大きな特徴といえば、清々しいほどに大胆なアレンジを施されたキャラクターたちかと思います。現に本多忠勝がロボットアレンジで登場した時には、当時高校生だった筆者も大変驚いたものでした。
そうなんです。明日1月23日発売の『戦国BASARA4(以下、4)』はシリーズ10作目のタイトルであり、すでに2005年の初代から9年が経っています。その積み重ねてきた9年の間にはアニメや舞台、実写ドラマ化や宝塚歌劇団での公演など話題に事欠かない大進軍を見せてきました。ゲームをプレイしたことがなくとも、さまざまなコンテンツから情報が入ってくる『戦国BASARA』の魅力を、改めて山本真ディレクターと門脇章人プロデューサーにお話を伺いました。
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左:山本真ディレクター/右:門脇章人プロデューサー
――『戦国BASARA』は、シリーズプロデューサーとして小林裕幸氏がイベントなどに登壇することが多いかと思います。改めて、小林氏との関係性と自己紹介をお願いできますか。山本:そうですね、小林とは初代『戦国BASARA』の立ち上げから一緒にやってきて、僕はシリーズディレクターとタイトルごとのディレクターをやっています。
門脇氏:僕は『3』が発売したタイミングでチームに入りました。プロデューサーとしてプロジェクトの立ち上げから売っていくところまでを小林と見ていきますが、当初からの小林と山本という二本柱は変わっていません。
――と、いうのは?
門脇:チームにやってきた、『4』でいう島左近や柴田勝家のような新しい息吹ですよ(笑)。今回で言うと、小林、山本、門脇の3人でプロジェクトの目標やコンセプトを決め、山本が作りたい作品をキチンと作れる環境や、実現できる状況作りなどに注力して制作を進めてきました。
山本:3人体制になって、広がりの部分がきっちりできるようになったと思います。相談できたり、握れる人間が居ることで、そこから「じゃあみんなで広がっていこうか」という状況になれるワケです。
――ありがとうございます。実は、インサイドは以前に『4』のエンディングを務めるSCANDALさんへのインタビューをさせていただきまして。これは、社員のひとりが大ファンということで実現したんですよ(笑)。
山本:僕もそうなんです!
――え!
門脇:僕も、そうなんです!
――ええッ!?
山本:左近と勝頼はSCANDALさんの曲を聞きながら制作したんですよ。若い息吹で疾走感あるイメージがピッタリで。これは個人的なことですが、SCANDALさんはエンディングの候補がいくつか挙がっているなか、あとから入れてもらいました。キャッチコピーの「戦国創世」というのも、エンディングを迎えてそこから自分の時代がスタートするので、暗い楽曲にはしたくなかったのが候補に入れてもらった理由ですね。
門脇:ファンということもあって書いてもらいたい楽曲イメージもすでにありましたし、エンディングになると決まった時は嬉しかったですね。
山本:SCANDALさんの曲はエンディング以外にも演出として挿入されているシーンもありますので、楽しみにしてほしいです。
門脇:プレイしていたら、絶対テンション上がると思います。
――私事になるんですが、今回改めて『戦国BASARA』を振り返ると9年が経っていて驚いたんですよ。私はアラサーになり、小学生であれば大学生となって自らゲームを購入できるタイミングに、そしてティーン世代が手に取る時にすでに『4』の冠がついていることになるんだなって。これは改めて、『戦国BASARA』について聞かないと!という気持ちで今日は来ました(笑)。
山本:!
――!?
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――なるほど。『4』の開発はいかがでしたか?
山本:開発自体は2年で、エンジンからひと手間もふた手間もかけて乗り換え制作してきた2年だったのでなかなか大変な……。その状況で、『戦国BASARA HD Collection(※『1』『2』『英雄外伝』のHDリマスター)』も作ってたんですよ!
