「Wiiバイタリティセンサー」は、自律神経の働きを知覚する入力機器で、それを用いた新たなゲームの可能性を期待されている周辺機器でした。発表があったのは2009年ですが、2013年を迎えても発売に関するアナウンスなどはありません。
開発が頓挫した可能性などの不安を感じた株主から、「Wiiバイタリティセンサー」がどうなったのかという質問が上がり、取締役社長である岩田聡氏がこれに答えました。
「ある程度でき上がってから社内でかなり大規模なモニターをしてみたところ、その理論どおりに反応が表れないという人がいることもわかりました。例えば、「100人の方に試していただいて、90人は期待どおりに動くが、10人には期待どおりにならない」というものを商品化できるのか、ということを考えました」
そして「Wiiバイタリティセンサー」の今後に関して岩田社長は、「100人のうちの90人ではなくて1000人のうち999人が問題ないという状態になりましたら、初めて商品として世の中に出したいと思います」と、基準の目安を99.9%だと語りました。本来であれば100%を目指すべきかもしれませんが、生体信号という個人差のある情報を扱う機器を、一定の販売額以下に抑える前提を踏まえると、充分に高いハードルのように思います。
発表したものを実行するのは、企業として当然の努力ではあります。しかしその命題に固執するあまり、不完全なものをリリースしてしまうのは、企業としてのモラルが欠ける行為でしょう。新しい試みゆえに容易に飛び越せないハードルですが、半端な妥協をしないその姿勢は、「リリース未定」という不利益を負いながらも、「信頼」という長期的な利益を失わない、任天堂の在り方なのかもしれません。
なお、同じ質問内に「知人の任天堂社員から、社員食堂の質があまりよくないという話を聞いた」との下りがあり、この問いかけに岩田社長は「これは大変個人差があって、全員がそう言っているわけではありません。それでもそういう意見は一定数存在しますので、会社としての課題として検討しております」と答えました。
味の感じ方は、十人十色。これは奇しくも、「Wiiバイタリティセンサー」の話にも通じてる側面があるように思います。大半の人が美味いと感じる料理と、あらゆる人が美味いと感じる料理は、似ているように見えながらも、その製作難度は桁違いでしょう。
限りなく「あらゆる人」に近い、99.9%という達成率。その偉業を任天堂はクリアできるのでしょうか。新たなチャレンジの続報が待たれます。
(C)Nintendo
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