本タイトルの開発を手がけたサイバーコネクトツーの代表取締役・松山洋氏と、リードゲームデザイナーの中舎健永氏が、CEDEC2013にて講演を行いました。
『キャラクター版権タイトルにおけるゲームデザイン論』と題されたこの講演では、サイバーコネクトツーが開発した『NARUTO -ナルト-』と『ジョジョの奇妙な冒険』という2つのキャラクター作品を例に取り、人気あるキャラクターを使ったゲームとはどのようにデザインし、開発すべきかが語られました。
まず『NARUTO』を題材にした『ナルティメット』シリーズでは、原作を出版している集英社、アニメを製作するスタジオぴえろ、タイトルのパブリッシャーであるバンダイナムコゲームスと逐次協議を行い、製作を進めていくとのこと。
原作およびアニメで描かれたバトルシーンを再現するために、短く表現可能な部分はプレイアブルとして、長く迫力のある部分はシーンとして再現されているそうです。
また、原作が少年誌で掲載されていること・アニメがゴールデンタイムで放送されていることを意識して、レーティングを挙げない表現方法にこだわっているとのことです。一方、比較的ファンの年齢層の高い欧米版では、流血シーンなどを忠実に再現し、ファンのニーズに応えています。
『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』では、作品を愛するファンが大勢いることから、その期待に応えるべく驚異の作り込みをしているそうです。
キャラクターの仕様を決めた後は、原作から1万コマ以上という膨大な資料を抜き出し、挙動を決定。さらに「名ポーズ」「名擬音」「名台詞」の3つを自然にゲームに落とし込むために、スタイリッシュムーブや挑発などのプレイアブルなシステムを搭載。さらにはユーザーの交流時に使用するカードにセリフを乗せるなど、さまざまな方法で原作再現をしています。
『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』では、単なる格闘ゲームを作るよりも、『ジョジョゲー』を作ることを意識したという中舎氏。体験試遊会を6回実施し、ユーザーの意見やスタッフの感覚を受け入れて修正を繰り返し、最終的には2ヶ月延期という事態になってしまったとのこと。これについては、反省しなければならないと述べています。
最後に松山氏が、版権タイトルでゲームを制作するときに最も重要なこととして「その作品に世界一の愛を!」という言葉を述べました。妥協して作れば、開発者もユーザーも不幸になる。それだったら、やらないほうがいいと熱く語る松山氏。実際『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』でも開発段階ではかなり赤字になってしまっているとのことです。これほどまでに作り込まれた作品が、どのようなものに仕上がっているのか、リリースが非常に楽しみですね。
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