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John Riccitiello氏 |
「ファミリー」「Wii」「クオリティ」。続いて壇上に上がったCEOのJohn Riccitiello氏は、この3つのキーワードと共に語りだしました。時に『EA帝国』と揶揄されるほどの影響力を誇った同社ですが、ここ数年はWiiのシェア拡大をはじめとした、ゲーム業界の地殻変動に、必ずしも最適化できたとは言えなかったのも事実。当日公開されたラインアップも、その言葉を裏付けるものとなりました。
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続いて登場したのは、EAスポーツでもハリーポッターでもなく、ハズブロ部門のゼネラルマネージャー、Chip Lange氏。Lange氏が紹介したトレーラーは、年少児向けのオンラインペットゲーム『Littlest PetShop online』でした。自分好みのペットをカスタマイズして、ソーシャルゲーミング体験ができるというものです。
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さらに「攻め」の姿勢は続きます。「EA Girls」のロゴ&トレーラーに続いて登壇したのは、シニアプロデューサーのDyan Williamsさん。彼女が紹介したのは、少女向けのゲームブランド『Charm Girls Club』と、『MY PERFECT MALL』『SHOW』『PROM』という一連のDSゲーム、そして『PAJAMA PARTY』(Wii)でした。その後、壇上では少女たち4人による『PAJAMA PARTY』のミニゲーム大会。EAの姿勢は「本気」のようです。
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とはいえ、従来のファンへのリーチも忘れてはいません。続いてのゲームは、おなじみのレースゲーム『Need for Speed』の最新作『SHIFT』です。EA GAMES LABEL EUROPEのシニアバイスプレジデント、Patrick Soderlund氏はトレーラーとデモプレイで、この最新ホットなタイトルを紹介しました。Soderlund氏は「さまざまな意味でレースゲームはリアル性を追求されている」と語り、「ドライバーズプロフィール」という新システムが搭載されたと述べました。これはゲーム中の運転を通して、プレイヤーの癖をAIドライバーが学習するというものです。具体的にこれがどのような遊びにつながるのかは不明ですが、耐久レースなどで自動的に周回したり、監督となってレースを体験するモードなどがあるのかもしれません。続報が期待されるタイトルです。
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続いてのタイトルは、大作RPGでおなじみのバイオウェア社開発のタイトル『Dragon Ages』です。同社のDr.Ray Muzyka氏とDr,Greg Zeschuk氏は、このファンタジーアクション超大作を「これまでで最もダークでマチュアなタイトル」だと紹介しました。上映されたトレーラーは、血しぶきが飛び散り、本能のままに殺戮する、いかにも中世ダークファンタジーといった感じで、和製ライトファンタジーの対極といった感じ。国内ではCERO「D」必須で「Z」でもどうか、といったところですが、バイオウェアだけに完成度の高さは期待できそうです。ここでも「攻め」の姿勢を期待したいところでしょう。
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そして引き続いてのタイトルが、先日日本では「1」が発売されたばかりのSF RPG超大作『マスエフェクト2』です。2007年に「1」が発売された時、バイオウェアはマイクロソフトゲームスタジオのセカンドパーティといった位置づけでしたが、その後EAの傘下に移り、続編の発表となりました。主人公は前作と同じく地球人のシェパード少佐で、さらに困難なミッションが待ち受けているとのこと。英語版は「来年初頭」とのことですが、日本語版発売も(何年かかろうとも!)切に希望するところです。ちなみにEAに移ったことで、Xbox360に加えてPCでも発売となります。
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ここでコーナーはがらりと変わり、おなじみの「EAスポーツ」となりました。ファミリー向けのライトなイメージムービーの後、登壇したのはマイクロソフトとの「たすきがけ」人事でも話題となった、ピーター・ムーア氏。会場からは「ピーター!」と声援が飛んだほどで、ピーター氏も少々苦笑しながらのプレゼンとなりました。
最初のタイトルはボクシングゲームの『Fight Night Round 4』(Xbox360・PS3)です。ムーア氏曰く「新しい物理エンジンを搭載した、次世代のスポーツゲーム」と語ったほどで、ライトや汗の表現などの映像美は秀逸です。しかも本作ではリプレイ機能が搭載され、自分の試合を自由にプレイバックできます。この時の筋肉の動きや、パンチにゆがむ顔面などは驚愕の一言。狭いリング上に2体のキャラクターしか登場しないという競技上の特性ゆえに、徹底的に人体が作りこまれた印象で、物理とAIとモーションの融合例のベンチマークといったところでしょうか。このほか新ジャンルとして、マーシャルアーツのゲーム『MMA』も発表されました。
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さて、本会場で最も革新性を感じたタイトルに移りましょう。それがSVP and グループGMのSteave Chiang氏から紹介された、『Team Builder』です。これはNCAA(全米大学)フットボールが題材のウェブアプリで、スタジアムやユニホーム、プレイスタイルなどを選択し、自分だけのチームが作れるというもの。日本でたとえるなら高校野球の母校チームをウェブで自由に作れるというイメージでしょうか。実際に作成したチームでどのようなゲームができるかは述べられませんでしたが、サービスはすでに開始されており、無料ですので、興味があれば試してみるものいいでしょう。teambuilder.easports.com.
