まず、コンシューマゲームとの違いとして、スタッフ構成になります。コンシューマでは一般的にゲームデザイナー、グラフィックアーティスト、サウンドエンジニアなど水平分業型を採用していることろが多く、対してソーシャルでは少数精鋭型だと語られました。
対してグリーでの制作スタッフは、オールラウンドにこなせるスキル+αが必要で、エンジニアかつプロデュースができといったジェネラリストに近いスペシャリストの構成になるそうです。また、すべてのコミュニケーションコストを最小化に抑えるために、仕様書などはなく、意思決定は各プロダクトごとに持つといった流れで、責任の意識やスピード感など、各イノベーションがおこるようになるといったことが語られていました。
制作方針としては、データマイニング、インフラエンジニアが基本的なフレームワーク、やライブラリを準備し、クローンタイトルを生産しない体制でゲームを作成しているそうです。また、ゲームデザインやバナーデザインなどは、デザイナーなど個人のセンスよりも、数千万人のアンケートなど、数値化されたデータを指標に作成されています。
たとえばデザイン1つにもロジカルシンキングを盛り込み、「かわいい」、「かっこいい」といった抽象的なものではなく、アンケートなどによって数値で解析、プランナーや個人の「面白い」と思うのはマイノリティという思想で、ゲーム開発者は自分がマイノリティだということを自覚すべきといったことが語られていました。
そして、上記のようなPDCAサイクル(Plan Do Check Act)を、徹底して行うことによる生産管理や品質管理、来てもらう人を増やすのか、お金を使う人を増やすのかなど、重要業績評価指標のKPI(Key Performance Indicator)を作成し、企画を行ったことにより何%の変化が起こるのかを示し、実際にリリースしたときに何%変化したのかを記録、自分の規格制度をその都度修正し、ゲームの精度、企画やロジックを高めていくとのことです。
グリーのサーバーには、細かいデータマイニングツール「GREE Analytics」が設置されており、これにより会員登録日、登録を登録した経路、ユーザーの利用状況、課金利用率などから、各イベントの参加率、プレイ率、消費率、アイテム別売上、ゲーム進捗状況、継続率などを集計。このデータを参照し、それぞれのバランスを調整しているそうです。
グリーにおけるゲームでは、企画3大モデルと称され、「集客」、「活性化」、「収益化」を目標に制作されています。具体的には、ユーザーが「集まり」、「使い」、そして「収益」が上がり続ける仕組みというのを作っていく。このユーザーが○○し続ける仕組みが必要と語られていました。
また環境管理型アーキテクチャやインターフェース迷わない導線や環境をつくることで、ユーザーをコントロールすることが大事と語られていました。たとえばゲーム部分では文字を読むという行為が減るため、グラフィカルで表現していく。リストを表示させて、友人を巡回しやすくする導線を張るといった工夫がされているそうです。
集客部分では、ゲームデザイン部分はプロモーションが大事、ソーシャルデザインはバイラルといったことが語られたほか、ゲームがわからなくても興味を持ってもらえるようにするため、釣り、ガーデニングといった一般層にも親しみやすいものをモチーフとしたジャンルを採用するといったこと。運営者からのお知らせからよりも、友達からのお知らせのほうが会員登録や、プレイする率が高いため、ユーザー間でのコミュニケーションに重きを置いて活性化を行うことが大事といったことが語られました。
そのほかに短期・中期・長期のゲームサイクルに要求や達成感を配置したりといったことを踏まえ、友達招待のスパイラルが回り始めることが大事、スパイラル効果を可視化するといった工夫のほか、サービスタイトルのほとんどはコレクションの要素を満たすようにしているそうです。
グリーではこれらを数値をマイニングツールを用いて記録し、収益化へとつなげているとのことです。なお、課金部分では、細かいゲームバランスよりも課金機会の演出・効果の演出が重要で、課金アイテムは目で見てわかるような効果を持ったアイテムが大事。効果がなければ2度と購入されないといったことが語られていました。
最後にソーシャルゲームの未来として、ソーシャル化は、普段の生活に隠れていおり、新しいゲームデザインが生まれてくるのではなくて、ソーシャルゲームやアプリには普段の生活にヒットするようなものが隠れているんじゃないか・・・それをGREEプラットフォームで実現できればいいなと思っていると語られていました。
今後はスマートフォンおよびPCへの対応も強化していくとのことです。
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