エレクトロニック・アーツから9日に発売された『ニード・フォー・スピード ホット・パースート』のプレイステーション3版を事前に遊ばさせていただくことができました。・・・そして気がつけば17時間が過ぎていました。(正確には17時間1分。うちオンラインは4時間5分)
『ニード・フォー・スピード ホット・パースート』は、人気レースゲーム『ニード・フォー・スピード』シリーズの新作で・・・といった説明は堅苦しいので、このゲームの魅力をひと言で表現しましょう。
『ニード・フォー・スピード ホット・パースート』は、「ケイドロ」です。
地域によって「ドロジュン」「ドロケイ」と呼び方が異なるようですが、子供の頃にやった警官(刑事)チームと泥棒(犯人)チームに分かれてやる多人数鬼ごっこ。あの遊びの楽しさと緊張感が、このゲームには詰まっています。
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レーサー対警察の鬼ごっこ!? |
『ニード・フォー・スピード』シリーズは、どちらかといえば硬派なレースゲームのシリーズです。マシン同士(すべて実在する車種)がコンマ1秒を競う、カーブを鋭く切り込むようなレースを展開するのが基本です。ところが『ホット・パースート』では、そこに「ケイドロ」の要素を盛り込んだのです。
■追う者と追われる者…君はどっちの味方?
レースを開始すると、冒頭にこんなムービーが流れます。
公道で熾烈なレースを繰り広げるマシンの一団が、猛スピードで駆け抜ける。すると、道路わきから複数のパトカーが現れ、すぐさま追尾を開始する…。まるで映画「キャノン・ボール」のオープニング・シーンを想起させるカッコよさです。
これほど素敵な演出ができたのには、きっと開発チームに「キャノン・ボール」のファンがいたか、そこになぜか日本人役で出ていたジャッキー・チェンのファンがいたからに違いありません。
『ホット・パースート』では、このムービーで描かれる追う側と追われる側、そのどちらでもプレイすることができます。
メインモードである「CAREER」を選ぶと、マップ上にいくつかレースを行うロケーションが表示されます。ここには、大きく分けて「レーサー」と「警察」の2種類のアイコンがあります。「レーサー」の黄色いアイコンを選ぶと追われる側に、「警察」の青いアイコンを選ぶと追う側になるわけです。
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警察 | プレイヤー |
レーサーイベントには、ライバルのマシンとレースする(警察は出てこない)「レース」、単独でコースを走る「タイムトライアル」、追いかけてくる警察の妨害を避けながら、同時にレースを行う「ホットパースート」などの各モードがあります。
一方、警察イベントはレーサーイベントを逆サイドから見たもので、制限時間内に仲間のもとへ駆けつける「ラピッドレスポンス」、逃走する違反車両を追跡し、体当たりで逮捕する「インターセプター」、公道でレースするマシンの一団を一網打尽にする「ホットパースート」などといったモードが用意されています。
ちなみに、『ホット・パースート』には「ナイトロ」と呼ばれる加速装置があります。これは、危険走行をすることで貯まるメーターを消費するもので、メーター量に応じた時間分、スピードアップすることができるのです。
「ラピッドレスポンス」には、レースイベントの「タイムトライアル」と異なり、一般車両やガードレールなどに接触すると、時間が加算されるペナルティがあるのですが、ここでそのナイトロを駆使して走っていると、「ハイスピード電流イライラ棒!」といった趣を堪能することができます。
■逃走VS追撃
また、いわゆる本格「ケイドロ」モードである「ホットパースート」では、体当たりでレーサーのマシンを食い止めるほか、各種「ウェポン」の使用が可能です。
たとえば、「ヘリコプター」を使うと警察ヘリが出動。レーサーの前に、踏むとタイヤにダメージを与える「スパイク・ストリップ」を設置してくれます。自分のマシンからも「スパイク・ストリップ」を落とし、後続レーサーにダメージを与えられるほか、「EMP」という電磁波で敵マシンのコントロールを一時的に奪う装置や、仲間の警察車両に道路を封鎖してもらう「ブロック」などがあります。
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多彩なウェポンで駆け引きしろ |
ただ、レーサーチームも同様の「ウェポン」を備えているため、やり返される可能性も十分にあり、ここに駆け引きの楽しさがあります。タイトルの『pursuit(パースート)』には、「追跡」「追撃」といった意味がありますが、まさに「逃走VS追撃」の構図が、ここに凝縮されているわけです。
もちろんレースゲームとしての面でも作り込んであり、やたらにドリフトをしていても速度はあがらず、カーブではコース取りを考えて運転する必要があります、また、コース上にはわき道がいくつか存在しますが、必ずしも近道になるとは限らないので、使いどころを見極めなければなりません。
■爆弾のようなレースゲーム
さて、ここまでを総合して見ると、これまでの『ニード・フォー・スピード』が鋭利なナイフのような尖ったレースゲームだとすれば、『ホットパースート』は「爆弾のようなレースゲーム」と言えるのではないでしょうか。
特に本作は、『バーンアウト』シリーズの開発元として知られるCriterion Gamesが開発していますから、その「爆弾度」が半端ではありません。念のために説明しておくと、『バーンアウト』シリーズは「派手に事故ったもん勝ち」な、おバカな要素満載のレースゲームで、直近の数作は同じエレクトロニック・アーツから発売されています。
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ライバルは容赦なくクラッシュさせろ |
これがオンラインに接続されると、さらに面白味のあるものとなります。
オンラインでは各マシンがカテゴリ分けされており、そのカテゴリに沿って「レース」、「ホットパースート」、警察とレーサーが1対1で対決する「インターセプト」などを遊ぶことができます。いわば、世界レベルでの「ケイドロ」を堪能できるわけです。
ヒヨッコの内は、すぐ敵マシンに逮捕されたり大破させられたりする可能性がありますが、そうなったとしても、レース終了まで他プレイヤーのドライブを見ることができるので、そこでテクニックを盗めば短時間で上達できるはずです。
なお、本作はすでに北米地域などで発売されており、アメリカやイギリスのユーザーが多く存在しているため、マッチングで待たされることはありませんでした。
・・・こうしてレビューを書いていると、すぐにも『ホットパースート』を再開したくなってきました。冒頭に17時間プレイしたと書きましたが、情報画面によればこれでもゲーム全体の41%しかクリアしていないとのこと。単純に見積もっても、倍以上遊べることになりますし、オンラインを含めるとさらに末永く遊べそうです。
皆さんも、世界最速の「ケイドロ」に参加しませんか?
『ニード・フォー・スピード ホット・パースート』は12月9日発売。価格はPS3版とXbox360版が7,665円。Wii版が6,090円。PC版はオープン価格です。