このほか『Madden NFL 10 online』では、PS3/Xbox360と、PCと、iPhoneで相互にデータをリンクさせ、ソーシャルネットワークゲーミング体験が楽しめる、というビジョンが語られていました。また詳細は不明ながら、ゴルフゲーム『Tiger Online』でもウェブ連動があるようです。同社はコミカルな兵士たちが戦うMMO三人称シューティング『バトルフィールドヒーローズ』でウェブの無料ゲームにも進出しており、ウェブへの積極姿勢が感じられました。
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さて、再びムーア氏が壇上に戻り、続いて紹介されたのはWiiとWiiバランスボードで30日間の本格エクササイズが家庭で楽しめる『active』です。ムーア氏と共に壇上に上がったのは、アメリカのテレビスター、Allison Sweeneyさんで、彼女もエクササイズに挑戦したと語りました。ムーア氏曰く、本作は発売後1週間で60万本のヒットを記録したとのことで、ポスト『Wii Fit』としての期待が高まりそうです。
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続いてのタイトルはWiiのテニスゲーム『Grand Slam Tennis』で、『active』に続くEAスポーツの新ブランドとなります。夢中になってラケットならぬWiiリモコンを振るムーア氏の肩を叩いたのは、世界最高のオールラウンド・プレーヤーとして名高い、元プロテニス選手のピート・サンプラス氏! サンプラス氏も交えてのゲーム大会となり、残念ながら氏のリターンはアウトとなり、EAスポーツのコーナーも終了しましたが、会場は予期せぬゲストに盛り上がりました。
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オリジナルタイトルのラッシュは続きます。リードデザイナーのTom French氏が紹介したのは、第2次世界大戦のパリを舞台にしたスニーキングアクション『THE SABOTEUR』。主人公はスナイパーとなって、ナチス高官の暗殺を行うという内容です。おもしろいのは敵兵に見つかって街を逃走中に、「お姉ちゃん」のいる店に隠れて、敵をやり過ごすフィーチャーがあること。満足そうにベルトを直しながら店を出る主人公に、会場は爆笑となりました。グラフィックもモノトーンを基調としたシックなもので、新世代機ならではの『ビヨンド・リアル』感を醸し出していました。
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続いてのタイトルは、ファンタジー世界を舞台に、ヘビメタの主人公がエレキギターをかき鳴らし、戦斧でモンスターの頭をかち割るという奇天烈アクション『BRUTAL LEGEND』です。『モンキーアイランド』シリーズで有名なTim Schafer氏の作品で、俳優のジャック・ブラック氏やロックスターのオジー・オズボーン氏が声優を務めることが発表されています。会場ではSchafer氏自らプレゼンとショートムービーを披露し、製作が快調であることをアピールしました。
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この後Cry Engineで有名なCrytek社のCEO、Cevat Yerli氏がCry Engine 3をアピールし、EAの新しいパートナー企業としてRealtime Worlds社が紹介されました。同社の創業者のDave Jones氏は新作MMOアクション『APB』のトレーラーを紹介。100人のプレイヤーがフォトリアルな3Dの街中で銃撃戦を繰り広げるというものでした。
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そしてトリをつとめたのが、会場に鳴り響く『スター・ウォーズ』のファンファーレと共に、ステージ左右からジェダイ騎士たちが歩み寄る中、紹介された『STAR WARS THE OLD REPUBLIC』。版権元のルーカスアーツと、大作RPGで定評のあるバイオウェアのタッグによる新作MMORPGです。
ルーカスアーツ社長のDarrell Rodriguez氏と、バイオウェアの共同設立者、Dr.Ray Muzyka氏が共同で述べた解説によると、同作はかつてないほどストーリーテリングに重視を置いたMMORPGになるとのことで、プレイヤーはジェダイサイドとダークサイドを選ぶことができ、そのどちらでもまったく異なるストーリーが展開されるとのこと。同社は以前にもPCのスタンドアロンRPGで『STAR WARS:KNIGHT OF THE OLD REPUBLIC』を開発し、GDCでゲームオブザイヤーに輝いた経緯があり、それだけにこの野心的な挑戦は期待が持てそうです。唯一にして最大の心配次項は、例によって国内でも正規サービスが開始されるか否か、でしょうか。
このように、オリジナルとフランチャイズ、ハードコアとカジュアルゲーマー、新しいコントローラーのWiiとハイデフゲーム機のPS3・Xbox360と、全方位に渡って『攻め』の姿勢が感じられたEAのメディアブリーフィング。世界同時不況が押し寄せる中、これからも不況を吹き飛ばす「夢』を期待したいところです。