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【そそれぽ】第75回:推理ドラマに介入する感覚!色褪せない名作ADV『ファミコン探偵倶楽部 PARTII うしろに立つ少女』をプレイしたよ!

インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそこと津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート、第75回を迎えました【そそれぽ】のお時間です。

任天堂 Wii U
インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそこと津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート、第75回を迎えました【そそれぽ】のお時間です。

ゲリラ豪雨、突然の雷雨、この夏は特に多くないですか?日中パソコンに向かって仕事をしている都合上、落雷などによる停電は本当に恐怖。身近なところに、怖いものって案外潜んでるものなんですよね。

というわけで、今回プレイするのは任天堂のWii Uバーチャルコンソール、スーパーファミコンソフト『ファミコン探偵倶楽部 PARTII うしろに立つ少女』です。

スーパーファミコンの末期に活躍したカセット書き換えサービス「ニンテンドウパワー」専用ソフトということで、現在では実機でプレイするのがなかなか難しい状況。バーチャルコンソールなら手軽にプレイできるので、本当に良い時代になったものです。同じく連載中の【女子もゲーム三昧】でも、今回「ニンテンドウパワー」が生んだ名作『はじまりの森』をレポートしているそうなので、この週末はスーパーファミコン末期の底力をインサイドから感じ取ってみてくださいね(笑)。それでは、早速プレイしていきましょう。

※画像はiPhone及びデジタルカメラでテレビ画面やWii U GamePadを直接撮影したものです。


■コマンド選択式アドベンチャーゲーム
冒頭、女子高生殺人事件が発生し、その調査をすることになった探偵の主人公。殺人事件は、被害者の女子高生が通う学校の「うしろの少女」と呼ばれる奇妙な怪談話と、全く別に起きた過去のある事件がリンクしていき、双方のさまざまな謎がやがてひとつの真実へと結びついていきます。

主人公の行動をコマンドで選んでいきながら物語を進行する「コマンド選択式」のアドベンチャーゲームとなっていて、気になる人物の話を聞いたり、怪しい場所を調べたりしていきながら、推理を重ねていき、章仕立てのストーリーを進行していきます。


■比率は「推理7:ホラー3」
タイトルとなっている『うしろに立つ少女』という言葉やゲームの雰囲気から、「ホラー」は苦手!となってしまいがちですが、本作はホラー要素よりも圧倒的に推理要素の方が強いです。ストーリーに登場する怪談話「うしろの少女」は、ゲーム中でも非常に重要な要素ですが、それ自体の恐怖に立ち向かったり、「パニックホラー」な場面になったりといった要素はほぼ皆無。「なぜ怪談話が起きるようになったのか?」という謎を解き明かしていくことが、事件解決への糸口になっていくという推理小説のような物語が展開していきます。ホラー系ゲームが苦手な人でも楽しめる範囲だと思うのでご安心ください!


■現代のゲームに通じる便利機能
ストーリー上に名前が挙がった人物の名前やプロフィールを自動的にメモしてくれる「メモ画面」機能がすごく便利。それなりに多い登場人物の名前や関係性をわかりやすく整理することができます。ゲーム中、人物の名前を指摘するような推理パートもあるので、「メモ画面」を上手く利用して、頭の中で事件を整理しておけばよりゲームを楽しみやすいです。

また、定期的に行うことになる「推理する」コマンドによって、集まった情報をその都度しっかり整理してくれるので、このテのゲームにありがちな、登場人物や状況の広がりによる混乱は全く起きませんでした。


■的確なコマンドの自動増減によって難易度は易しめ
選択できるコマンドは、状況によって増えたり減ったりします。また増えたコマンドは黄色い文字でわかりやすく目立って表示されます。これにより、今すべきことがわかりやすくなり、無意味に迷う場面が少なくなっています。これはゲームのテンポを上げる反面、推理のヒントとも言えるので賛否が分かれそうな機能ですが、筆者のような「コマンド式アドベンチャー」初心者には非常にわかりやすくてありがたかったです。


■自由度は実はあまり高くない
上記の弊害とも言えるかもしれませんが、場面場面でコマンド選択できる種類がそれほど多くなく、想像していたよりも自由な行動はできませんでした。流れに逆らった行動などもしてみたかったです。


