レア社のKinect担当デベロップメントディレクターであるNick Burton氏とクリエイティブディレクターであるGeorge Andreas氏は、Kinectゲームの開発秘話を明かしています。
二人の元にKinectがもたらされたのは2008年8月。
「ピンポン球のついたスーツを着ることなく、お茶の間で動作するモーションキャプチャーシステム」という触れ込みでしたが、最初は半信半疑だったといいます。
しかし、実際に動作しているところを見るやいなやKinectの虜となり、「開発キットがもらえるまでオフィスに座り込んで動かなかった」そうです。
二人はKinectでどんなゲームを作るか相談を開始。
「お茶の間のカーペットをサメでいっぱいの海に見立て、いかだに乗って進んでいく」ゲームや「サタデー・ナイト・フィーバーばりのダンスゲームで、振り付けを間違えるとミラーボールが降ってくる」など様々なアイデアを出したそうです。
紆余曲折の末、セミプロ級のフットボール選手だったAndreas氏のアイデアにより、シンプルなフットボールゲームを作ることになりました。Kinectの技術デモ的な側面を帯びたフットボールゲームは2008年のクリスマスシーズンに完成。
Andreas氏は当時の気持ちを「僕らは『Wii Sports』と対決したかった。Kinectがあれば、Wiiよりももっといろんなことができると分かっていたんだ」と語っています。
Kinectの立ち上げはファミリー層に訴求することが決まり、二人はよりファミリー受けするスポーツとしてボーリングを選びます。ライバルである『Wii Sports』にもボーリングゲームはあったものの、「ボールを投げるために画面に向けて走る」という『Wii Sports』にはなかったリアリティを加えることで差別化に成功。ボーリングゲームのプロトタイプを3日で完成させたそうです。
その後、開発がPCからXbox360の実機に移行することで、遅延の増加などのトラブルが起こったものの、三ヶ月の時間を費やして見事に乗り越えることに成功しました。
Burton氏は、『Milo』のようなバーチャルキャラクターとの対話を行うにはあと5年は必要だろうとしながらも、会話のデータベースにインターネットとクラウド・コンピューティングを使えばチューリングテスト(人間と人工知能を判別するテスト)にパスすることはより簡単になると夢を語ります。
「発売日はKinectがストップする日じゃない。それはまさに始まりの日なんだ」
Kinectゲームの開発にまつわる技術者魂、いかがだったでしょうか。しばらく前までは身体を動かすゲームが夢物語だったことを考えると、5年後には本当にKinectを介してバーチャルキャラクターと話をする時代が来るのかも知れませんね。
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