我々は、もっと大きなプラットフォームになって、お客様やデベロッパー様が活用する価値を感じてもらうことが必要だと思います。2年前にプラットフォームをオープン化した時のユーザー数は1500万人でした。それが2年足らずで倍になりました。スマートフォンでも、これから全力でコンテンツを提供していきますし、先般買収したFunzioもトップセールスに複数ランクインさせるような会社です。自社開発タイトルも成功しつつありますので、とても良いポジションにあると思っています。
もう一点はプラットフォームが提供する機能がゲームをより良いものにするということです。日米のゲームを比較すると、実は日本のゲームの方が何倍もお客様の継続率が高いんです。継続率の差は数日では明らかになりませんが、長いスパンで見れば大きな差になります。コミュニケーション機能がゲームに組み込まれることによって継続率が向上し、それが収益にも大きなインパクトを与えます。
それから、これは声を大にして言いたいのですが、いまアメリカでグリー以上に熱心にソーシャルゲームをやろうとしている会社はありません。大リーグに挑戦した野茂英雄さんのようになりたいんです。グリーだけじゃなくて、例えばサイバーエージェントさんやエイチームさんなど同じように挑戦する会社も増えてきました。『Zombie Jombie』の事例を熱く話すと「青柳さんがそこまで言うなら...」と理解してくれる方も増えてきました。
―――ちょうど名前が出たので聞きたいのですが、『Zombie Jombie』の成功はどのように分析されていますか?
1つは欧米向けに徹底的にカスタマイズしたということです。それがゾンビというテーマでもありますし、こちらのお客様はカードゲームに慣れていないということもあるので飽きさせない工夫を随所に入れています。日本特有のコンテンツを好きな方も一定数はいますが、それは少数派ですので、まずは幅広い層の方が楽しめるように、見た目や雰囲気作りを大切にしました。買収したFunzioを含めて40~50人のデザイナー、エンジニアがいます。その人達のセンスを大事にしています。
もう1つは、日本で培ってきた運営手法、例えばゲーム提供後に行うイベント運営やアップデートの実施などを丁寧に行ったことです。最初にβサービスをアメリカ以外の国でやったのですが、最初の数字は「厳しいな...」という感じでした。しかし、それを受け止めて改善を続ける事を数ヶ月間繰り返すときちんと数字は付いてきました。日本人の勤勉で丁寧なやり方は、そのまま海外でも活かす事ができます。これは自信を持っていいです。ただ、デベロッパー様にとってチャレンジなのは、プラットフォームが集客まできちんとやれる体勢がまだ出来てないことです。グローバルで成功するにはきちんとしたプロモーションが必要です。『進撃のバハムート』もそこをきちんとやられています。しかし体力が求められますので、そこにプラットフォーマーの価値も出てくると思います。
―――プラットフォームの中でユーザーが持続的に回遊するという状況はまだグローバルでは作れていないということでしょうか?
それを言うのはまだ立ち上がったばかりで時期尚早な気もしますが、徐々に出来上がっていっているところかと思います。買収したFunzioでもアプリ内のクロスプロモーションを行う事で、二桁パーセントでユーザーの回遊がみられました。なので、単体ゲームからプラットフォームの全体で機能的に同じ事を一般化できるかはチャレンジですが、手応えはあります。今後数ヶ月で様々なゲームで試してみて形にしていきたいですね。
実は日本でプラットフォームを出したときも最初は「思ったよりもお客様が集まらないね」というようなお叱りの声をいただくことが多くて、それで皆で頑張って改善をしていったという経緯があります。グローバルでも、この数ヶ月、改善を繰り返して年末の大きな山になるサンクスギビング(感謝祭)を目指していきたいと思います。
■シリコンバレーで成功した会社に