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スマホゲームのマーケティング専門家集団、AppBroadCastが目指す「脱・リワード依存」

異なる経歴を持つゲーム業界のスペシャリスト3人が集結し、スマートフォン向けゲームのコンサルティングで市場改革を目指すAppBroadCastが設立されました。

ゲームビジネス 市場
異なる経歴を持つゲーム業界のスペシャリスト3人が集結し、スマートフォン向けゲームのコンサルティングで市場改革を目指すAppBroadCastが設立されました。Pre-Install-Play-Action-Sleep(PIPAS/パイパス)という新しい考え方を提案し、精度の高いマーケティングを提案し業界の更なる発展を目指します。

2013年2月に設立され、できたてホヤホヤの会社を率いる精鋭部隊に、事業内容とこれからの方向性を聞きました。

―――まず、自己紹介をお願いします

小原聖誉: 2001年にスパイシーソフトという会社を起こし、携帯のゲームを検索するアプリゲットという媒体を立ち上げました。その後、イントロム社に合流し、主にGoogle Play向けプロモーション支援やコンサルティングをしてきました。その事業部門をもとに作ったのがAppBroadCastです。後に、佐伯が合流し、清水が合流しました。

佐伯英恵: 以前は某大手ゲーム会社で働いており、6年程前からはモバイルゲームのプロモーションに関わり、ここ1,2年ではスマートフォン向けネイティブゲームにも携わりました。広告市場の成長とともに試行錯誤しながら進めていったので、これからもっと色々と広くやっていけるのでは?と思い今に至ります。

清水翔: 最初の会社はファンコミュニケーションでモバイルのアフィリエイトを4年弱経験、その後アトランティスを経てグリーに所属し、スマートフォンのアドネットワークとグリーリワードに携わりましたが、スマホのアプリのプロモーションやマネタイズの事業をしたいなと思ったところで、小原さんと出会いました。

―――AppBroadCastという社名の由来は何ですか?

小原: アプリを広めたいという顧客の想いに応えるために問題解決に取り組んでいく会社ですから、アプリをブロードキャストするというこの名前がはまりました。ゆくゆくは集客コンサル業務から派生してメディアを作りたいとも思っていますので、集客に携わる事を広く行いますよ、という意味も込めています。

―――どのような事業をされるのでしょうか?

小原: 最も広げていきたいのは、”ネイティブソーシャルゲームの最適な集客コンサルティング”です。代理店サイドというよりは、会社の中に入って課題をキャッチアップし、それに対してソリューションを提供していくというようなスタンスでいきたいと思っています。

清水: 課題として考えているのは、プロモーションする人がアプリを提供する会社に少ないという点です。あまりノウハウや知見をもたないディレクターさんがそのままプロモーションして上手くいかないケースを見てきましたので、そこにニーズがあるのではないかと思っています。

―――普通の広告代理店という立ち位置よりも、もう一息お客さんの視点からアプローチしていく、という感じがありますね。今のベストなプロモーションとはどのような方法なのでしょうか?

小原: 僕は「PIPAS(パイパス)」と言う考え方を取り入れようと思っています。PIPASは、「Pre-Install-Play-Action-Sleep」の略で、ユーザーのネイティブアプリのライフサイクルを分解したものです。ポイントは、PIPASの各段階で”プロダクトベース、プロモーションベース、パブリシティベースの3軸で施策を打つ”ということです。

PIPASに対し3つの施策があるとなると、”15個のマトリクス”が出てきます。この15個の項目を業界に対して1つ1つ丁寧に行っている会社が、一番良いプロモーションを行っている会社と言えます。それぞれのマトリクスに対して最適なソリューションがありますので、国内外問わずに仕入れ、どうすべきなのかをお客様と共に追求していきたいと思っています。現状は余りにも「Install」の施策のみに依存しているケースが多いように感じます。

例えば、15ある要素の中の1つ、Sleep(休眠状態)に関してプロダクトベースで行うべき事は、プッシュ通知の活用です。ただ、通知する内容によっては、CTRが良かったとしても、結局アンインストールに繋がることがありますので、コンテンツ毎・ユーザ毎に最適な通知運用フローを構築していく必要があると考えています。



―――PIPASが全部できれば理想ですが、そこまでの余力がない場合は?

