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『艦これ』ユーザーにはお馴染みの、英国ヴィッカース社。そこで生まれたのが、記念艦として姿を残す敷島型戦艦四番艦三笠。ロシア帝国に対抗するため作られた艦の一隻であり、日露戦争時には連合艦隊旗艦を務め、今は米海軍横須賀基地に隣接する三笠公園内にその偉容を留めています。
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今回のイベントは、記念艦三笠内部に設けられた特設展示中心。日露戦争当時や太平洋戦争当時の艦船模型に加え、海上自衛隊のものを加えた260隻が展示されています。展示内容は、大和や赤城、長門や雪風といった有名どころから、全長240mのB65型超甲型巡洋艦といった珍しいところまで幅広いラインナップの上、バルチック艦隊の姿も多く見ることが可能な充実度。明らかに「提督」と思われる人や、夏休みということでお子さん連れのご家族の姿もあり、熱心に撮影を試みる方達の情熱が伝わって来るかのようでした。
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海上自衛隊の護衛艦と太平洋戦争当時の海軍の模型は、なんとお一方の手作り。一隻一隻を大切に作られた近藤さんのご厚意により、ここ三笠に展示されています。独特なシルエットの龍驤や、千代田やお伊勢さんの艦載機がどこにどうなっているのかという部分や、何かのジョークにしか見えない北上さんの両舷四十門に及ぶ魚雷発射管など、これが本当に手作りなのかと訝しんでしまうほどのものでした。もちろん扶桑姉様のタワーも完全再現なので、思わずにやけてしまうこと請け合いです。
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一方、三笠を始めとする日露戦争当時の艦艇は、艦船模型サークルの「ミンダナオ会」が作製したもの。こちらは喫水線から上のみを模型化しており、近藤さんの作製したものに負けず劣らず細部にまでこだわったクオリティで、見る者を驚かせていました。
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『艦これ』的な要素はこの模型の一群ですが、その他にも見どころいっぱいな「記念艦三笠」では、多くの発見を得られるでしょう。
英国ヴィッカース社で作られたことを想起させる司令長官室の調度品や、主砲の直撃を防ぐ堅牢な司令塔。ハリネズミのように両舷から伸びる副砲や割と形がそのままの探照灯に加え、後部主砲の下に伸びる換装室・弾庫などの通路のアールといったところまで、想像すれば想像するほど機械的にも情動的にも心に迫るものがあります。
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主砲の下には多目的ホールが設けられており、団体客が来た時や何かを上映する際に使用されるそう。かつては主砲の換装室であり、乗組員の大部屋や各種設備の部屋でした。
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この三笠は、廃艦が決まって現在の記念艦となるまで紆余曲折があったため、当時のパーツの大部分は失われてしまいました。そのため上部のほとんどの部分がレプリカ。司令塔や主砲に至るまでが復元なのです。とはいえ、その大きさと迫力には圧倒されるでしょう。
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ドラマ「坂の上の雲」ではロケ地として選ばれており、副砲の弾込めや主砲のシーンが使用されています。
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――今回のイベントを開催された意図はどこにあるのでしょう?
齋藤氏:ここ最近、角川さんのゲーム『艦隊これくしょん』の影響を受けて、当時の歴史を知ろうという若い人たちが増えている、諸問題や領土問題を考える人たちが増えていると感じます。
そういった興味に応えるために、日露戦争当時の連合艦隊、ロシアの連合艦隊、それから太平洋戦争当時の連合艦隊、今の海上自衛隊の艦艇を含めた約260隻を展示して、さらに若い人たちに興味を持っていただこうと企画しました。
――まずは知ってもらおうと。
齋藤氏:そうです。まずは知っていただいて、そこから多くのことに興味を持って「識って」いって欲しい。入り口はどんなものでもかまいません。過去の正しい歴史を知ることで、平和への想いを持っていただければ幸いです。
艦内の色紙には、『艦隊これくしょん』の寄せ書きも増えています。登場キャラクターを書いたり、たまにコスプレの女の子も来たりしていますね。若い人たちの話を聞いていますと、ただゲームを楽しむだけではなく、そこから進んで「歴史を知ろう!」と考え積極的に学ぼうとする動きが出てきているように感じます。
――近代史は見送られがちですから……。
齋藤氏:三笠も角川さんが『艦隊これくしょん』で実装してくれれば、もっと皆さんに知ってもらえるんじゃないかなと考えています。機能ではなく、メモリアル的なもので。時代を象徴する艦であり、日本海海戦で勝利を収めて日本の独立を勝ち取った艦なので、そういった意味でももっと知っておいて欲しいですね。
――それでは今後の展開などを教えてください。
齋藤氏:ゲーム関係では、今のところこれと言ってありません。定常的に行なっているのは、カレーフェスティバルでしょうか。例えば、5月に行われたカレーフェスティバルには、この三笠公園内に5万人が来られました。また、自衛隊が行なっているカレーフェスも好評で、行列が横須賀中央駅にまで伸び、午前11時には売り切れてしまったそうです。
実は私も海上自衛隊のOB。船が出港すると、楽しみは食事くらいしかありません。元々は曜日を忘れないための「金曜日にカレー」でしたが、やがては「自分のところの方が美味い!」と互いに競って作るようになりました。
このカレーでもそうですし、もちろん『艦隊これくしょん』でも同様に、入り口はどんなことでもいいのです。皆さんが、正しい日本の歴史を知る切っ掛けの一つになれたら嬉しく思います。
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品川からだと京浜急行が便利。横須賀中央駅から徒歩10分ほどで三笠公園に辿り着きます。
JRで来られるのであれば、JR横須賀駅から徒歩2kmほど。その代わり、道程には自衛隊の護衛艦や米海軍のアーレイ・バーク級などを見ることができます。
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実際に、取材日には「護衛艦むらさめ」や「護衛艦てるづき」、第7艦隊所属のミサイル駆逐艦(イージス艦)「アーレイ・バーク級ジョン・S・マケイン」が停泊していました。その他、X舵が特徴的な「そうりゅう型」と思われる潜水艦なども見ることができるため、遠回りしてでも見る価値はあるかも知れませんね。
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さて、「AL作戦/MI作戦」も月末に向けて折り返し。筆者も仕事を終えて、週末から参戦します。資材は各19万から30万まであるので、気分は慢心。ゲージ回復もありませんからね、10時間以上張り付いて削る苦労を考えれば、まあなんとかHAHAHA。
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ツイッターなどでは雲龍ゲットの声も聞こえて来ますし、すでに運用している提督諸氏も多いことでしょう。筆者の身の回りでは、すでに最終海域(通称E6)へ挑み、苦しんでいる声がちらほら聞こえてきています。もし、大破撤退が続いたり戦艦棲姫×2という嫌がらせに疲れたりした際には、ちょっと息抜きに横須賀へ行き、海軍カレーを食べながらラムネを飲んで、三笠の主砲で記念撮影する……なんて夏はどうでしょうか?
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艦これの夏イベントは今月末までですが、三笠のイベント期間は10月31日まで続きますので、どうぞゆっくり、都合のいい日を選んでお出かけください。
アクセスに便利なのは京浜急行ですが、そうりゅう型などを見たければJRがおすすめです。
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記念艦三笠「艦隊コレクション」イベント案内
http://www.kinenkan-mikasa.or.jp/2014_event_img/kankore.pdf