―――ゲームの開発を終えて、今の心境を聞かせてください
かっきりしたので、イースター島まで行きたい気分ですね。
ゲームを作り終えると、いつも、もうゲームは作りたくないって思います(笑)。今回はやりきった感があるので特に、ですね。実は『王様物語』ではキムPと言われながら、キムDとして、プロデュースもディレクションも両方やってました。プロデューサーは開発が終わった後の仕事もたっぷりあるんです・・・(笑)。
―――体験会の感触はいかがですか?
触ってすぐに感触の分かるアクションゲームとは違って、じっくり遊んで良さを分かって欲しかったので、このような形の体験会になりました。スタッフがいい場所を見つけてくれました(笑)。家族連れの皆さんが遊んでいるところを見ると、ワイワイ遊んでくれていて、手応えはありました。
―――開発は長かったようですね
長かったねえ。プロトタイプを作る期間が1年間くらいあって、それを終えて数か月後の東京ゲームショウ2007で発表しました。でも、2008年3月頃でしょうか。「このままじゃダメだ」というのが見えてきたんです。それで和田と相談して、僕が福岡に行って、現場でディレクターをすることになりました。開発現場はみんな一生懸命で、みんな面白いゲームを作ろうとしていたんですが、噛み合わせが良くなかったんです。それで僕が間に入って、整理する作業をしました。僕はどうも現場でスタッフにああだこうだ言う方が合ってるみたい(笑)。
―――福岡と東京という問題も・・・?
「遠い問題」ね。問題なかったと言いたいんだけど、正直に言うとありました。恋愛と一緒で、遠距離恋愛だと心が離れていっちゃう。東京のチームの進行度と福岡のチームの進行度が大きく違っていて、アートワーク、キャラクターデザイン、BGM、ムービーみたいな素材はどんどん揃っていくのに、ゲームデザインやレベルデザインは混沌としている状況がずっと続きました。福岡に行った僕の仕事はゲームデザインを整理する事で、徹底的にデザインを整理して、要らないものを削除していきました。たぶん、今まで自分の作ったゲームの中で一番きれいで丁寧だと思うよ(笑)。
だってねえ、『moon』とか『チューリップ』とか、僕の作ったゲームをやった人は、お話や思想は面白いけど、ゲームとしてはどうかな? というのは正直あったんじゃないかと思うんです。操作感やゲームっぽさという点では今回は本当にこだわって、僕もゲームを分かってるってところを見せたつもりです(笑)。
―――ゲームデザインは当初から固まっていたのですか?
全ての要素は最初からありました。ただ、要素が多いと整理するのが大変で、それが上手くいってませんでした。お宝を集めてお金を稼ぐ、すると新しい建物を建てられる、新しいボスを倒す、新しいエリアが広がる、というゲームの流れを、どう繰り返せばリズミカルで楽しいものができるのか。全て要素はあるけど、全体の繋がりだったり、設計を見直して、楽しいものにしていきました。
―――それは難易度の調整といったことも含まれるのですか?
もちろんです。序盤と、最終盤の難易度の調整はかなり手間をかけてやりました。アクションが上手い人は上手い人なりに、ジョブの編成が得意な人は、アクションが苦手なのを知恵で乗り越えられるように。自画自賛になりますが、本当に良く出来てると思います(笑)。一度手に取ってもらえば、最初の30分くらいでノリが分かって、初めて遊ぶゲームなのに、昔から知ってたような感覚で遊べると思います。雰囲気はまったりしてるのに、不思議とテンポがいいんです。
―――ゲームとして良い出来であると同時に、テキストなどは木村氏のテイストを感じます
あはは。
このゲームで、ジョブがない状態って「のんきな大人」なんですよ(笑)。『FF』で言うと「たまねぎ戦士」みたいなもの。「のんきな大人」はちゃんと就職させて、真面目な農夫とか、下っ端兵士とかにしてあげなくちゃいけないの。
面白いのが、NPCに「やきそばさん」という人がいるんです。彼女は「宝探しくらいしかしたことない」っていう「のんきな大人」なんですが、農夫にしてあげた瞬間、「真面目に仕事します。泥だらけになって仕事したい。もうのんきな大人には戻れない」とか言うんです。そのギャップも楽しいかな。
あとはNPC同士の動きもちゃんと作ってて、「下っ端兵士」なんかはちょっと偉そうで、「のんきな大人が近付いてくると」・・・、なんと蹴る(笑)。「のんきな大人」は、おっとっと・・・みたいな。AIは結構凄い(笑)。
アクションゲームで、バトルをクリアしていくところばかりが強調されがちですが、ちょっとした街の人の動きやセリフの妙も注目して楽しんで欲しいですね。
―――そういえばムービーのセリフがヘンテコ語でしたね
最初から世界を前提にしたゲームで、何カ国語も音声を収録するのを避けたんです(笑)。ムービーには字幕だけ入っていて、音声はヘンテコ語です。実は日本に住んでいる、アメリカ人、ロシア人、イタリア人、スペイン人、ドイツ人、18人くらいに色々な物を読んでもらって、それを収録しました。これは『moon』のときからやってるんですが、結構面白いですよね。あと、住民は鼻歌を歌ったりもします。これも外人さんや友達に歌って貰いました。ぜひ注目を(笑)
―――ありがとうございました
木村プロデューサーインタビュー、ぜひ第1回目もご覧下さい
http://www.inside-games.jp/article/2009/08/22/37250.html
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