本作はPC版の前作『レフト 4 デッド 2』のゲームシステムをベースに制作されているため、同作をプレイしたことがあるユーザーなら操作方法や武器・アイテムの使用用途、各種ゾンビの対応に戸惑うことなく、サクサクゲームを進めることができるでしょう。しかし、前作と同様にプレイヤーのスキルに応じて敵の数や出現時期を調整するAIディレクターを採用しているため、シリーズ初体験のユーザーでも無理のない快適なプレイを楽しむことができます。
また、原作はZ指定のタイトルになっているほどゴア表現が生々しい作品ですが、本作はアーケードタイトルということもあり敵の部位破壊や鮮血といったグロテスクな描写は全てカットされています。さらにフレンドリーファイアは健在で、ゾンビの群れに囲まれた乱戦時には味方への発砲に注意しなければいけませんが、豊富に用意された弾薬で思う存分トリガーハッピーを堪能できるのが本作最大の魅力。爽快感が求められるアーケード用シューターには最適なタイトルであるという印象を受けました。
■『レフト 4 デッド -生存者たち-』プロデューサー、山路哲由氏にインタビュー
――本作におけるValveとの関係や開発の経緯を教えてください。
山路:Valveと最初にコンタクトを取ったのは2004年です。当時はFPSが世界的な人気で、ちょうど『ハーフライフ 2』の開発中でした。日本ではそれほど普及していなかったFPSをアーケードとして広めたいという想いから同社にアプローチしたのが始まりです。その後、2006年に『ハーフライフ2 サバイバー』としてFPSのアーケード化を実現しました。そして『レフト 4 デッド 2』が発売された2009年には、『モンスターハンター』をはじめとする国内でのCo-opゲーム人気もあり、本作の制作に向けて本格的に動き始めたというのが開発の経緯です。
――声優によるキャラクターの演出を、前作のような洋画の吹き替え風ではなくアニメ調にアレンジした意図は何ですか。
山路:プレイアブルキャラクターを日本人メインに差し替えた理由にも通じますが、国内のニーズ、とくに本シリーズを初めてプレイするライトユーザーができるだけ受け入れやすい作品にするためです。国内ユーザーがメインターゲットである本作にとって、英語表現を吹き替えたものでは登場人物に感情移入し辛い部分があると判断しました。
――Z指定の原作タイトルをアーケード向けにリリースすることは挑戦的な試みであったと思いますが、本作実現への経緯を教えてください。
山路:ご存知の通り業界には一定の規定があり、アーケード化するにはゴアのカットは避けられません。出血量を少なくするとか、部位破壊の度合いを下げるとかではなく、完全なカットです。しかし、本作の醍醐味はグロテスクな描写によるホラーの演出だけではありません。原作を開発したValveも「万人にグロゲーをやらせる意図はない」としています。ゴア描写の扱いに関しては、『ハーフライフ2 サバイバー』リリースでの経験が糧となりました。
――キャラクターのアバターを自由にカスタマイズできる本作ですが、武器のデザインや装飾に関しても同様のシステムが備わっているのでしょうか。
山路:はい。同種の武器でも異なるデザインのものは用意しています。ただ、自分風にカスタマイズするというよりは、違うアイテムという扱いになります。余談ですが、ビーム兵器のような世界観を著しく損なうものは用意していません。
――最後に、本作に期待するファンへ一言お願いします。
山路:前作までのファンはもちろん、シリーズを初めて体験する人々にも、アーケードを通してFPSの魅力やCo-opゲームの醍醐味を幅広く伝えたいです。今後、本作が多くのユーザーに親しまれるようになった暁には、アップグレードにて対戦モードのような新要素も提案していきたいと思っています。
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