スマートフォンを中心に、ダウンロードゲームは“よりリッチなもの”か、“よりシンプルで遊びやすいもの”か、2極化しているように感じます。前者は、最先端の据え置きハードに劣らないグラフィックやクオリティで勝負、後者はゲームの内容やアイデアで勝負、といった感じで、特に後者のゲームはレトロゲームの雰囲気に近く、ゲームの本質的な面白さを再確認させてくれます。
というわけで、今回プレイするのは任天堂のニンテンドー3DSダウンロードソフト『ハコボーイ!』です。
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配信開始から1か月以上経っている本作ですが、さまざまな方向から聞こえてくる評判がなかなか良いみたいです。しかし、どんなゲームなの?どんな人に向いているの?といった部分まではなかなか伝わってきていないので、そのあたりを掘り下げてレポートしていきたいと思います。それでは、早速プレイしていきましょう。
※画像はiPhoneで無理矢理Newニンテンドー3DS本体画面を撮影したものです。
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■極端にシンプルなグラフィックのパズルアクションゲーム
ジャンルはパズルアクションゲームですが、それ以上に気になるのは、とにかくシンプルな画面。色はほぼモノトーンで、重要なものだけ赤色。3D立体視にも非対応で、デザイン面からも“シンプルさ”が強調されています。プレイヤーは主人公「キュービィ」を操作して、体から作り出せる“ハコ”を上手く利用しながら、ステージのゴールを目指します。
■アクション性よりパズル性重視
操作で使用するのは十字キー(あるいはスライドパッド)とボタンのみ。「キュービィ」は、ジャンプしたり、しゃがんだりできますが、それ以上に重視されているのは、ハコを使った謎解き部分。ステージの障害物を、いかにハコを上手く使って乗り越えていくかというのが醍醐味となっています。そのため、ゴールまでの制限時間などもなく、じっくり考えながらプレイできます。ただし、ゲームを進めるほど、一般的なアクションゲームほどではないものの、ある程度のゲームプレイのテクニックも必要にはなってきます。
■ハコでいろいろな形を作る
ハコのひとつひとつは正方形ですが、連続していくつかのハコを出して形作った固まりにすることができるので、例えば、真っ直ぐ複数の並べて“橋”を作ったり、L字に並べて“階段”を作ったりと、ハコの使い方が無限の可能性を秘めています。ただし、ステージごとに一気に出せるハコの数は決まっているので、その範囲で自分なりのアイデアを絞り出してゴールを目指すことになります。障害物の乗り越え方(=パズルの解法)がひとつとは限らないのも魅力です。
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■王冠を集めてパーフェクトクリア
ステージ中には“王冠”がいくつかあり、「キュービィ」の通過でゲットできます。ステージのすべての王冠を集めてクリアすればパーフェクトクリアとなるですが、普通にプレイしていても取れないような場所に王冠が配置されていることも。しかも、一定の数のハコを出すと王冠は取れなくなってしまうので、やたらめったらにハコを出すのではなく、できる限り少ない手で、最善の手を考えることが重要になってきます。それほど難易度も高くないからこそ、狙いたくなるパーフェクトクリア。
■アクションは飾り
主体はパズル性にあります。ジャンプなどのアクションは、正直気休め程度で、結局のところそのアクションを活かすにもパズルを解く必要があることがほとんどです。もちろん、ステージのギミック、あるいは「キュービィ」の特殊な“技(アクション)”も含めて「パズルアクション」なのですが、アクションの技術だけでごり押せるようなことは基本的にないので「アクションパズル」ではありません。似て非なるジャンルです。
■5~6ワールドあたりから本番
序盤のステージは、ほとんどチュートリアルにあたります。「キュービィ」ができることを学びながらステージをクリアしていくといった感じです。それらの基本の応用が必要とされてくるのは大体5~6ワールドあたりから。繰り返しになりますが、解法はひとつではないので、自分の頭をフル回転させて、序盤で習得した「キュービィ」のアクション、あるいはハコの並べ方をうまく使って、ゴールや王冠を目指しましょう。
■ショップが適度なやり込み要素に
ステージクリアで貯まるメダルは、ゲームを進行するとオープンするショップでさまざまなモノと交換することができます。ゲーム攻略には特に役立たない(笑)見た目だけの「コスチューム」から、本編とは別のミニゲームを楽しめる「チャレンジ」など多岐に渡り、このあたりをコンプリートするのもなかなかのやり込み甲斐がありそうです。ショップの品揃えもゲーム進行とともに増えていきます。