■推理をすぐにぶつけられないもどかしさ
中盤から終盤にかけて、筆者の中で物語おけるひとつの推理がまとまり、やがて浮かんでいくわけですが、そこにすぐに突っ込んで行けないことが少しもどかしかったです。しっかりと物語の順番を踏まなければ、答えをぶつけたくてもぶつけられません。これも「自由度が低い」と感じてしまう原因のひとつと言えるかもしれません。

ただしその分、しっかりとした推理小説を読み解いているような違うベクトルの面白さが生まれているので、賛否や好みがやはり分かれる部分になるのではないかとも思いました。


■総評:思い出補正なしでも楽しめる普遍的推理アドベンチャー
筆者はこれまでコマンド選択式のアドベンチャーをほとんどプレイして来なかったのですが、オリジナル版・リメイク版を含めて初プレイの本作は、特にストレスなく最後まで一気にプレイすることができました。選択できるコマンドが展開によって増減したり、ゲーム進行上の失敗となるコマンドが存在しない(選択肢の総当たりをしても特に支障がない)など、人によってはややヌルく感じる部分もあるかもしれませんが、物語に介入しながら自分なりの推理をぶつけていく楽しみは、思い出補正なしでも十分楽しむことができます。

プレイ前のイメージしていた「ファミコンからのリメイク」というネガティブイメージもあったせいか、グラフィックが想像を遥かに越えてにキレイに感じました。ドット絵で描かれたキャラクターは細かにアニメーションし、登場人物の細かな表情の変化まで描かれています。そんなドット絵の全盛期であるスーパーファミコンの末期らしい独特の美麗グラフィックをたっぷり堪能できることも本作の、特にリメイク版の魅力であると思います。

Wii U GamePadでプレイする場合は手元の小さめの画面で見る分、画面の密度が高まり、より美しく見えました。また、慌ただしいことをするジャンルのゲームではないので、特にGamePadでのプレイが快適に感じました。

タイトルなどから、もっと「ホラー」を連想していたのですが、思っていた以上に「推理」の要素が強く、最近見る機会の多い推理モノのテレビドラマが好きな人は、案外ハマれそうな気がします。筆者自身も意外と好きだったりします(笑)。また、エンディング後にもちょっとしたお楽しみ要素があったりと、随所に遊び心やユーモアがあり、飽きさせない作りにも好感です。

【こんな人にオススメ】
・推理アドベンチャーゲームが好きな人
・テキストアドベンチャーゲームが好きな人
・刑事・探偵モノのドラマ(日米問わず)にハマっている人

個人的には、これまでプレイする機会が多かった「テキスト主体のアドベンチャーゲーム」以上に、自分自身がゲームの世界に介入しているかような感覚になり、とても斬新な印象を受けました。物語の中に自分が入り込むという意味では、想像力を掻き立てられる最低限の画面情報(悪く言うと古臭い画面構成なのですが・笑)や、人物と話したり場所を調べたりするシンプルなコマンド入力がとても心地良く、こういったテイストのゲームは、まだまだ現役で楽しめるジャンルなのではないかなと思いました。

オリジナル版が1989年、今回プレイしたスーファミ版が1998年ということを考えても、思い出補正なしでここまで遊べるのは任天堂によるさすがの丁寧なゲーム作り。近年の推理アドベンチャーゲームの源流も感じれるかもしれません。興味を持った方は、ぜひWii U GamePadで、まったりとコマンド選択式アドベンチャーを楽しんでみてください。


【そそれぽ】第75回、いかがでしたでしょうか?夏休みも残りわずか!少年時代の筆者のように宿題をさっさと終わらせて、お父さんお母さんに文句を言われないゲームライフを残りの夏休みで満喫しましょう!(笑)次回もどうぞお楽しみに!


『ファミコン探偵倶楽部 PARTII うしろに立つ少女』は、好評配信中で価格は800円(税込)です。

(C)1989-1998 Nintendo


■筆者プロフィール
津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ
愛内里菜らに楽曲提供をし、VOCALOID音楽のクリエイターとしても有名な作・編曲家。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略SLGから格ゲーまで、幅広いジャンルのゲームをプレイする。
Twitter:@sososo291
ブログ:sososo activity
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