小原: もちろん、状況に応じて対応可能です。新規タイトルの企画段階から関与できるか、それとも既存のアプリなのか、広告予算があるかないか、など、それぞれの状況に合わせて優先順位をつけることが可能です。例えば既存のアプリであれば、PIPASの“P”はなくなっているけれど、”IPAS”の中で何が課題かということを診断させて頂き、ボトルネックに対してソリューションを提供していくことが出来ます。全てに対して対策するのは理想論ですが、お客様のコンテンツの状況に合わせてどれを中心に行えば収益に直結するのかという視点で実施していくつもりです。

―――実際の会社は、広告・広報・制作が分かれていることが多いので、その辺をうまく繋げられそうですね。

小原: そうですね。多くの会社様では各部ごとに情報共有をなさっていることが多いと思われますが、例えば我々は関連部門を一同に集めて社内勉強会を実施させて頂くこともあり、全社での意識共有を促進する役割も担っています。プロモーションをしている人とプロダクトをしている人、或いは決裁者と現場の人、それぞれが何をしているのかが分からないことは多々ありますので、その橋渡しをするのも我々の仕事です。マーケティングは市場を取るためのものですので、我々は各案件を自分事として捉え、関係者のゴールのベクトルを合わせ、確実な提案をしていきたいと思います。

―――佐伯さんもプロモーション理論をお持ちだと聞きました

佐伯: 私がネイティブアプリの宣伝担当をしていた時、パブリシティでの情報出しとアプリリリース前の事前登録を行いました。当時実践している会社が少ない中、リリース時点をピークに持ってくるという方法を行った結果、図らずとも順位が上がり、無料でランキング対策することもできました。このように、タイトルの特性によって様々な提案をすることで、お金がなくても良いプロモーションが可能なのです。

また、ブースト広告が最も象徴的ですが、CPI(Cost per Install/インストール獲得に必要なコスト)がいくらかで決められた商品価値と、実際のゲームの売上で回収できる見込み金額とは結び付かないこともありますので、費用をどう使うか判断するかが重要なポイントです。広告から入ってきた人がどれくらいアクティブユーザーに転換をしたかを考えるのが最も効果的と考え、CPIとDAUを合わせ、「CPDAU」(Cost per DAU/アクティブユーザーを獲得するためのコスト)という視点で考えていきたいと思っています。

―――DAUになってしまえば、そこからの課金率は算出できるものでしょうか?

佐伯: そこからはプロダクト側が努力する範疇になりますが、DAU獲得数がわかれ
ば、各種係数をかけることで、広告経由の見込み利益が想定できると思います。

小原: 順番がステージによって違ってきますので、重要な指標は、アプリのフェーズに応じて組みかえる形になります。そのためには我々がコンテンツの特性やステージをしっかりと理解する必要があります。そうすれば、適切な提案ができますね。

―――やはり、運営のプランニングの段階から一緒にやるのがベストでしょうか?

小原: そうですね。現在はそのような形で色々な案件にご協力させていただいています。

―――始めはDAU重視で、そのうち売上も重視して…という理論が確立されると面白そうですね。

小原: はい。是非、それを確立させたいと思っています。F2P型コンテンツの場合は継続率が最重要指標だと考えています。いわゆる勝ち組の会社では当然のことになっていますが、初期フェーズに課金率とARPPUに目が行き過ぎて継続率がおざなりになっている会社が多いのが現状かもしれません。

―――清水さんのアプローチは、どのようなものでしょうか?

清水: 現状は、代理店やアドネットワークのノウハウの知見が運用担当者に大きく依存しており、効果もかなり差が出ています。そのプランニングも含め、うまく運用出来るような体制を整えようと考えています。

今後は、LTV(Life Time Value/ユーザーの生涯価値)やCPDAUをレポーティングできるようなサービスツールを作っていって、媒体さんもしっかりと儲かるような仕組みを作っていきたいなと思っています。媒体の付加価値を上げることができれば、アプリデベロッパーさんやウェブメディアさんの収益も改善され、市場の拡大にも繋がりますから。広告のお金が流通するような市場を作るためには、クライアントの状況を整備するのが大事なのではないかと思います。

―――効果に差があるということで、例えば、継続率が低いと一般的に考えられるリワードの中でも、継続率が高いユーザーが多いような媒体もあるということでしょうか?

