まず3年後に見込まれるのは、放送・通信連携による「HybridCast(ハイブリッドキャスト)」だ。放送されている映像と通信回線経由の映像をシンクロさせ、放送映像のなかの一部に通信経由の映像を表示したり、通信経由でメタデータを提供することで、メニュー充実を図っていくことがコンセプトとなっている。サービス提供事業者、放送事業者の一部データはクラウド(コンテンツサーバ、サプリケーションサーバ、ネットワークサーバ、管理サーバ)に集約される。ここでは、IPTVに代表されるようなコンテンツ、ネット動画、アプリケーション、データ放送、地上デジタル、BS放送も包括する形となる。Google TVの得意とする範囲に、地デジ、BS、データ放送の範疇をプラスしたイメージだ。
「通信機能を持つというでプル型のしくみをテレビも持つことが魅力的だが、HybridCastというのはそういうことだけではなくて、番組制作者のために今までとは違ったコンテンツ制作に役立てることができるのでは」と藤沢氏は話す。
10年後にはスーパーハイビジョンが登場する。スーパーハイビジョンでは、1フレームあたり3300万画素(7680×4320)の超解像度が実現(現在ITU-Rで標準化が進められている)。ここまでの解像度になると視距離は画面高の0.75倍で、画質の粗が見えない。そのため、かなりの臨場感を味わえる。ちなみに、スーパーハイビジョンの音声は22.2チャンネルとなる。氏によると「最近では、そこにあたかも物があるかのような、映像との見極めがつかない“実物感”を味わえるシーン(利用)についても研究している」という。このためのカメラの開発については、昨年、第3世代(800万画素CMOS×4枚、1.25インチ光学系 20kg)に続いて、フル解像度カメラ(3300万画素CMOS×3枚 2.5インチ光学系 65kg)を開発した。昨年アムステルダムで開催された「IBC 2010」では、駅前の広場の映像を生中継するデモを行い好評を得たという。
そして20年後に登場するのが空間像再生型立体テレビだ。ここでは被写体があたかも空間にあるような形で生成され、視聴者は目が疲れることなく自然な形で観ることができる。インテグラル式テレビでは、レンズアレイに、テレビの画素にあたる微小なレンズ(20×20)が多数配列される。このレンズアレイはスーパーハイビジョンカメラの前に置かれ、奥行き制御レンズを通して被写体をとらえる。実はこの方式のテレビの研究は平成21年に文部科学大臣賞を受賞、ラスベガスで開催されたNAB2009でも一部お披露目されている。当時は、レンズアレイは光ファイバーを多数束ねた「ファイバーアレイ」を用いることで、リアルタイムで立体映像が得られると発表された。
【FINETECH JAPAN 2011(Vol.7)】20年後の放送技術までを紹介……NHK技研副所長 藤沢秀一氏
《編集部@RBB TODAY》編集部おすすめの記事
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