門脇:そうですね(しみじみ)。
――門脇さんにも思い出がありそうですね。
門脇:『HD Collection』は、展開されていったコンテンツへのゲームからの提案という意味合いや、『戦国BASARA』を今知った人にも触ってもらえるアイテムとして、『4』の製作で開いてしまうだろう時期に出せてよかったです。
山本:大変でしたよ(キッパリ)。
――しかし、そこで追いついての『4』なわけですね!
門脇:タイミング的にはちょうどハマったなと(笑)。
山本:「戦国BASARA3 宴」の時にですね、「第1回 BSR48選抜総選挙」というイベントもやって、キャラクターごとのポスターと公約PV。『HD Collection』の時には投票結果に合わせ、実際にドラマCDや1位になった伊達政宗のPVも作りました。作品外で制作するものもたくさんあったんですよ。
門脇:『3』『宴』『HD Collection』『4』の間は、凝縮された時間を過ごしましたね(ニッコリ)。
――イベントといえば聞いておかないといけないことがひとつ。こう、イベント取材を重ねていますと、女性が多く参加しているので、『戦国BASARA』は女のコのコンテンツという先入観を持たれる方もいるのでは?
山本:初代から『戦国BASARA』と戦国ブームの関係が深いところもあるので、やっぱりそういったイメージを持たれている方もいるかも知れませんね。
――購入に関しては実際どうなんでしょう。
山本:男性の方が多いです。
門脇:購入に関しては圧倒的に男性が多いですね。
山本:その他のアクションゲーム作品と比べると、女性の購入比率というのは少し多いタイトルだと思います。それに、みなさん行動力や発信力がとても強いのでありがたく思っています。
門脇:僕もそうなんですけど、男性は好きなものがあってもイベントごとにはグッと意欲的に行けないところがあって腰が重たいといいますか、興味はあるんですけどね。
――興味深いお話ですね。行動力といえば、カプコンバーにプライベートで伺った時に、『戦国BASARA』好きの女性がカウンターに一人ずつ座っていて。なんでそれがわかったかというと、彼女たちは好きな武将のストラップだったりシールだったりを身につけているんですよね。
山本、門脇:(うんうん、とうなずく)
――「あ、幸村好きなんですね!」と知らない人同士が話を弾ませている姿を見て。
山本:なかなか話しかけられないですよね、男性同士だと。
――「アイツも同じニオイがする」ぐらいで心に留めているような(笑)。
山本:似たような話だな、と思うのが週刊少年ジャンプですよね。男性であれば本当に多くの人が読んでいるであろうコンテンツですが、イベントごとや創作物となると女性が積極的な印象を受けますから。
――さて、改めて山本さんから『戦国BASARA』というものを説明すると、どのような表現になってきますか。
山本:戦国時代を舞台に、ありえないキャラクターの解釈に驚きつつ、意外と歴史をモチーフにしていますので史実のプチ勉強にもなるタイトルでしょうか。
――意外と(!)。
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――勉強だけではなく、旅行が楽しくなったという声は筆者の周りでも多く聞きます。
門脇:そうですね!たくさんのエンターテイメントが融合した作品になっているので、時代やキャラクターがいろんなことへの興味のキッカケになることもあると思います。
山本:ゲームのなかで突然ロボットモノのノリもあれば、演歌も流れてくる(笑)。他ジャンルのエンターテイメントを戦国時代に詰め込んだゲームだと思ってもらえれば。
――そのキャラクターたちが織りなすドラマが、また魅力的なんですよね。
山本:笑う、泣ける、ホラーもある。しかも、キャラクターの側面がほかのキャラクターで垣間見えたりもするので、すべて遊んでいただきたいですね。
門脇:『4』のプレイアブル武将は32人ですから、全部をやろうと思うとそ~とう時間がかかると思いますので、1年かけてでも全員遊んでほしいぐらいです。このディスクにはパンパンにいろんなものが入っていますから(笑)。隅々まで全て味わってほしい。
――宝塚歌劇団花組公演「戦国BASARA」の制作発表会では、上杉謙信とかすがの関係性は山本さんと話し合って宝塚歌劇団のような演出で描こうとスタートしたお話を小林氏から伺っていたので、こちらもエンターテイメントの内包ですね。
