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iPhoneを活かしたゲームデザイン | 宮川氏 | 多くの聴衆 |
ゼペットは約一年前の2008年12月1日に設立。宮川氏は元スクウェア・エニックスで、開発現場のリーダーとして様々なタイトルに携わってきました。そんな宮川氏にとって、2007年初頭のiPhoneの発表は度肝を抜かれるような経験だったそうです。2008年にAppStoreがオープンし、世界中の開発者にiPhoneが解放されると、自身でも作りたいという思いが大きくなり、単身でのゼペット設立に繋がりました。
Macの経験が余り無かったという宮川氏は、アップルストアで日々開催されている無料セミナーに参加。そこで様々なソフトの使い方を学んだということで、ゲームやウェブサイトで使っているムービーも自身で作られているそうです。会社は宮川氏ただ一人の"ガレージカンパニー"だということですが、MacのあるガレージでiChatを使って協力してくれる他の開発者さん達とやりとりをしながらゲーム作りを行っているということです。
iPhoneでの処女作は『iNinja』でした。iPhoneの衝撃の一つでもあった「モバイルとは思えないマシン性能」を活かして、物理演算にも挑戦した作品でした。しかし残念ながらセールスは1万本程度で収束。かけた労力を考えるとコストオーバーで、宮川氏は競争の激しさを改めて実感し、市場の分析に力を注ぎます。
当時流行していたのがパンカクが開発した『LiGHT Bike』です。一見するだけで分かるゲーム性、他の人との競争など、成功するゲームにあるポイントはどこか徹底的に考えたそうです。また、『iNinja』ではステージを作り過ぎたことも反省だったそうで、面倒なセーブやロードを省いてシンプルなゲームにすることも頭にあったようです。
そうして作られたのが『iYamato』です。iPhoneを横持ちして、左右にあるボタンを押さえることで攻撃ができ、上空から攻めてくる敵機を倒して、なるべく長い時間持ちこたえるというシンプルなゲームです。ゲームの開始時には、iPhoneの持ち方を教える画像が表示されるため、プレイヤーはゲーム内容を一瞬で理解します。マーケティング的には「おっさんの多いiPhoneユーザーに直撃するテーマ(笑)」だったとのこと。また、海外の掲示板などで直接向こうのユーザーとコミュニケーションをするといったこともしたそうです。
『iYamato』は「2.0」を"月下の大和"というテーマで構想中だということですが、残念ながら他にも色々なゲームを抱えているということで構想で止まっている段階だとのこと。ただ、「いずれ」という言葉もありましたので、期待したいですね。
そんな宮川氏の新作が、『newtonica』を作った西健一氏とのコラボレーションの『iCarShoot』です。「スーパーカー消しゴム」を発展させたようなゲームで、iPhoneカメラで撮影した写真をテクスチャーとして車体に張り付けて遊ぶ機能も搭載されています。
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iYamato 2 | iCarShoot |
続いて触れられたのはパンカクが開発しているiPhone向けのゲームプラットフォーム「Pankaku-net」です。これは対戦や課金のフレームワークとなるもので、対戦のマッチング、対戦履歴の管理などを容易にゲームに導入するためのものです。そして何と、この上で動く『LiGHT Bike 2』はゼペットが開発を進めているそうです。誰でも遊べる良さはそのままに、より深く、よりはまるゲーム性を追求したものになるとのこと。アイテムによる駆け引きが導入されたほか、ゲームモードもデスマッチや旗の獲得競争などが追加されているそうです。さらに、音楽は『KORG DS-10』『BQLSI STAR LASER』などの佐野信義氏が手がけているそうです。ちなみに『iYamato 2』の音楽は光田康典氏が手がけるとか。「Pankaku-net」はもちろん『LiGHT Bike 2』以外にも様々なゲームに搭載されることが想定されているとのこと。
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Pankaku-net構想 | LiGHT Bike 2 | エフェクトも派手に |
また、宮川氏はiPhone向けアプリの情報サイト「AppBank」と共同で、カードゲームのプラットフォームとして『Pocket Vegas』を開発中で、第一弾として大富豪をリリースする予定にしているそうです。宇宙に浮かぶカジノをモチーフに、様々なカードゲームを楽しめ、世界中のユーザーとコミュニケーションができる場になるとのことです。会場では、ここで企む数十種類のゲームが示されましたが、今はまだヒミツとのこと。早く宇宙のカジノ、行ってみたいですね。
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Poket Vegas | バニーガールも素敵 |
まだ1周年を迎えていないゼペットですが、最後に示されたラインナップは充実の一言。宮川氏は「10万本のAppStoreの競争は本当に厳しい」とした上で、いまは「遊び心地の時代」であり、そのお手本はiPhoneそのものであると指摘。その上でやりたいゲームを表現していく必要があると述べました。一方で厳しいながらも、非常に恵まれた環境というのは間違いなく、宮川氏は、多くを学び、いま逆の立場で講演に立てたアップルストアという場所や、これまでに出会ってきた多くの人に感謝の言葉を述べて締めくくりました。