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【今どきゲーム事情】中国コンテンツ産業の重鎮、金庸氏が明かす「中華圏でウケる」コンテンツ開発の秘策

■ゲーム、アニメ、映画、テレビドラマとすべてのジャンルで中華圏を席巻する金庸作品

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こちらは登壇者全員によるパネルディスカッションの様子。左から2番目が金庸氏の講演原稿を代読した、孫立川氏。当日は、コーエー松原健二氏も登壇 ※クリックで拡大画面を表示


今回、金庸氏の体調が優れず上洛にドクターストップがかかったのを受けて、同氏の側近で香港天地図書副総編集長である孫中川氏が金庸氏の原稿を代読しました。この講演の骨子を中心に、コンテンツが長期にわたって長く受け入れられる秘訣というのを探っていきましょう。

金庸が執筆した15作品は、現在、西洋圏では、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語に翻訳され、東洋圏では、日本をはじめ、韓国、タイ、ベトナム、マレーシアなどで翻訳されていますが、圧倒的に人気を集めた地区は、東洋圏であるとして、その理由として、読者の文化的背景の近さが挙げられました。中国版の全作品(1巻1冊と換算)の販売数量は5億冊にものぼり、中国出版科学センターの調査では、中国でもっとも人気のある作家として、魯迅、巴金、中国文学作品の傑作古典といわれる「紅楼夢」の作家、曹雪芹を押さえ、第一位に選ばれているといいます。

金庸15作品で言及される侠士における「侠」とは、日本、韓国、中国など東洋特有の概念で、「人のために自らを犠牲にし、正義と公道のために尽くす」という意。武術の使い手である侠士をしめす「武侠」以外でも「商侠」「儒侠」などでも使われています。

つまり、西洋の騎士が教会、宗教、教祖のために戦い、女性に対し紳士にふるまうといったイメージがあるのに対し、武侠は、“正義のために生き、公平に重きを置く”という点において違いがあると説明。さらにこの概念は、唐時代に発し、その後も、宋、元、明、清それぞれの時代に侠士に関する創作物が生まれるという形で、現在でも脈々と引継がれているといいます。これらの作品はたとえ主人公が命を落とすような悲劇であっても、正義を貫く主人公に対しては最後は公平な結末を見たいという民の意識がなんらかの形で動く、としれました。代表的な例として、「水滸伝」でのケースが説明されました。同作品では宋江、武松、魯智深などは宋朝皇帝により処刑されますが、陳忱が「水滸後伝」を執筆した際に最後は新しい地を求めた李俊がシャム王になるという展開は、悲劇的な結末に至る英雄への思いのあらわれであるとしました。

この「正義や公平を求む民の思い」は日本にもあるとして、金庸氏は源義経=チンギス・ハーン伝説に触れ、歴史上、事実無根であるこのような伝説が、一部で現在も支持されている根底には、不幸な状況にある英雄に共感する民衆の心があると分析しました。


■善、徳、公正こそ、万人が潜在的に求めるエンターテインメント


《中村彰憲》
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