出る。オルゴールのような音楽を、みんなで一緒になって手軽に作曲できる仕組みだ。音と同時に色が弾けて、視覚的にも楽しめる。「絵と音」がうまくリミックスされており、小岩氏曰く「回転寿司を見て思いついた」とのこと。
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老化防止ゲート
(岩岡 純子/東京芸術大学)
門の間を通ると霧状の美容液が噴霧され、同時に赤いサイレンが光って周囲の人に知らせるという作品。「老化防止」がテーマになっており、美容液も乾燥から肌を守るという意味がある。インタラクティブ作品でありながら、体験者には美容液の噴霧がほとんど感じられず、周囲の人だけがサイレンでわかる情報のループがユニーク。コンセプトはハイテク性の追求ではなく、体験者にちょっとだけ楽しくなってもらうことだ。
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Popping-Pump
(藤田 倫太朗/多摩大学)
スクリーン上の映像にノズルを挿し、空気入れで空気を送り込むと、次第に映像が膨らんでいく。最大まで膨らむと、破裂音と共に破裂する映像が表示されるという作品。自動車など膨らんだり、破裂したりしないものが投影される点がミソ。空気入れにはロータリーエンコーダーが設置されており、上下の運動をPCに転送している。スクリーンには紙と布を張り合わて自作したが、像がぼやけるので、材質の向上が課題だとした。
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(右)空気入れの中にはロータリーエンコーダーを装着
Visible/Invisible
(大内農/北陸先端科学技術大学院大学)
漢字の成り立ちを映像で学べるデバイス型の作品。虫眼鏡状のデバイスの裏面にはカメラと赤外線による距離センサーが設置されており、紙に表示された漢字がカメラで認識されると、距離によって漢字の元となった絵や、象形文字、実際の漢字などが6段階に分かれて表示される。映像がパッパッと切り替わるのではなく、間にノイズが入って次第に見えてくるなど、演出面でも工夫がなされている。
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冒頭にも述べたように、昨年に引き続いて今年も最先端のインタラクティブ作品を集めた展示会「インタラクティブ東京」を開催。また「デジタルアート展」も併催され、全30点が展示された。さすがに技術や完成度の点では、IVRCとは比べものにならない作品ばかりだ。もっとも、この中には昨年度IVRCで岐阜VR大賞を受賞した「ビュー・ビュー・View」と、各務原市長賞に輝いた「CoGAME」も含まれている。この2作品は本年度の米シーグラフで入賞しており、存在感をアピールした。