これは、日本の伝統文化のひとつと言える茶道にゲーム的なインタラクティブ性を融合させて注目されたもので、テラダナオさんによる作品です。テラダナオさんは京都のゲーム会社トーセにて勤務されている1年目の新入社員とのことで、学生時代は立命館大学望月ゼミに在籍されており、この茶道プラスはその時の卒業制作であったそうです。
この『茶道プラス』は、お茶会の形式が取られた作品で、実際に参加者にもお菓子とお茶が振舞われました。なお、この時に使用されたお茶碗は時雨殿のものが使われており、これは小倉百人一首にあわせて100種類用意されていたものであったとのことです。
『茶道プラス』は音に合わせて変化するインタラクティブな茶掛けや照明など様々なデバイスで構成されています。茶掛けは、赤外線カメラにより反射シールが張られた茶筅のX軸Y軸を検出し、その動きに合わせて描かれている「お花観覧車」が動くという仕掛けで、他にもマイクで拾った音の大きさでカラーやサイズなどが様々な変化を見せるというユニークなものでした。また照明もマイクが拾った音によって変化する仕掛けが取り入れられており光の演出が茶会を淡く照らしていました。
このように、茶道からはおおよそ関連性が想像できない光センサー、Bluetoothといった技術が多く利用されているのが印象的でした。
テラダナオさんは、「伝統文化というものは新しいものを積み重ねていってこそのものである」とされ、古き良きものを守る事も大切ではあるが、センサーやプログラムといった茶道とは一見関係のないものを取り入れていく事も伝統文化を継承していく上では大切なことである。ビデオゲームを伝統文化として長く続けていくためには、今存在しているものを保存してアーカイブを構築して次の世代に伝えていき、それを元に新しいものを生み出していくことが必要。この作品で伝えたい事とこのカンファレンスの趣旨は似ていると語られていました。