山本:ええ。キャラクターの個性やノリでいうと、日本ならではの少年漫画やアニメのノリを大事にしながら制作してきました。その半面、日本でいう戦国時代というのは貴重な時代でしたし、日本人が通ってきた道を描くことも意識しています。
――あと、キャラクターに目が惹かれた時に、ハッと意識させられるのが「色」と「デザイン」ですよね。
山本:『戦国BASARA』というのは珍しいケースが多々あって、たとえばT.M.Revolutionの西川貴教さんに毎回主題歌を歌っていただいたり、キャラクターの衣装もCGやコンセプトにより質感は変わってきていますが、デザインは変わらなかったりするんです。ゲームではデザインを変えたら新作だというイメージがあるんですけど、漫画やアニメのような「○○だったらあの衣装」という、モデルが発達しながらもキープしている部分があります。
――シリーズを遊んだことがない人は、過去作や他のコテンツにアクセスしやすいのがいいですね。そして、『4』では鮮やかな色彩から一転白黒の墨絵のテイストが加わりました。
山本:戯画バサラ技ですね。より和風スタイリッシュで攻めてみたいなと思ってのつくりで、「新章突入」として新しい『戦国BASARA』を感じる息吹のひとつかと思います。
――キャッチコピーの「戦国創世」にもかかってきますか。
山本:そうですね、『4』では「つくる」というテーマがいろんなところで入っていて、陣形合体も兵士たちが「つくる」、戦友指令では自分でシチュエーションを「つくる」、そして『戦国BASARA』ならではの時代を「つくる」といった具合です。戯画バサラ技では墨絵を「つくる」という意味も含ませられたら面白いと感じて採用しました。
門脇:戦友との連携やコンボを「つくっていく」にも繋がっていますね。
――アクションまわりについても改めてお願いします。
山本:カプコンというのはアクションゲームの制作が得意な会社です。60フレームのゲームというのは最近では珍しくなってきているんですが、シリーズのナンバリングではキープしています。ボタンひとつで斬って、困ったら必殺技という爽快さがありながら、ボタンひとつのなかでもレバーを入れながらといった複雑な操作性も行うことができます。
門脇: ライトなかたはボタンひとつでカッコよく斬れる、コアなかたにはコンボが決まる気持ちよさや突き詰めた時に感じることのできる達成感が、『戦国BASARA4』には特に準備されています。
山本:難易度を設定したり、縛りプレイもできるんですよ。
――『4』において、やり遂げたなと思う要素はありますか。
山本:「戦国創世モード」ですね。エンターテイメントを作りたいとやってきたシリーズの中で、広がっていったアニメや舞台から僕も勉強させてもらいました。このモードは、最初から最後までがひとつの映画だったりドラマだったり、駆け抜けて行くんです。戦国ならではのシチュエーションがどんどん変わっていくというのも特徴的で、特定の武将であっても1回目と2回目ではプレイが変わってきます。そのへんが落とし込めたことと、自由度のあるゲームが作れたかな、ということで注目してほしい反面、反応がドキドキですね。
――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
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山本:「新章突入」ということで新しい要素がたくさん入っています。これまで遊んできた人も、『4』で初めて遊んだ人も、これが面白いなと思ったことがあればどんどん広めていってほしいですね。『1』の時のように、「変な戦国武将がいるよ」みたいな話でもいいのでよろしくお願いします。
門脇:長い間お待たせしました。40武将が登場する「戦国創世」というところで、立ち上げ当初から完成までの僕たちスタッフ一同の思いがふんだんに詰まったボリューム満点のディスクになりました。プレイするたび新しさを感じながら遊べる「戦国BASARA4」です。是非、お友達にも勧めてもらえば嬉しいです。
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『戦国BASARA4』は、2014年1月23日発売予定。価格は通常版が6,990円(税込)、豪華版「百花繚乱魂手箱」が8,790円(税込)です。
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