本イベント最大の特徴は「ゲームが完成していなくても応募できる」点です。これに海外のインディゲーム開発者が飛びつき、化学反応を起こした結果、年々奇想天外なゲームのデモが登場してきました。しかも、その中から世界最大級のインディゲームの祭典「インディペンデントゲームフェスティバル」で受賞したり、商業展開に繋がるゲームも登場したりと、いまやインディゲームの登竜門として位置づけらるほどになっています。
こうした海外勢の勢いに引きずられて、日本の応募作品も着実にレベルアップ。例年以上に濃く、奇天烈な10作品が登場しました。これに加えて、司会の新清士氏(IGDA日本)、イザベル・マサボさん、そして逐次通訳のおりなす日本語・英語のカオスでアナーキーな運営進行に会場は沸騰寸前。聴衆も一緒になってピコピコハンマーを振りながら、「センスオブワンダー」を体験していました。
■「誰かこれを説明して」コーナー
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GRANDMASTER(ウクライナ)
Artur Mine and Dmitry Verbitsky(Beast Mode)
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ホームレスの生活がテーマのアクションゲームです。ゴミ箱をタッチ操作であさりながら食べ物を探したり、ゴキブリをつぶしたり、警官と戦ったりして、路上生活者としてサバイブしていきます。ゲームのテーマやグラフィックテイストもさることながら、「いいじゃないか、いいじゃないか」と、突然歌い出す制作チームのノリがセンスオブワンダー。場内から大きな笑いが巻き起こっていました。
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chumamちゅまむ(日本)
石田翔(い~といん)
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2人協力プレイ専用ゲームで、各自がスマートフォンを持ち、進行ルートを作り出していくアクションパズルです。ルート上を移動するピンちゃん、チルちゃんが画面外にさしかかるタイミングで、ルートをピンチイン(はさんで閉じる)と端末間を移動させられます。これを繰り返して取得アイテムや、合流回数に応じたスコアを競うというもの。コロンブスの卵的な発想に、聴衆のピコピコハンマーが盛り上がりました。
■「どんなものだか見てみたい」コーナー
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BREAKS(日本)
なんも/柳原隆幸(FullPowerSideAttack.com)
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タブレットの画面をタッチしながら、円形のフィールド上を跳ね回るボールを操作して、次々に出現するブロックを破壊していくアクションゲームです。ゲーム内のさまざまな状況(イベント)にあわせてBGMにエフェクトがかかり、ゲームプレイそのもので演奏が楽しめる内容になっています。プレゼンでは『リッジレーサー』などのサウンドで著名な佐野電磁氏より、楽曲「Electric Player」の提供を受け、たっぷり5分間のデモプレイが行われました。
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光弾の射手 The Light Shooter(日本)
安本匡佑(東京工科大学)
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電子弓デバイスを用いた射的ゲームです。電子弓にセンサーが埋め込まれており、真っ暗な画面に向けて弦を引き絞ると、スポットライトで白い線と点のみで表現された世界が浮かび上がります。画面内のモンスターが外に出てしまうまえに、すべて射貫けばゲームクリア。フォースフィードバックなどの手触り感と没入感、そして想像力の喚起や認識力といった要素の融合がコンセプト。東京工科大学ブースでも展示され、多くの来場者を集めていました。
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TAISO(日本)
雑魚雑魚
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昨年「暗暗迷路(くらくらめいろ)」で入選をはたした「雑魚雑魚」がパワーアップして帰ってきました。その名の通り体操競技をモチーフとしたゲームですが、最大のポイントは競技にあわせてiPhoneの本体ごと、くるくる回転させる点です。ペラペラのキャラクターにピコピコサウンドの組み合わせ、そして技術の無駄づかい感あふれる内容が衝撃的。加えて合成音声による開発日誌の読み上げが中心のプレゼンスタイルが一番のセンスオブワンダーだったと言えるでしょう。
■「クールな既存ゲームの再定義」コーナー
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Douse(アメリカ)
DigiPen Team Terrabyte
