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【DEVELOPER’S TALK】ゲームは和風、開発は洋風?ツール&ミドルウェアを駆使して実現した極上サムライゲー『侍道3』

スパイクより2008年11月13日に発売されたPLAYSTATION3向け『侍道3』は、アクワイアが開発した、侍の生き様を描いたアクション・アドベンチャーゲームです。最新作は舞台を戦国時代として領地を巡る戦乱の時を描き、そこに生きる民や、主に仕える侍の物語が紡がれます。

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侍道3
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―――なるほど。企画としては当初の予定通り進んだというイメージですか?

宏治郎: 今回はPS3という新しいハードへの挑戦だったのですが、技術的にはあまり欲張らずに、今までのノウハウを活かしながら現実的な線をいこうという腹積もりでした。とは言っても新しいハードで規模も大きくなりましたし、当初の予定よりも苦労した部分もあります。2年半という開発期間は決して短くはないですよね。ただ、「Gamebryo」というゲームエンジンを採用していたから2年半で済んだとも言えるかもしれません。

鎌田: 以前開発した『忍道 戒』でもミドルウェアを採用していて、そのときに「新しいエンジンを作るより、ゲームのコンテンツに力を入れよう」という考えがありました。今回も新しいプラットフォームですし、技術的な部分に力を注ぐよりはゲームエンジンを採用するというのは当初から考えていたことです。

左から宏治郎氏、小山氏、鎌田氏


―――プロジェクトに関わった人数はどのくらいですか?

宏治郎: 開発体制は薄い時期も厚い時期もありますので一概に何人、とは言いにくいのですが、社内で『侍道3』に関わったのはのべ40〜45名程度、ゲーム開発部のほぼ全員ですね。2年半前から今までにかかった作業量を計算してみたら、20人が丸々2年半開発を行ったという計算になりました。

前作と比べると、感覚的にはおよそ2倍といったところでしょうか。

―――それには、やはり次世代機に変わったことが大きいのでしょうか? それとも内容が増えたからという面が大きいのでしょうか?

宏治郎: 恐らく両方ですね。弊社として初めてのPS3というのはやはり大きかったと思いますし、新システムの採用はもちろん、単純にボリュームという面でもかなりのものになっていますから。

―――プラットフォームをPS3に移して進化した点などはありますか?

小山: AIを強化して、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の反応を格段に増やしたことです。もちろん、データやプログラムの部分でも分量が増えるため大変だったのですが。前作NPCは、歩いている主人公に話しかける程度だったのですが、『侍道3』では死んでいるキャラクターを見つけた場合、土下座している場合など、さまざまな状況に応じた反応をするように設定しています。

宏治郎: もう何度もクリアしているのですが、それでも聞いたことの無いセリフを聞くことがあったりします(笑)
プレイヤーの行動によって偶然の状況が生まれて、NPCが面白い反応をすることがあるかもしれません。このあたりもゲームユーザさんに楽しんでいただけるポイントかな、と思っています。

思いもよらぬシチュエーションがあるかも・・・


■『侍道3』が「ファイルマジックPRO」を導入したきっかけとは?

―――今回「ファイルマジックPRO」(※1)を導入することになった経緯を聞かせてもらえますか?

宏治郎: 実はPS3版は無償提供(※2)という話を聞きまして(笑)。それでちょっと話を聞いてみようと思ったんです。

※1 ファイルマジックPRO:圧縮、パッキング、最適配置などでディスクメディアのロード時間を約1/2にまで短縮するミドルウェア(ファイルシステム)。現行するすべてのプラットフォームに対応している。

※2 PS3向け「ファイルマジックPRO」は2010年3月まで無償提供される。詳しくはCRI・ミドルウェアのニュースリリースを参照。


―――なるほど、無償提供と銘打った甲斐がありました(笑)

宏治郎: 「Gamebryo」はマルチプラットフォーム対応のゲームエンジンですので、『侍道3』はPCベースで開発して、PS3の実機に持っていくというフローで制作したんです。PCだとハードディスクなので読み込み速度は気にならないレベルだったのですが、PS3でブルーレイディスクに焼いてみると、やはりかなり速度が変わってしまいました。PCでは数秒だったロード時間が25秒くらいまで膨れ上がってしまったんです。全てをハードディスクインストールで対応するわけにもいきませんので、困っていたところに「ファイルマジックPRO」を知ったんです。これは話を聞かないわけにはいかないだろう、と思って連絡させていただきました。

―――実際のところどのくらいの効果があったのですか?

宏治郎: マップ切り替えで25秒くらいかかっていたところが10秒を切るくらいまで改善できましたね。「ファイルマジックPRO」のファイルをパッキングする機能と、CRIさんから提供していただいたファイル配置を並び替えるツールを使って手動で最適配置を行った結果です。圧縮や自動最適配置は今回利用しませんでした。それでもこれだけロード時間が改善したのでとても助かりました。

※現在提供されている「ファイルマジックPRO」の最新バージョンではGA(遺伝的アルゴリズム)を利用したファイルの自動最適配置機能も追加されています。


小山氏
―――パッキングの単位はどういう単位で行われたのですか?

小山: 基本的には、全てのファイルを1つにパッキングしました。「ファイルマジックPRO」を導入するまでは、1つ1つのファイルをオープンしてリードするという流れだったものが、1回のオープン処理で全てのファイルのリードが行えるようになったのでロード時間が非常に短くなりました。ただ、今回はADXは利用していないので、ストリーミング音声についてはパッキング対象から外しています。

ワークフロー的にも、全ての作業が終わった段階で最後にパッキングするという流れでしたので、特に手間が増えたということもありませんでした。

宏治郎: ゲームはPCベースで開発しているので、週2回くらいのペースでディスクを作って実機で確認作業を行っていました。その際だけパッキングの作業が発生するという形ですね。

―――ファイルの最適配置はいかがでしたか?

小山: 手作業で全ての配置を差し替えるのは不可能ですから、効果を出したい部分だけピンポイントで並び替えました。あまり時間をかける余裕はなかったのですが、僅かな時間でも効果は得られたと思います。

―――「ファイルマジックPRO」は10月1日の正式提供前の対応で、一部機能のみの提供となってしまったのですが、それでも貢献できたようで良かったです。CRIとしても「Gamebryo」との連携はチャレンジでしたので。

小山: 「Gamebryo」にもファイルシステムは当然用意されているのですが、他のシステムと連携させるためのインターフェイスも定義されていて、「ファイルマジックPRO」を使うようにするブリッジモジュール(異なるミドルウェア同士をつなぐ橋渡し的な存在)をCRIさんに用意していただいたんです。それを使うとすぐに組み込めました。

―――最初にお話をいただいてから、専任の担当を置いて、ゲームエンジンを解析してモジュールを作成するまで1ヶ月程度です。もちろんこれだけのスピードでできたのは、当初から「Gamebryo」が他のミドルウェアやツールとの連携を前提としていたからですが。

清水: 「Gamebryo」の特長は色々とありますが、その一つが柔軟性です。世界には非常に多くのゲームエンジンやミドルウェア、ツールがあり、各ゲームメーカーにおいても独自のゲームエンジンなどを開発されているところが多いのですが、そうしたソフトウェアとの連携が非常に容易になっています。

■外部との連携で、コンテンツ作りに注力


《土本学》
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