「日本のゲーム開発が世界に遅れを取っているという話がありますが、それは決して真実ではありません」と和田氏は切り出します。「日米欧、それぞれのクリエイターと話すと、みんなそれぞれに問題にぶち当たり悩んでいるのです」
しかし、と和田氏は続けて「一つだけ違いがあるとすれば情報を共有し、議論し、そして向上していくという風土。これは日本人は下手な部分かもしれません。このCEDECという場が活性化し、それが習慣になり、日本のクリエイターの風土、文化になることを願っています」
CEDECや草の根の交流は近年の日本のゲーム業界で非常に活発になってきました。その一方で、自社の情報を外部に出す事について抵抗のある人や企業はまだまだ多くあります。和田氏はそうした懸念に対して3つの点で意味が無いと断言しました。
1. 情報や知恵は与えた分だけ返ってくる
情報を話す立場になると、それ以上の情報が自分に入ってくるようになる。
自分の情報をこの人に話せば、それ以上に返ってくるかもと思わせれば勝ち。
2. 話すに足りないというものは無い
イノベーションとは少しずつの工夫、知恵であり積み重ねであり、
何もゼロから夢のような発明品を生みだすだけが重要なのではない。
自分の経験をどんどん発表しよう。
3. 情報交換はWhatが目的ではない
情報交換で得られるのはHow(それをどのように実現するか)。
クリエイターにとって重要なWhat(何を実現するか)という事を開示することではない。
和田氏はこのように述べて、「3日間、思う存分議論を深めていただきたい」とオープニングスピーチを締めました。そして初日の基調講演であるコーエーテクモホールディングス社長でCEDECフェローを務める松原健二氏にバトンタッチしました。こちらの模様は後ほどお届けします。