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グリー広告事業本部長の浅沼氏 |
登壇者はグリーで広告事業本部長を務める浅沼達平氏、米国を中心にスマートフォン向けアドネットワークを運営するMillenium Mediaのシニアバイスプレジデント ビジネスデベロップメント担当のIssac Babbs氏、そしてTapJoyのMihir Shah社長兼CEO、さらに中国で広告事業を展開するMadhouseの創業者でありCEOのJoshua Maa氏です。
まず浅沼氏は、グリーが4~6月期にも予定しているグローバルプラットフォームの立ち上げと歩調を合わせる形で、広告事業本部も海外に向けての広告事業を強化すると説明しました。具体的には海外でのメディアバイイングやキャンペーンの支援を実施。海外での人員配置を行うほか、今回登場したようなパートナーとの連携を図っていくとしました。
グリーの『Zombie Jombie』の海外展開に当たっては、Millemiumのネットワークを活用して、カナダ・ニュージーランド・オーストラリアという英語圏の3カ国でテストマーケティングを実施。実際の米国ロンチではリッチメディア(動画)を活用し、高いコンバージョンレートを実現したとのこと。また、非常に規模の大きなCPC広告を実施したとのこと。
ディスカッションでまず議題として挙がったのは永遠の課題とも言える"効果的なプロモーションを行う方法"。MilleniumのBabbs氏は「グリーの場合はテストマーケティングを行いました。ユーザーがどう反応するか、どういう方法であればバズを起こせるか。A/Bテストを入念に行う事は悪くありません」とコメント。TapJoyのShah氏もこれに同意し「TapJoyでは殆ど全てのアプリをカナダでテストしています」と述べます。米国に近い感覚を持つカナダでテストし、ARPUやコンバージョンレートなどがどのくらいになるか検証するそうです。
また、二人の口から上がったのは"単純なCPIではなく生涯価値を見る重要性"です。Babbs氏は「競争が激しくCPIは上昇傾向にありますが、生涯価値を見る必要がある」と言います。フリーミアムモデルによってアプリの寿命は長くなりました。AppStoreでの購入時にお金を集めるというモデルは過去の物になりつつあります。広告効果を検証する際にも、単純な獲得単価では測れなくなっています。TapJoyでも獲得単価ではなく、生涯価値を勘案した価格体系もあるそうです。
さらに広告は単体のアプリではなくその企業のブランドに繋がれば理想的です。TapJoyのShah氏は「ブランドがある企業のアプリは20~25%程度コンバージョンが良くなる傾向があります」と証言。MilleniumのBabbs氏も「ブランドは大きく選択に影響を与えるもので、それと素晴らしいゲームが組み合わさった時ほど強力なものはありません」と続けます。MadhouseのMaa氏はさらに「大きなユーザーベースを構築してしまえば、クロスプロモーションだけでも大きな効果を上げることができるようになります」とコメント。殆どお金を使わずにシリーズ作をヒットさせる『Angry Birds』のRovioを例に挙げました。
市場としては欧米だけでなく、数億台のスマートフォンが普及すると考えられる中国も注目です。MadhouseのMaa氏は「実を言うと参入には2010年がベストだったと思います。しかし時間が過ぎるのを待つよりはいま参入する方が良いでしょう」とコメント。獲得単価は上昇中で、2年後には10ドルくらいになってしまうかもしれないと述べました。TapJoyのShah氏も「市場として問題点が無いわけではないが、我々もアプリ事業者と一緒に問題を解決していきたい」とコメント。有望な市場であるという点には同意しました。
AppStoreで上位を獲得したグリーの『Zombie Jombie』も、これらの広告を積極的に活用したとのことで、海外展開では重要性を増しそうな広告。長い歴史のある家庭用でも未だ苦戦をしている、世界のユーザーの心を掴むという大変、しかし夢のある旅の始まりです。