このリストは業界誌の編集者が選ぶもので、単に良いゲームを作ったデベロッパーが選ばれたわけではありません。「良いゲームで成功しただけでは充分ではなく、この一年間を良い方向で定義付けたデベロッパーに送るもの」だということです。後年、振り返った時、2012年を象徴するデベロッパーやスタジオだということです。
■Cactus
http://cactusquid.blogspot.jp/
スウェーデンの個人デベロッパーで、非常にマニアックで変わった短編ゲームを多数リリース。次回作の『Hotline Miami』は80年代のような2Dグラフィックスとクリエイティブ性が融合した期待作。海賊行為を容認するような先進的な姿勢も高く注目。プレイヤーが払いたいだけ払う「Pay What You Want」システムを先導しました。
■Cygames
http://www.cygames.co.jp/
「全く新しいセグメントを開拓するのは常に困難だが、東京のCygamesはそれを成し遂げた」と高く評価。『神撃のバハムート』(Rage of Bahamut)は年初に米国でリリースされ、「驚くべき成功」を収めました。これは流行ではなく、ニッチなコアゲーマーから高い収益を得ることで成功することができるというモデルを多くのデベロッパーに提示した、としています。
■Double Fine
http://www.doublefine.com/
ゲーム開発がゲームプレイヤーの資金によって成り立つという民主化を果たした2012年。それに先鞭をつけたのはDouble Fineの『Double Fine Adventure』でした。同社はKickstarterで当初の希望額の8倍にも上る3300万ドルを集め、クラウドファンディングの時代の到来を告げました。また、次に何のプロジェクトを進めるべきか募集する「Amnesia Fortnight」プロジェクトも行いました。
■King.com
http://www.king.com/
ゴールドラッシュの時代を過ぎて参入しても大きな地位を築くことができる、一気にフェイスブックでナンバー2の地位に上り詰めたKing.comはそれを証明します。さらに同社はフェイスブックで獲得したユーザーをモバイルでも活用し、iOSでも成功を続けています。『Bubble Witch Saga』(バブルを消すパズルゲーム)は決して最初のポジションではないが、上手くやることで何番手でも成功できることを証明した、と評価されました。
■Christine Love
http://blog.scoutshonour.com/
トロントのインディーデベロッパー、Christine Loveは日本スタイルのビジュアルノベルを西欧に紹介。2月に発売された『Analogue: A Hate Story』は残された日記を紐解き、失われた文明の謎を解き明かしていくというゲーム。可愛らしいキャラクターも登場。インディーズながら4万本以上のセールスも記録したとのこと。
■Obsidian Entertainment
http://www.obsidian.net/
Double Fineがクラウドファンディングを成功させたのに続いて、Obsidian Entertainmentはクラウドゲーム開発とも言うべき世界を構築。常にユーザーに情報を共有、まるでチームの一員であるように感じさせます。また、ObsidianがトリプルAを作るデベロッパーから華麗に転身した点も評価されてのトップ10入りです。
■Supercell
http://www.supercell.net/
フィンランドのデベロッパーSupercell。2011年にブラウザのMOアクションRPG『Gunshine』で壮絶な失敗をした後の華麗な転身を予想した人はいるのでしょうか? iOSでリリースした『Clash of Clans』『Hay Day』の大ヒットは毎日50万ドルを同社にもたらしているとのこと。失敗から学ぶ、これを上手くやりきったということです。
■Telltale Games
http://www.telltalegames.com/
エピソード毎に販売するというビジネスモデルを打ち立てたTalltale。なかなか大ヒット作を生み出せずにいましたが、テレビドラマを元にした『The Walking Dead』はビジネス面でも、続きを遊びたくなるというクリエイティブ性の面でも大きな成功を収めました。本作はPSNやXBLAなどで徐々に最新エピソードを配信していくという形でリリースされました。
■ThatGameCompany
http://thatgamecompany.com/
『風の旅ビト』(Jorney)で再びThatGameCompanyは卓越したクリエイティブ性を発揮した。『Flow』『Flower』と続いたソニーとの3部作を全く裏切らず完遂した。ゲームでありながら、ゲームでない、独特の地位を築いたところが評価されました。ただし、同社はソニーとの契約を終え、大物クリエイターも退職を発表。『The Unfinished Swan』のような同社の成功を追うタイトルの登場もあり、今後どのような方向を目指すのか注目されます。
■Ubisoft Montreal
http://www.ubi.com/
大手パブリッシャー傘下のデベロッパーとして唯一のランクイン。カナダのモントリオールで今年の大ヒットタイトル『アサシンクリードIII』や来年の期待作『ファークライ3』、更にはE3で全世界の注目を引き受けた『Watch Dogs』など、トリプルAを生み出すスタジオの中でも突出してゲームとしても、ビジネスとしても成功を収めているスタジオとして評価。「ユービーアイソフト モントリオールのようなスタジオがあれば人々は喜んでゲームに60ドルを払うのを辞めることはないだろう」Gamasutraは締め括っています。