海外ゲームサイトCVGは「ニンテンドー3DS」が今年10月に発売されるという説を発表しています。英国業界筋からもたらされた情報で、本当であるなら極めて重大な意義を持つタイミングとなります。
任天堂が「噂と憶測」とする10月発売説ですが、単なるゴシップとして片づけられないのはなぜでしょうか。
「ニンテンドー3DS」は裸眼で3D映像が見られる携帯ゲーム機。家電各社は3D映像の普及を目指していますが、その多くは立体視にメガネが必要。裸眼で3D映像を携帯できる「ニンテンドー3DS」が大きな注目を集めています。
任天堂がブルーオーシャン(競争の少ない市場)を狙う傾向にあるのは皆さんご存じの通り。ソニーとマイクロソフトがHD画質のゲーム機で激しい競争を続ける中、モーションコントロールを打ち出してブルーオーシャンへとこぎ出しました。
しかし、モーションコントロールはレッドオーシャン(競争の激しい市場)となりつつあります。それというのもソニーやマイクロソフトがPlayStation MoveやProject Natalで猛追をかけようとしているから。動きでゲームを制御するモーションコントロールはファミリー層向けの題材に持ってこいなのです。
既にWiiではフィットネスやダンスをテーマとしたゲームがファミリー層を相手に激しい競争を繰り広げていますが、これにプレイステーション3やXbox360が参入する訳ですから、いかに混沌とした市場になるかは想像するに難くありません。
ここで登場したのが裸眼による3D映像です。家電各社が要メガネの3D映像を推す中、裸眼の3D映像が出てくればどうでしょうか。そのアドバンテージは極めて大きなものとなります。
つまり、任天堂はモーションコントロールというレッドオーシャン(になりつつある)場所から裸眼3D映像というブルーオーシャンへと飛躍できるのです。
飛躍に最も効果的なタイミングはどこでしょうか?それは、モーションコントロールでの競争がスタートする瞬間。そう、2010年のクリスマスシーズンです。
「ニンテンドー3DS」10月発売説は、ここにリアリティがあります。モーションコントロールから裸眼3D映像へ、他社を一世代突き放すことができるのです。ただでさえ多額のお金が動くクリスマスシーズンに、モーションコントロールという既存のものではなく裸眼3D映像ゲームという新しいものが提供できたらどうでしょう。そのインパクトは絶大ではないでしょうか。
これは任天堂が家電メーカーでなくゲームメーカーだからこそできる戦略。ゲームメーカーである任天堂は3D対応のTVもメガネも売る必要がないのです。
裸眼3D映像で一歩先んじることはソフトウェアの囲い込みにも効果があります。モーションコントロールのゲームがこれまでWiiの独壇場だったように、裸眼3D映像ゲームは「ニンテンドー3DS」専用のものとなるでしょう。ソフトウェア各社はモーションコントロールゲームをWii、プレイステーション3、Xbox360でマルチ展開することを狙っていますが、裸眼3D映像ゲームはどこへ移植できる訳でもありません。なにしろ、ハードウェアがないのですから。
以上の理由により、「ニンテンドー3DS」の10月発売説は「噂と憶測」では片づけられないものがあります。現時点で「ニンテンドー3DS」は「2011年3月期」に発売される予定ですが、次世代ゲーム機戦争は思ったよりも早くスタートするかもしれません。
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