先月開催された「METAL GEAR RISING REVENGEANCE BOOT CAMP」で行われたインタビューでは、ゲームの内容についてはもちろん、開発の経緯、そしてプラチナゲームズのアクションゲームへのこだわり、さらにはこれからのことまで、たっぷりと聞くことができました。
まず1本目となる本記事では、開発が小島プロダクションからプラチナゲームズに移行する課程など、紆余曲折あった開発の経緯について伺いました。
■新しいゲームを1本作る感じだった・・・プラチナゲームズ開発までの経緯
―――本日はよろしくお願いします。まず、紆余曲折あった本作の開発経緯についてうかがいます。当初は小島プロダクション内で開発していましたが、最終的にプラチナゲームズへと開発が引き継がれました。そのあたりの引き継ぎはスムーズに行えたのでしょうか
是角:スムーズにといいますか、プラチナゲームズさんにお願いするにあたりゲームデザインについては、「全てお任せします」という形で、僕たちの作ってきたものをお渡ししました。渡した材料について、どう料理するかはプラチナゲームズさんに一任しましたが、世界観やカットシーンの監修、シナリオの制作についてはこちら(=小島プロダクション)が引き続き担当しましたから、引き継ぎというところでの問題はあまり無かったですね。
―――では、その後はプラチナゲームズさんが自由に開発された?
是角:そうですね。もうホントに好き勝手上がってきて・・・(一同笑)。
稲葉:(渡された)材料を驚くほどに使っていなくてね(笑)。
齋藤:キャラクターなどに関する材料も、ほとんど使っていなくて、ほぼウチの独自でまかなっています。
―――お話を聞いていると大幅な変更があったようですが、何割程度が変更になったのでしょうか
齋藤:ほぼ1から全部ですね。
稲葉:うん。新しいゲームを一本作る感じですね。ただ、キャラクターとかを含め、全部を捨てたいとかいう気持ちではなかったんですよ。捨てるということではなく、こちらが(ゲームを)組み上げるにあたり、結果としてそうなってしまったと。
―――なるほど。では稲葉さん自身は最初に話をもらった時点で、1から作ろうと考えていたのでしょうか
稲葉:いや、「結果的に1から作ることになるかもしれないけど、できればそうならないといいな」という淡い期待を抱いていました(笑)。まぁ、でもしょうがないなと。
齋藤:やはり、ウチで開発しやすい環境といいますか、どうやれば1番パフォーマンスが出るかというのを内部でも検討して、その結論として「1から作る」ということを決めました。
稲葉:その辺の判断は現場に任せたので、「お前らが決めたんだから、そこはちゃんとやりなさいよ」と(一同笑)。
玉利:でも、メカなんかはかなりそのまま残っていますよね。
齋藤:キャラクターデザインやメカデザインが既にあったものについては、ほぼ流用させて頂いています。さすがに、1から作るのはもったいなかった部分もあるので。
―――そうしたデザインはそのままで、他のデザインを1から作っていったと
齋藤:そうですね。新たに作り直したのは「ボスキャラ」と「雷電(本作主人公)を取り囲むキャラクター」のデザインですね。後は、シナリオに関する部分を総取っ替えしています。
玉利:システム的な部分では、「自由切断」という部分と、「斬奪」というところは生かして頂いています。それは、プラチナさんの判断で、こちらからは「絶対にそれを使ってくれ」という話はしていません。
齋藤:やっぱり、最初に『METAL GEAR SOLID RISING』のPVが発表された時に、「自由切断」というところが、見ていた側としては、とても印象に残っていて、「このゲームどうなるんだろう?」という期待を抱きました。そこを残さないと話にならんかなぁという事もあったので、どう料理していくかを考えて、苦労してゲームにしていきました(笑)。
稲葉:「うわースゲェ!これ、スゲェ!」ってなりながら、「これゲームとしてまとめるの大変そう・・・」って一ユーザーとして見てたのが、急にバトンがポンって投げられてきて・・・(一同笑)。そりゃ、大変だよなぁって思いましたね。
―――見ている側からすると楽しみだというのと、実際に自分たちで作るというのは別の問題なんですね
稲葉:やるやらない以前に、そういうのってクリエイターとして分かるんですよね。でも、あそこ(自由切断と斬奪)を切っちゃうと、ユーザーのワクワク感ごと切っちゃうのと同じなので、それはできなかったですね。
