![]() |
■同人ゲーム制作の舞台裏
続いて、今回のテーマである「ゲームデザインとメイキング」について4人のゲーム制作者から発表がありました。
サークル「Easy Game Station」のmuracha氏は、「プレイ画面のイメージ絵を先に作る」という手法を紹介。画面の雰囲気やキャラクタの大きさなどをグラフィック担当とプログラム担当で共有したり、開発中に迷ったときの原点として重宝するとのこと。
![]() | ![]() |
サークル「神奈川電子技術研究所」のisao氏は、ゲームのアイディア出しについて紹介。バーチャファイターのアキラの鉢巻きの動きから『みこみこ妖怪退治』の巫女さんが振る幣(お祓いの棒)の動きを発想したり、ロボットアーム制御のプログラムを応用して多関節キャラクタを動かしたり、といったアイディアの転用・応用をしているとのことです。「納期にゲームをあわせる、悔いが残ったところは次に作るときに実装する」という原則を徹底することで、3週間から3か月単位で新作を開発するというハイペースなサークル活動を維持しているようです。
![]() | ![]() |
サークル「チームグリグリ」の小川幸作氏は、『コープスパーティーブラッドカバー』の開発舞台裏について紹介。共同作業が少なかったサークルメンバーのあいだで作業を効率化するためRPGツクール(エンターブレイン)的な機能を持ったミドルウェアを開発、テストの繰り返しをよりおこないやすくし、ミドルウェアをバージョンアップしながら作品の表現力を高めてきたそうです。コープスパーティーに特化したミドルウェアを作ることで作業効率が上がっただけでなく、ゲームの素材不足なども把握しやすくなり、情報のやりとりも口頭で行うよりスムーズになったとしてます。
![]() | ![]() |
フリーゲームサイト「OMEGA」のOMEGA氏は、テストプレイの重要さについて講演。OMEGA氏の作り方では、コンセプトとインターフェイスを決めて、まず最小限遊べるものを制作、テストプレイヤーに目の前でテストしてもらい、コンセプトが伝わっているかどうかを確かめながら修正を繰り返します。このテストと修正のところで半分ぐらいの工数がかかっているそうです。昨年東京ゲームショウでおこなわれたインディーズゲームイベント「SENSE OF WONDER NIGHT」に出品した『おまえらバランスとってふたご塔を作るゲーム』(通称ふたご塔)では、テストで片方の塔にだけ王冠を乗せるプレイを見て驚いたものの、コンセプトに合っている遊び方だということでルールに取り込んだとのこと。ただ、学生時代は部室にいる人をつかまえてテストプレイしてもらうことができたものの、就職してからはテストプレイヤーの確保に苦労しているそうです。
![]() | ![]() |
![]() |
■開発手法・デザイン手法はゲーム会社のものに類似
自作のミドルウェアを用意して共同作業と開発効率を上げる、分業する、テストプレイヤーの操作を間近で見ながら、どこを見ているか、どこでつまずくかをチェックする、テストと調整の短いサイクルでの繰り返すといった作り方は、商業での開発手法と同様のものといえるでしょう。
同人ソフトでは、プロのゲーム開発者がプライベートに同人を手がけているといったケースも多く、そういった作者のところでは作り方や効率アップのノウハウなどは商業ベースのものが取り入れられているようです。また、多くのゲームを作っていく中でプロと同様の手法にたどり着いたということもあるでしょう。とはいえ、商業ベースの開発者にとってはごく普通に行っていることでも、ゲーム会社に勤務せず個人でゲーム作りをはじめた人にとっては知らないことも多そう。こうしたセミナーによって情報共有が進んでいくことで、同人・インディーズゲーム開発がもっと盛り上がっていくことを期待したいですね。
訂正しました:初出時、小山友介氏のお名前を誤って記載しておりました。お詫びして訂正します。(編集部 2009/7/13 15:20)