公演に先立ち、成歩堂龍一役・兼崎健太郎さんが「『逆転裁判』の世界観を存分に表現した舞台になっています。最後まで全力で頑張りますので応援してください」、御剣怜侍役・和田琢磨さんが「舞台オリジナルストーリーのため、すでに『逆転裁判』を知っている人も知らない方も楽しめると思います」と挨拶しました。
舞台「逆転裁判 逆転のスポットライト」の物語は、ゲームでおなじみの人気ヒーロー「大江戸戦士トノサマン」を上演する劇場から始まります。ナルホドくんにマヨイちゃん、 御剣検事とイトノコ刑事のコンビ達はもちろん、事件の影にはヤッパリ矢張、オバチャンこと大場カオル、アクションスターの荷星三郎といった面々も登場。とはいえ、舞台オリジナルキャラも『逆転裁判』シリーズに負けないくらい個性的ですよ。
本作は、最新作『逆転裁判5』と同様に初めて『逆転裁判』シリーズに触れる人でもしっかり楽しめるようになっています。キャラクターの魅力や関係性について分かりやすく描いていますので、しっかりと世界観を堪能できると感じました。ゲームを知っていればピンとくる演出もありますが、事件そのものはゲームと全く異なります。そのため、すでに十分プレイしたユーザーでも犯人やトリックを推理しながら観覧できます。
全体的には『逆転裁判』シリーズが持つ、コミカルでテンポのいい展開を楽しむことができます。笑いを誘う部分やツッコミ所はかなり多いため、油断していると大変なことになります。とくに矢張とオバチャン、オリジナルキャラの芽多田内亨と華煮衝江里斗、それから「着信音」には要注意です。
このほか、トノサマンによる大立ち回りやミュージカル的な要素も盛り込まれており、上演中は舞台から一瞬も目が離せません。一方、裁判所のシーンでもナルホドくんの焦りようや行き当たりばったり具合、重大なことに気づいた際の絶叫などには笑いを堪え切れないほど。当然これだけではなく、御剣検事との緊迫した応酬もきちんと用意されているので安心してください。舞台ならではの、映像を使わない独自の再現VTRも必見です。
また「舞台上で起きた事件」というのも見所の1つ。事件の導入部では、まるで自分たちが舞台に登場しているかのような没入感を楽しめますし、謎を解き進めていく際には「舞台のお約束」を知ることができました。例えば舞台装置の仕組みやスタッフから見た舞台の様子、演出のタイミングや何故舞台役者はクルーと呼ばれるのかなど、思わず「ナルホド!」と頷いてしまう知識ばかりです。
そして終盤は、出演者による迫真の演技に思わず涙がこぼれてしまったほど。舞台に関わるスタッフや役者にとって、タイトルの「スポットライト」がどういう意味を持つのかを考えさせられました。
残念ながら前売りチケットは発売後すぐに完売しており、当日券をわずかに残すのみ。参加したくてもできなかった数多くのファンのため、再演や新たな舞台作品を心待ちにしたいところです。なお8月17日には舞台キャストやゲーム開発陣が登場するファンイベントが開催されますので、チケットが手に入らなかったファンはこちらへの参加してみてはいかがでしょうか。
(C)CAPCOM
(C)ADK Arts
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