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タイトルの「Douse」は英語で「水を浴びせる」という意味。ゲームは横スクロールのプラットフォームアクションで、雨の精霊を操作しながらステージを進み、森に生命を与えていきます。枯れた花の回りを歩くと、花が生き生きと甦ったり、精霊の移動にあわせてBGMが奏でられたりと、まるで絵本のページをめくっているかのよう。制作チームのデジペン工科大学はシアトルにあるゲーム専門学校で、そのクオリティの高さでもセンスオブワンダーでした。
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BACKWORLDS(スウェーデン)
Anders Ekermo & Juha Kangas
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「二つの世界を行き来する」タイプのパズルアクションで、タブレットの画面をスワイプすると、そこだけもう一つの世界・・・すわなち「バックワールド」が現れます。バックワールドは場所によって風が吹いたり、時間が止まったり、重力が逆転したりとギミックが満載。これらをうまく活用してパズルをクリアしていきます。タッチ操作により、「お絵かき」感覚でプレイできるゲームになっていました。
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BARA BARI BALL(アメリカ)
Noah Sasso(Strange Flavor)
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8ビットテイストの対戦アクションで、プレイヤーキャラクターを操作して画面上のボールをキャッチし、相手の体当たり攻撃を避けながら、キャラクターの色にあった水面にボールを落とせばポイントゲット。これを繰り返してスコアを競い合うという内容です。キャラクターの回りにはドットが表示され、これがジャンプできる回数を示しています。長く遊び続けられるシンプルなゲーム作りが目標とのことでしたが、十分に実現されているように感じられました。
■「とてつもなく奇妙で美しい」コーナー
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MEMORY OF A BROKEN DIMENSION(アメリカ)
Ezra Hanson-White(sole creator)
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PCやOSを弄っているような感覚をテーマとしたアドベンチャーゲームで、プレイするとOS風のキャラクターベース画面が表示されます。ディレクトリでファイル構造を見ながらコマンドをタイプしていくと、バラバラなデータが浮遊している画面が現れます。そこで適切なポイントに移動するなどして進めていき、環境自体を再構築していくというもの。文字通り「センスオブワンダー」な内容で、審査員の一人、UBM TechWeb Game Networkのサイモン・カーレス氏に「What?」と言わしめたほど。一方でプレゼンの最後をブルースクリーンで締めくくるなど、ユーモアも感じさせる内容でした。
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TENGAMI(イギリス)
Jennifer Schneidereit(Nyamyam)
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「飛び出す絵本」(Pop-up book)を彷彿とさせる横スクロールアクションゲームで、プレイヤーは日本の原風景を舞台に、さまざまなパズルを解きながら進んでいきます。タブレットをスワイプすると次のページ(ステージ)が登場し、中には1ページ内に複数のサブページがあることも。絵本風の仕掛けをスワイプしてパズルをクリアするなどの要素も入っています。すべてのアートワークを印刷して製本すると、実際の飛び出す絵本にすることもできるとか。完成度は20%程度で、来年のリリースが予定されています。
■気になるオーディエンス賞は?
このように甲乙つけがたい内容ばかりでしたが、各企業賞は下記のように決定。5回目で初となる「金のピコピコハンマー」が贈呈されると、受賞者は嬉しそうにピコピコと振り続け、聴衆の拍手そしてピコピコに答えていました。そして最も聴衆のピコピコを集めたオーディエンス賞は、ホームレスパワーが炸裂したウクライナの使者「GRANDMASTER」に決定。大盛況のうちに閉幕となりました。
【GMOインターネット賞】TAISO
【GREE賞】ちゅまむ
【Joju Games賞】BACKWORLDS
【日本マイクロソフト賞】光弾の射手
【NHNジャパン賞】GRANDMASTER
【UBM TechWeb Game Network賞】MEMORY OF A BROKEN DIMENSION
【オーディエンス賞】GRANDMASTER
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