既に報道されている通り、SCEは既に3D対応ゲームを開発中で、ソニーが3D対応テレビを発売するタイミングに合わせてPS3もファームウェアアップデートで3D立体視ゲームに対応する予定です。また、ブルーレイディスクの3D規格にも同様に対応し、3Dの映画もPS3で楽しめるようになります。
3Dの技術自体は歴史の古いものですが、映画「アバター」の盛り上がりや、家電各社が力を入れているため、豊氏は「今度こそ来るのではないか」とコメント。ゲームは能動的な体験で、メガネを付けるというハードルが低いこと、既にゲームは3Dで楽しまれていて、立体視はそれを自然に拡張するものになること、対応も比較的容易なことから「ゲームは3D立体視に向いている」としました。
立体視の仕組みとしては単純で、それぞれの目に異なる映像を伝えることで奥行き感を与えます。技術的には走査線ごとに異なる画像を表示し、偏光メガネで片側だけで見えるようにする(パッシブ方式)と、1フレーム毎に異なる画像を表示して高速のシャッターで1フレーム毎に画像を見せる(アクティブ方式)の2つの大別されます。ソニーなどが採用するのは後者で、メガネに電池が必要になりますが、フル解像度で実現できます。
通常の3Dで制作されているゲームを立体視に対応させるには、左目用カメラと右目用カメラを配置して、それぞれの映像をレンダリングするのが簡単な方法です。立体視をする場合はレンダリングを2回することになるので負荷が高まります。まずは同一のカメラ設定で2度レンダリングするようにして、それでパフォーマンス調整をするのが良さそうです。豊氏は比較的調整が容易なゲームとして「60Hzのゲーム」(30Hzにすればよい)、「画面分割の2Pモードがあるゲーム」(既に2回レンダリングしている)を挙げました。
このように3D立体視の実現はそう困難ではない一方で、豊氏は映画界であった3D立体視ブームが去ってしまった理由として「質の低い対応が多かった」と指摘し、適切な表現には試行錯誤が必要だと釘を刺すことも忘れませんでした。例えば、遊園地のアトラクションなどであるような、極端に前に出てくる画像を多用するような演出は長時間のゲームでは疲れてしまいます。また、画面の端に消えていくような演出も視差が大きく目の負担になります。映画「アバター」は単に立体視が出来るだけでなく、自然な演出をするためのノウハウを詰められた作品であり、ゲームも同様のノウハウの蓄積が肝要となってきそうです。