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1月にカプコンが発表したPS4/PS3/PC向けオンラインゲーム『ドラゴンズドグマ オンライン』は、『ドラゴンズドグマ』シリーズ待望の本格的なオンライン専用タイトルとして注目を集めました。
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その段階では、本作品が4人プレイに対応し、F2Pであることが発表。オンラインかつF2Pという期待と不安、オープンワールドのオンライン化という疑問など、注目が集まる故に、「具体的にはどんなゲームになるの?」と気になるユーザーも多いことでしょう。
そこでインサイドでは、本作のプロデューサーである松川美苗氏と、ディレクターの木下研人氏にインタビューを実施。開発の経緯から、MOやMMOといったゲーム的な話まで詳しくお伺いしてきました。
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――改めて、『ドラゴンズドグマ』の紹介からお願いします。
木下:初代『ドラゴンズドグマ』(以下DD1)は完全新規タイトルとして、2012年にPS3/Xbox 360向けに発売されました。カプコンらしいアクションの気持ちよさやプレイの幅はもちろんですが、国産オープンワールドとして冒険できる点など、熱い意見を沢山頂いている作品です。また「ポーン」というシステムがあるのですが、本作では自分でクリエイトした「ポーン」を貸し借りできますので、ベッタリしないオンラインゲームとも言えます。
――いま“ベッタリしないオンラインゲーム”という表現がありましたが、本作は完全にオンラインゲームになりましたよね。
木下:そうなんですよ(笑)
――ではなぜ『ドラゴンズドグマ2』ではなく、『ドラゴンズドグマ オンライン』(以下DDO)なのでしょうか。
松川:『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』(以下ダークアリズン)(DD1の拡張版)の開発中に、『DD1』を遊んでいたユーザーさんから「マルチで遊びたい」という要望を沢山いただきました。「これマルチで遊べたらより完璧なのに…」とか「この自由度をマルチでプレイしたい」って本当に沢山(笑)でも当時はとても出来る状況ではなかったですが、そういったお声を沢山頂いたので、無理は承知で実現できるのかを『ダークアリズン』を開発する裏側で検証してみたんです。そしたら……何とか、なりそう。その代わりに、ほぼ全て作り直しだけど、それをやったら作れるという結論になりました。で、開発チームはずっと同じなので、流れ的に『DD2』ではなく『DDO』なんです。
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――ということは、『DD1』の構想段階では予定していなかったタイトルということでしょうか。
木下:『DD1』や『ダークアリズム』を作っていた時は予定していませんでした。ですが、『ドラゴンズドクマ』というタイトルを長く続ける上で、「次何をするのか」は必然的に考えますよね。その一つがマルチの検証であり、それが『DDO』を作ることになったきっかけです。
でも本当に検証から入ったので、最初は裸の男がチョップしているだけのゲームだったんですよ(笑)
松川:もうね、モデルもモーションも全部作り直しなの!というのも、オンライン用に通信だけでなく、すべてを再構築しないといけなかったんですけど、それを『ドラゴンズドクマ』のアクション性を保ちつつやるのが凄くハードルが高くて……。
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木下:僕自身は「緩やかなオンラインゲーム」という『DD1』のコンセプトは大事にしていたので、オンラインマルチプレイがお客様に届けられるレベルかどうかを判断したかったのですが「これは喜んでもらえそうだ」というレベルまでいったんですよね。そこから本腰を入れて、『DDO』という作品を作り始めました。
――そのような経緯があったんですね。でも既に公開されている画面や映像を見る限り、本当の苦労は“裸チョップ”を含めた検証ではなく、その後だと思うのですが。
木下:そこに関しては今なお苦労していますね(笑)先ほどもお話したとおり、チームは『ドラゴンズドクマ』のチームですので、まずはサーバーで作る部分と、クライアントで作る部分など。そこをコツコツ話して練り上げて、時には胴体着地を経験しつつ……。
松川:おぉお!よかった陸が見えたぞ!って感じです。(笑)
木下:っていう所の日々の問題とそれの解決をぶっ通しでやっています。
松川:前作は新しいタイトルを作るという苦しみだったんですけど、今回はそれにオンラインという凄く大きな遊びを足す苦しみがありましたね。それも『ドラゴンズドグマ』の既存要素を何も捨てずにでしたので、正気じゃない事をしていましたよ。
――裸チョップに胴体着地と波乱万丈ですね(笑)話を少しゲームの中身寄りにしていきますが、まずは使用しているゲームエンジンから教えていただけますでしょうか。
松川:MT Frameworkです。
――それはPS4版もでしょうか?
松川:PS4版はMT Frameworkをカスタマイズした上位版ですね。