■インサイドが協賛
1日の午前からは「プロツアー京都ベータ版イベント」が開催。こちらは今では入手が困難な、ベータを用いたイベント。前半2日間で実施された計6つの併催イベントで優勝したプレイヤーのみが招待されて参加することができました。見事に優勝したのは、地元・京都からの参加だという福留友選手。勝因は「イナズマは強かった」とのこと。デッキはレガシーで構築したそうです。おめでとうございます!
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福留選手、おめでとうございます! |
■マジック初心者の方には
会場入り口付近には「マジック:ザ・ギャザリング」初心者の方のための特設サイトが設営、一からゲームを学べるようになっていました。置かれたPCでは公式サイトでも配布されている体験ゲームがプレイできました。試してみると、チュートリアル形式でカードの種類からターンの流れまで体験でき、実際にコンピューターを相手に対戦することもできました。対話式で非常に分かりやすく説明してくれるので、初心者の方も、私のような以前は遊んだけど感覚が・・・というプレイヤーにも最適だと思います。(http://mtg.takaratomy.co.jp/beginner/contents.html)
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会場の入り口付近 | 初心者向けの解説など充実 | PCでチュートリアルを楽しめました |
■日本人プレイヤー健闘
さてさて気になる本戦です。2日目でベスト8まで決定しました。3日目はクォーターファイナル、セミファイナル、ファイナルと続いていきます。ベスト8には日本から山本明聖選手(和歌山)と棚橋雅康選手(新潟)が残りました。何より注目すべきは二人とも初のプロツアー参戦だということです。そういうこともあってか、最終日の会場は更に熱い空気に包まれました。ベスト8からは特設ブースから日本語での実況も加わり、巨大スクリーン前には沢山の観客が集まり、勝負の行方を固唾を飲んで見守りました。
クォーターファイナルで棚橋選手が対戦したのは今マジック界最強のプレインズウォーカーとも称されるLSVことLuis Scott-Vargas選手(アメリカ)。巨体から展開される鮮やかなプレイとカードさばきは世界最強に相応しいものです。一方の棚橋選手は青黒フェアリーを使いこなす25歳。健闘でしたが、LSVの迫力に押されてしまったのか、残念ながら0-3で敗退という結果でした。対して山本選手はJan Ruess選手(ドイツ)との接戦を制してセミファイナルに進出します。
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LSV(左)と棚橋選手(右) | Jan Ruess選手(左)と山本選手(右) | 会場では実況中継も行われました |
セミファイナル、山本選手とPlayer of the Yearの獲得経験もあるフランスのGabriel Nassif選手の戦いは長丁場となりました。経験あるプレイヤーであるNassif選手であること、さらにはデッキの相性もあり下馬評は圧倒的にNassif選手優位でしたが、山本選手も引きません。先行を得た緒戦を勝利します。続いても長考に次ぐ長考で緊張感が会場に伝わってくるような戦いです。しかし強豪マジックプレイヤーに見られる引きの強さはNassif選手にとってもそうで、「残酷な根本原理」を核に華麗な攻めを見せたNassif選手がこの後3連勝し、ファイナルの舞台に進みます。
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Nassif選手(左)と山本選手(右) | 健闘したのですが・・・ |
■優勝したのはNassif選手!
そのNassif選手の相手となるのは、セミファイナルでBrian Robinsonとのアメリカ対決を制したLSV。2004年にPlayer of the Yearを獲得したものの一度もプロツアー個人タイトルはないNassif選手と、ここ最近の成績では誰もが文句の言いようのない成績を挙げているLSV、それは正に決勝戦に相応しい対決でした。相手に状況を悟らせないためかポーカーフェイスが目立つ会場にあって、この戦いだけは別でした。時折お互いに見せる笑みと少しの会話。マジックプレイヤーにとって2009年を左右する大事な緒戦ですが、二人は心の底から対戦を楽しんでいるように見えました。決勝戦らしく2-2で最後までもつれる展開でしたが、5色デッキを使いこなしたNassif選手が栄冠を手にしました。
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Gabriel Nassif選手 | Luis Scott-Vargas選手 | 会場も緊張 |
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どちらが勝ってもおかしくない | ファイナルに相応しい試合でした | 対戦後の一コマ |
「本当に嬉しい。お互いにキャリアは短くないけど、今まで勝てたことがなかったので信じられない。(今シーズンの目標は)誰に勝つかというよりは、もっと強いプレイヤーになること、更なる高みを目指すこと。最初にいい戦いができたので色々な試合に参戦したいね」
とNassif選手は語ってくれました。
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こうしてプロツアー京都の3日間は終わったわけですが、「マジック:ザ・ギャザリング」の底力を知らされた日々でもありました。世界中から集まったプレイヤーが、マジックという共通言語で会話をし、対戦をし、少々ぎこちない言葉で握手を交わす、そんな光景が至るところで見られました。また本戦の戦いはマジックの高みに到達した者たちの強さと美しさを十分に見せるものでした。日本のマジック界にとっても、これまで世界的には無名であった二人がベスト8に入る活躍を見せたことは、多くのプレイヤーを励ますものであったに違いありません。日本での次なるプレミアイベントは4月のグランプリ神戸です。ぜひともまた多くのプレイヤーが白熱した戦いを繰り広げてくれることを期待したいですね。
プロツアー京都 フォトレポート