Audiokineticはカナダ・モントリオールに本社を置くクロスプラットフォーム・オーディオソリューションを提供する企業。同社の代表製品である「Wwise」は世界中で数多くのゲームデベロッパーに使用されているクロスプラットフォームのオーディオエンジンであり、300を超えるAAAタイトルで採用されています。AAAタイトルのみならず、インディ―ズやモバイルゲームでも多く採用されているということです。
イベントに登壇したクライン氏は「世界を代表するゲームデベロッパー多く存在する日本は、非常に重要なマーケットである」と日本法人設立の意義を語りました。また、東京に設立された日本法人はアジア展開のハブとしても機能させていくとのことです。
また、「デベロッパーにとって、新たなツールを導入することはリスクが高いと捉えられるが、多くのフィードバックを得てツールの品質を向上させることはもちろん、カスタマーサポートの充実を図り、そうしたリスクを低くしている」と語りました。
日本市場への進出は、同社にとっても重要な優先事項であり、2006年頃から進出に向けた足がかりを作ってきました。先日はシリコンスタジオとパートナーシップを締結しましたが、今後も多くの企業とパートナーシップを結んでいく方針だということです。
続いて、日本法人のテクニカルセールス代表の田島政朋氏が登壇しました。田島氏はカリフォルニア州立大学を卒業後、ハリウッドでPAを務め、その後は日本のゲーム会社でサウンド関連の業務を携わってきたとのこと。「日本のゲーム会社に最先端の技術を提供できることに大変興奮しており、誇りに思う」と挨拶をしました。
その後は、日本法人でサポートマネージャーを務めるニコラ・フォルネル氏が登壇しました。コナミやソニー、エレクトロニック・アーツなどで20年以上に渡ってサウンド関連の業務を担当してきたスペシャリストです。「各社で独自のエンジンを使用しながら作業をしてきたからこそ、優秀なミドルウェアがどれだけ有用かを理解しています」とWwiseの意義を語りました。
フォルネル氏は「Wwise」について「使用方法は簡単であり、インテグレートもスムーズに行える。そして、カスタマーサポートが大変に充実している」とし、「日本でサポートを担当できることを光栄に思う。デベロッパーの開発のお役に立てれば嬉しい」と述べました。
ここで実例として、「Wwise」を使用して制作されたゲームPS3ソフト『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』のサウンド開発を担当した、プラチナゲームズの田中直人氏(ミュージックディレクター)、中越健太郎(リードサウンドデザイナー)が登壇し、「Wwise」導入の意義をプレゼンしました。こちらの模様は別記事でお伝えします。
最後に、再度田島氏が登壇し、「Wwise 2013.1」の新機能を紹介しました。
■Wwise 2013.1の新機能
・HDR Audioの導入:ダイナミックなミキシングが自動で行える
・「Meter」ビューの実装:True Peak、PeakとRMSのメーターとラウドネスメーターの2種類
・バスのポジションとチャンネル設定
・Wwise上でのソース編集:トリム、フェード、クロスフェード、HDRエンベロープの編集が可能になる。元ファイルは保持される。
・「Voice Monitor」ビューの実装:バス再生中のモニターが可能に
・『LIMBO』の教育利用:Wwiseで制作された横スクロールアクションゲーム『LIMBO』に、実際にWwiseで作成したサウンドを取り込むことができる
・ソースのラウドネス・ノーマライゼーション
・2D/3Dポジショニング:ランタイムスイッチ
・「シングルクリック」のワークフロー
・新プロパティ「Initial Delay」
・新しいスイッチアサインシステム:インタラクティブミュージック