AeroBee担当者によれば、「いわゆる電子書籍用の端末であれば、コンシューマーの需要がある程度予測できるが、業務用電子ぺーパーに対する需要もあると考え、この分野に参入した。APIを用意する予定なので、ユーザーは市場に応じたアプリケーションを開発し、組み込み装置としても展開できる」と説明する。同社では、会議・書類の表示端末、営業・サポート端末、物流・配送指示端末、電子カルテ、電子書籍・教科書、災害支援システム、広告塔(デジタルサイネージ)など、幅広い分野で電子ペーパーの需要があると見込んでいる。
では、なぜ電子ペーパーが有望なのか? それは電子ペーパーが、紙と電子デバイスの良いとこどりをしたデバイスであり、消費電力ゼロのエコ設計を実現できるからだ。単に文字や絵を表示するだけでなく、ユーザーがデータを書き換えることも可能で、そのときだけ電力を消費する。すなわち紙資源と電力の双方の消費問題を解決できるわけだ。
電子ペーパーの原理は、プラスに帯電した黒い電子粉流体と、マイナスに帯電した白い電子粉流体を分留し、2枚のガラス基板間に電圧をかけることによって表示を切り替えるというもの。同社では電子ペーパーを開発するにあたり、タイヤ設計・加工技術で培ったノウハウとナノテクノロジーを駆使することで、「電子粉流体」に先鞭をつけたことが大きなポイントになったという。電子粉流体は、粒子と液体の中間的特性を兼ね備えた物質で、浮遊状態に匹敵する高流動性と、電気に敏感に反応する性質が大きな特徴だ。
同社のAeroBeeでは、表面反射を利用した表示を行うため、視野角が広く、紙のような優れた視認性を実現できる。さらに画面がチラつかず、直射日光下でも見やすく、目に優しいというメリットもある。また紙と同じ反射型であるためバックライトも不要で、表示パネルが薄型になり、発熱もしない。モノクロだけでなく、カラーフィルターを用いたフルカラー表示(RGB、ホワイト)も可能だ。
AeroBee端末は、用途に合わせてA3、A4、8インチ、A5、A7サイズのモジュールがあり、曲面展示が可能なフレキシブル対応品なども用意している。今回の出展では、実際に来場者がAeroBee端末を体験できるコーナーが設けられていた。
【FINETECH JAPAN 2011(Vol.6)】 ブリヂストンの電子ペーパー「AeroBee」……紙の使い心地へ
《井上猛雄@RBB TODAY》編集部おすすめの記事
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