■前半は光田氏の楽曲を中心に都会の喧騒を忘れて
開始となる19時半を迎えると幕が上がり、間髪入れずにキーボードが「CHRONO CHROSS ~時の傷跡~ 」のイントロを奏で始めました。そこへメロディとして加わるのは尺八とベース。たっぷりとイントロを奏であげ、「時の傷跡」特有の緊張感あるケルティックな刻みに入るのかと思うと、サスペンドシンバルがクレッシェンドしていきました。
これが、もしやライブの開幕としてこれで終わるのか!?と思わせる長さで、少しばかりドキドキしていたらドラムの4拍が飛び込んできて颯爽とヴァオリンの刻みが入ってきました。この一連だけで一気に引きこまれることになるとは。彼らの名前は「SUPER JOHN BROTHERS」。尺八・ヴァイオリン、キーボード、ベース、ドラムの5人からなる、ギターの存在しない非常に特殊な構成のバンドです。
前半は『クロノ』シリーズなど光田氏が手がける楽曲が多く、この編成に合わせてか、原曲の雰囲気は壊さずにアダルドなアレンジになっているのが印象でした。平日の夜、仕事帰りの気分や都会の喧騒を忘れさせるように澄み切った空間が広がっていきます。
『聖剣伝説2』の「子午線の祀り」では一変、攻撃的な音楽が披露されました。ベースのアタックが心地よいものの、それに乗っかるヴァイオリンは大忙し。尺八も持ち替えが多く、途中には尺八とベースが超絶技巧とも言える旋律をユニゾンしたり、視覚的にも見どころがある一曲となりました。短距離走かのように走り切ると、客席からは「ブラボー!」の声。その後のMCで尺八を務める神永さんが「もう、ライブクライマックスみたいになってますけど」と切り出すと、会場はそのとおりと言った具合にドッと笑いと拍手が起こりました。
ここで一人目のゲストである琴の沖政さんを迎え、『FFV』の「レナのテーマ」が始まると再び会場の雰囲気はしっとりと。途中、沖政さんが『FF』シリーズのメインテーマであるアルペジオをちらっと入れていて、これには奏者もお客さんもにやりとした表情を浮かべていました。
休憩中には演奏のクオリティに興奮冷めやらぬ感じで会話するお客さんの光景があり、後半への期待も高まります。
■後半はまた一変、音楽での大冒険と音楽でつながる楽しさが
後半は楽しげに『MOTHER』シリーズをメドレーで。「ポリアンナ」のメロディから入り、「オネットのテーマ」へ。「自転車のテーマ」では配られた自転車のベルでお客さんがチリンチリンと大合唱、目をつぶってみると本当に自転車がすれ違っているようで面白かったです。このメドレーは全部で5曲。音楽で『MOTHER』の世界を大冒険していきました。
ここで、発表された曲目になかった『MOTHER』の「エイト・メロディーズ」の話が始まりました。神永さんがこの曲を好きになったのは小学生の頃に音楽の教科書に載っていたことから。音楽の時間に合奏して「めちゃくちゃいい曲だな」と思っていたけど教科書にもゲームの曲との記載がなく、大きくなってから『MOTHER』を遊んで、ゲームに使われていたことを知ったそうです。学校で習った曲で1番いい曲だなと思っていた曲がゲーム音楽だったなんて、「どれだけ僕はゲーム音楽が好きなんだろう」とはにかみ演奏に入っていきました。
イベント最後は、ラッパーの上鈴木兄弟を迎えての『パラッパラッパー』シリーズ!お二人とも『パラッパラッパー』はめちゃくちゃに遊んでいて、ネット上の『パラッパラッパー』コミュニティではプレイはもちろんヒップホップの知識でブイブイ言わせてたとか。
なごやかなトークを切り上げ、タマネギ先生の「アータタタタ、チャー!」のかけ声で、『パラッパラッパー2』より「Romantic Love」からスタート。リリックも今回のイベント用にアレンジして日本語も混じっています。両端に立つ上鈴木兄弟、「ラヴ、キック!」の声に「ラヴ、キック!」と応えて、タマネギ先生とパラッパがそこにいるという光景がそこに!
「Come A Long Way」では水谷さんが新境地のディーヴァスタイルでの歌唱を披露。途中、伯周さんはカッティングがグッとくるフロウでラッパーの本領を発揮、一方崇浩さんのバースではちょっとおちゃめに「ファミコン生まれ ゲームで育ち 指にタコあるやつ だいたい友達」と韻を踏んでいったかと思うと、「だから今日は眼鏡が多い」と落としたので思わず笑ってしまいました。
最後は『パラッパラッパー』のエンディングでもある「クラブパーティー・ラップ」。MC.キングコング.ムシさながらに上鈴木兄弟が呼びかけると、お客さんも「HO・HO・HO!」と笑顔で答えていて、この場にいる喜びがドンドン会場中に伝染している感じが素晴らしかったです。ゲームでは、MC.キングコング.ムシにどんなことを問われても最後は「I Gotta Believe!!(自分を信じること)」と力強く答えるパラッパに心惹かれるシーンでもあるんですよね。
アンコールは限界のテンポに挑戦した「子午線の祀り」と最後にふさわしい「スマイル・アンド・ティアーズ」でした。今回のライブは奏者も非常に楽しそうなのが印象的で、メロディを支える岡島さん(Dr)とAKIRAさん(Ba)のアイコンタクトに、音楽を楽しむ喜びを教えてもらう一幕も。
実に二時間半も及ぶライブでしたが、最後の最後まで惜しみない拍手がおくられました。
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