枝廣氏は、gloopsに来る前は大手広告代理店である電通に勤務しており、2012年8月からgloopsにてマーケティングを手がけているとのことです。今回の講演では、これまでマーケティングで用いられてきた指標とは異なる指標を基にプロモーションを行うべきだ、という持論を展開しました。
枝廣氏はまず、gloopsがここまでどのような成長を遂げてきたのかを説明しました。gloopsは、2011年6月期から1年間で約6倍もの売り上げ成長を見せており、『三国志バトル』をはじめ多くのヒットコンテンツを世に送り出しています。またgloopsは社員の平均年齢が20代という非常に若い会社で、31歳の枝廣氏は「もうかなり年上の方になってしまいました」と笑っていました。
枝廣氏は「矢野経済研究所の発表によると、スマートフォン市場は4256億円以上になるだろうとされています。私自身は、もう少し大きくなるのではないかと思いますが。さらに、アメリカの市場規模も拡大しており、現在1億2000万人に達しております。ガンホーさんの決済を見ればわかるとおり、これから市場は予想のつかないスピードで成長していくでしょう」と語りました。
さらに「この拡大する市場の中で、コンテンツは非常に多く差別化は困難です。一方で、スマートフォンが普及することで、ユーザーがゲームコンテンツにふれる機会は増加していきます。そのような状態では、中途半端な作品は受け入れられません。そんな中でgloopsが注視しているのは、インストール数ではありません。アクティブユーザー数(AU)の数です」と持論を展開しました。
インストール数ではなく、今後プレイしてくれるであろうアクティブユーザーの数を把握することで、適切なプロモーションが展開できるのだというのが、枝廣氏の持論です。また、テレビCMなどのマス広告を展開することは非常に有効だけれど、コンテンツ側が受け入れる準備をしていなければ結果としてユーザーを逃してしまい、コストに対して効果が薄いと説明し、聴衆には頷く人も多く見られました。
枝廣氏の話は、さらに海外でのコンテンツ展開にも及びました。枝廣氏は「日本では自分ひとりでゲームを始めて、その後もリアルではあまりそのことを口外しないが、アメリカでは友人からの紹介で始める人が圧倒的に多いんです。そうしたユーザーの動きの違いを見極める必要がありますね」と語りました。このあたりは、すでに『Warriors of Odin』など海外展開を行っているgloopsならではの意見であり、賛同する人も多かったように思います。
最後に枝廣氏は「現在gloopsでは、一緒に働いてくれるメンバーを募集しています。僕は広告代理店出身ですが、ほかにもメディア出身の人がいたり、他業種からのメンバーが大勢います。興味のある人はぜひお声がけください」と呼びかけて、講演は終了となりました。
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