―――それを分かりながらも、引き受ける決め手となったことは何だったんでしょうか
稲葉:決め手は、「小島プロダクションから真剣にお話を頂いた」ことです。それ以上でもそれ以下でもないですよ。最初にお話を頂いて・・・。あ、これ正式にですよ?冗談じゃなくて(一同笑)。
是角:案外冗談ぽく言うからね(笑)。
稲葉:こっちも気になっているんで、パーティーとかで会うと「『RISING』どうなんですか?開発順調なんですか?」って聞いてたんですよ。それに対して(小島監督は)「うん・・・。まぁね」というような、割とふわっとしたリアクションしかなかったんです。なので、正式にお話を頂いた時点で、条件とかそういったモノは全て度外視して、「作りたい」という答えは決まっていました。
―――クリエイターとして純粋に作ってみたかったんですね
稲葉:それもそうですし、こんなチャンスでもなければ『メタルギア』という名前が冠にあるゲームに、僕たちが関わるチャンスなんて無いはずですからね。逆に、この提案を断る理由が僕には思いつきません。
確かにリスクを考えれば断る理由はいっぱいありますよ。「完成するのか?」とか・・・(一同笑)。あとは「ファンからの反応が怖い」とか、そういうのを考えれば山ほど出てきます。
齋藤:最初は、かなりリスクが高いと思いましたけどね(笑)。『メタルギア』の世界観というと、価値がもの凄いじゃないですか?しかも「25年」というすごく重い歴史を背負うからには、相当な覚悟が必要なのかなと。
稲葉:むしろ、悩んでいたら断っていたんじゃないのかな。悩めば悩むほどリスクの方が大きく感じますから、やりたいと思うんだったらやった方が良いんですよ。だから、今回の判断は正しかったんだと思います。
―――今回、開発をプラチナゲームズに依頼すると決めたのは小島監督ご自身ですか
是角:はい。小島です。もともと小島は、このままだと開発は成就しないだろうと考えていました。ただ、ゲームとしては、キャラクターも魅力的だし、「自由切断」というゲーム的なところも面白いので、ポテンシャルはあると。なので、このゲームをそのまま捨ててしまうのは惜しいと思っていました。その時点では、ストーリーとか、背景とかキャラクターは出来ていて、「ゲームデザイン」がまとまっていなかったんですね。そこで、日本のデベロッパーで世界的に評価の高いアクションゲームを数多く生み出しているプラチナゲームズさんが最適なパートナーだということになりました。
―――依頼も小島監督が直々にされたのでしょうか
稲葉:そうですね。とある業界の催し事の後に、別室で僕と社長の三並(プラチナゲームズ代表取締役 三並達也氏)で小島監督と直接お話をさせて頂きました。
インタビュー記事第2弾では、本作のシナリオやシステムについて、詳しくお話を聞くことができました。プラチナゲームズのアクションゲームに対するこだわりが随所に感じられる内容となっていますので、ぜひチェックしてみてください。
(C)Konami Digital Entertainment Developed by PlatinumGames Inc.
関連リンク
編集部おすすめの記事
特集
ソニー アクセスランキング
-
PS5の“クリエイトボタン”では何ができる?よりスムーズになった機能を体験
-
PS5までの歴代PlayStation据え置きハードを振り返る!これまでの進歩とこれからの進歩を見比べよう
-
テトリスがちょっぴり苦手な『ぷよテト2』プレイヤー向け、テトリス基礎知識!覚えるだけで序盤の動きがグッとレベルアップするぞ
-
「全FF大投票」で異例の躍進を遂げたエメトセルクって誰?『FF14』の“新参者”が歴代キャラを超えて「キャラクター部門」6位になった背景を探る
-
ゾンビの一部を武器にする『レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア』最新映像
-
『モンハンワールド:アイスボーン』新古龍「イヴェルカーナ」を追え! 新アクション「クラッチ」や「ナルガクルガ」参戦など【生放送まとめ】
-
『原神』稲妻には“自力で”行けるのか?ガイアやボートを駆使し、大海原を進んでみた
-
【オトナの乙女ゲーム道】第22回:攻略キャラ全員女性声優!一味違うときめき&安心を感じた『Goes!』プレイレポ
-
【特集】『FFXIV』で行われた親孝行「光のお父さん計画」達成記念!親子2人を突撃インタビュー
-
PS5で遊ぶPS4タイトルの動作を検証!ロード時間にフレームレート、どれだけ快適に変化するのか【動画あり】