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■同じステージをすぐにやり直せない
少し手前ですぐ再開される“クイックリトライ”は非常に便利ですが、ステージの“パーフェクトクリア”を逃してクリアした際に、そのステージをもう一度すぐに最初からプレイするリトライがなく、やや不便に感じました(ステージ中ならば、ポーズメニューからステージ最初からのリトライも可能)。次のステージに進むか、ワールドマップに戻るかの二択なので、後者を選んで、一度ワールドマップに戻り、当該ワールドの当該ステージをもう一度選び直す必要があります。パーフェクトクリアした人でも、更に良いスマートなクリア方法を探したい人もいると思うので、ステージのリトライ手段も更に柔軟なパターンがあったら良かったなと思いました。
■脳が疲れる
あくまでも個人の感想です(笑)。ステージの障害物を乗り越えるためのひとつひとつの仕掛け(=パズル)にけっこう複雑なものも多く、がっつりと頭を使うので、まるで「脳トレ」系のゲームをやったときのような脳の疲労感を覚えました。ゲームデザイン的にはサクサク遊べる仕様なのですが、それに脳がついていかず、休み休みやるとちょうど良いといった感じです。そのあたり、ビジュアルデザインを含めたゲームのコンセプト(手軽さ、シンプルさ)と内容(重めの謎解き)が噛み合っているのか、少し気になりました。
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アイデア勝負のシンプルゲーム!
何気なく脳トレ要素が高い気がする!!
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2015年に完全アイデア勝負のゲームができる喜びを噛み締めたくなります。ゲームの“面白さの本質”だけしか求めていないようにも見える、あえて極限までシンプルにしたゲームデザインも好感。ボリュームもかなりあり、値段以上にガッツリと楽しむことができます。
アクション性よりもパズル性が重視されていて、場合によっては「脳トレ」をしているような気分になるほど頭を使います(笑)。ステージクリアのための解法もひとつではないので、ハコを使ったアクションをさまざまに応用して自分なりの方法でゴールが目指せることも特長です。故に、自分の頭の柔軟さが丸出しになります(笑)。
LR同時押しで、すぐにちょっとだけ手前から再スタートできる“クイックリトライ”が非常に便利なので、間違いに気付いたときや、もっと良い手を見つけたときにどんどん活用していきたいところ。ステージに散りばめられた王冠を集めて達成できる「パーフェクトクリア」など、適度なやり込み要素も良い感じです。
【こんな人にオススメ】
・80~90年代のゲームの雰囲気(特にファミコンやゲームボーイ)が好きな人
・シンプルなゲームが好きな人
・アクションゲームがあんまり得意じゃない人
・落ち着いて遊ぶパズルゲームが好きな人
・隙間時間にちょこちょこ遊びたい人
・脳トレ系ゲームが好きな人
筆者はとにかく脳が疲れてしまい、自分の頭の柔軟さがいかに欠けているか実感させられました(笑)。なので、連続で一気に遊ぶよりも隙間時間に少しずつ遊ぶ方が向いているような気がしました。脳トレ系のゲームが好きな人はドップリとハマれるのではないかと思います!
【そそれぽ】第109回、いかがでしたでしょうか?今週、ケムコのセールで買った『D.M.L.C.-デスマッチラブコメ-』をプレイしてずっと寝不足気味だったことは内緒だぞ!次回もどうぞお楽しみに!
『ハコボーイ!』は、好評配信中で価格は630円(税抜)です。
(C)2015 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo
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津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ
作・編曲家・ライター。物心がつく頃にはMSXで『グラディウス』をプレイしていた無類のゲーム好き。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでニュース原稿執筆・ライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略シミュレーションゲームから格闘ゲームまで、幅広いジャンルのゲームをプレイ。
Twitter:@sososo291
ブログ:sososo activity
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