今週はゲームのコピーに関するニュースと任天堂が海外の格付けで高ランキングを獲得したニュースが話題となりました。
英国Metaforic社のコピー防止技術「MetaFortress」は今年から任天堂を含む6社のニンテンドーDS用ゲームで使用され、ハッカーに「長くてスローで手動の仕事」を強いて時間をかけさせることでコピーに対抗。さらにハッカー側が対策することも織り込み済みであるといいます。
一方、『グーの惑星』のデザイナーであるRon Carmel氏はPCゲームにおける「DRM(デジタル著作権管理)」は「時間と金の無駄」であり「ゲームを不正コピーしようとしている人はいずれにしろそれを買わなかった人々である」と発言しています。
コピーに対抗することは意義あることなのでしょうか。
Carmel氏は「DRMがインストール回数を制限するのみのものならば、ゲームが中古ゲームショップへ売られる回数を最小限にできる」とコピー対策の全てが無力であるとは考えていない模様です。
ニンテンドーDSとPCの環境の違いも考えるべきでしょう。
ニンテンドーDSにはゲームへのエントリー機という側面があります。つまり、ニンテンドーDSでゲームに初めて触れるという人が多いということです。今は親が子供にニンテンドーDSとマジコン(不正コピーされたゲームの動作を可能とするハードウェア。自作ゲームの動作にも使用される)を与える例もあると聞きます。初めて触れたゲーム機でコピーが蔓延していれば、「コピーは誰にでもできるし、ゲームはコピーして当たり前」という認識になっても仕方ないのではないでしょうか。
ここで「MetaFortress」のようにカジュアルなコピーを防止することの意味が生まれます。「コピーは誰にでもできるものではなく、どこか遠くの技術のある人が苦労してやっとできるもの」であればどうでしょう。ゲームを始めたばかりのローティーン層が、自ら「技術のある人」になろうとするでしょうか。なろうとするにしても、その数はかなり少ないのではないでしょうか。コピーが当たり前ではない状況でゲーム歴を重ねることは、精神的に少なからぬ意味があるのではないでしょうか。
現時点では「MetaFortress」の真価は不明ですが、その名に恥じぬ「Fortress」(要塞)であることを期待したいところです。
任天堂は恒例の「世界で最も評判の良い企業」(World's Most Reputable Companies)ランキングで日本企業としてはトップとなる6位を、「世界で最も成功しているゲーム開発スタジオ」では2位を獲得しました。
「世界で最も評判の良い企業」では初登場で日本企業トップの6位ですからかなりの成績とみていいのではないでしょうか。一方、「世界で最も成功しているゲーム開発スタジオ」では前年の1位からワンランクダウンの2位。1位を制したのは米Blizzardで、『World of Warcraft』(WoW)の収益によるものとのこと。「世界で最も成功しているゲーム開発スタジオ」は英国での売上に基づくランキングであり、現地で『WoW』がいかにパワフルであるかが分かります。
『WoW』は全世界でアクティブ会員数が1000万人を越えるMMORPGで、拡張パック『Wrath of the Lich King』が24時間で280万本売れるなど様々な意味で型破りの規模となっています。前年度から46ランクアップを実現した『WoW』ですが、現時点では日本国内ではサービスされていません。『Dead Space』など国内未発売の家庭用ゲームが話題となりますが、オンラインゲームにおいても日本市場の特殊化が進行しているようで、これは軽視できない事態なのかも知れません。
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