小原: リワードを実施する広告主は、自然流入によるランキングアップを狙っていますので、実際リワードからの売り上げは少ないと考えられます。つまり、リワード経由ではDAUに残るユーザは他の広告手法に比べると少ないということになります。ランキング上げすると動機の薄いユーザー、いわゆるライトユーザが中心に入ってきますのでオーガニックなユーザーさんの課金率は高くはありません。しかしながら、CPIで見るともっとも効率よく獲得ができるということはメリットとしてあります。それに比べると、アドネットワークの場合はLTVも計測しながら運用することができますので、課金ユーザの集客という視点では効率的ですね。ただし、課題は現状では獲得数が多くなく、いっても月3000件前後ということになります。

―――それでは、リワードでランキングアップを行い、課金ユーザーはアドネットワークで集めるというパターンが最も良い方法でしょうか?

小原: それが最も確実な方法ですが、コンテンツにもよると考えています。カジュアルなものであればランキングアップが有効ですし、容量の大きくディープなものの場合はアドネットワークのほうが有効かと思います。例えば容量が大きくディープなものの場合は、ランキング上げしたとしても、インストール或いはアプリ起動時に離脱してしまう可能性があります。

―――様々なクライアントと取引されているかと思いますが、主にどのような悩みが多いのでしょうか?

小原: 一番多いのは、アプリをリリースしたが思ったほど儲からない!一言でいうと「パズドラが儲かっているからやったのにそんなに儲からない」というお客さんは多いです。
そのお客さんのアプリの状況を把握しますと、継続率・課金率・ARPPUの観点から見て、そもそも継続率に課題があることが多いような気がします。この状況でプロモーションしても難しいと言えるでしょう。

確かに『パズドラ』のように大成功しているゲームは大々的なテレビCMを打っています。しかしそれはユーザーを集めれば確実に儲かるという段階まで完成されたゲームがまずあって、テレビCMが先ではありません。認知を広げても、インストール率やインストール後の離脱率が高いゲーム、課金率が低いゲームをプロモーションしてもザルで水をすくうようなものです。これからのネイティブゲーム市場は、” プロダクト、プロモーション、パブリシティ"の3つのバランスが必要です。特にまずは完成されたプロダクトが必要でしょう。

―――ではCMができないような小さな会社も伸びしろがあるということでしょうか?

小原: 勿論あります。PIPASの5つの段階に3軸で、計15のマトリクスに適切な施策を打つ、これに限ります。ネイティブゲーム市場はレッドオーシャンになりつつありますので、出せば売れるという時代ではありませんが、PIPASを含めた対策をこれから真面目に進めていけば、勝てる環境は必ずあります。これらの施策を完璧にやれている会社はトップの会社の中にもありません。さらに黙っていてもスマートフォンのユーザーはまだまだ伸びていきますから可能性はどんどん広がっていきます。

―――それでは、最後に意気込みを聞かせてください。

小原:PIPASは、広告市場を良い流れへ導く重要なアプローチとなります。あらゆるコンテンツに合わせて適切なCPDAU解析を行い、広告主だけでなく、媒体を巻き込んだコンサルティングをしていきたいと思います!

佐伯: LTVやCPDAUをしっかり分析すれば、費用対効果を最適化することができます。
我々は、広告主の立場に立ってプランニングをするということを基本とし、まずはソーシャルゲームというジャンルをとっかかりに、ゆくゆくはスマートフォン市場全体が発展するようなものを提供していきた いと思います。

清水:広告主、コンサル、媒体社とバックグラウンドの違う3人が集まっての運営は非常に強いです。3人それぞれ持っている知識を合わせ、刺激しあいながら私たち自身も常に勉強しています。枠にとらわれない柔軟な発想で、確実な提案を発信していきたいと考えています。

―――本日はどうもありがとうございました
《土本学》
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