すでに公式サイトなどで既報の通り、Unity5では全面的といって良いほどの刷新が行われています。イベントでは大きく「物理ベースシェーダーなどを用いたフォトリアルな絵作り」「クラウドを活用したビルド」「オーディオデザイン機能の統合など、さらに強化されたエディター」「WebGLをはじめ、21種類にもおよぶマルチプラットフォーム」という4点が強調されると共に、さまざまなインディ開発者が登壇しました。
中でももっとも衝撃的だったのは、パーソナル版の機能強化でしょう。パーソナル版ではプロ版と同じエンジンを使用でき、従来通り無料で使用できます。プロ版との違いはチームライセンスやクラウドビルドのプロ版機能、現在はベータ版のUnity Analytics Proといったオプション機能の有無となっており、多くの同人・インディゲーム開発者にとっては、パーソナル版で十分だといえそうです。
イベントの最後に登壇したラッキー氏は、4月13日から5月11日まで開催される「Mobile VR Jam」について触れ、Unity5を使って参加して欲しいと呼びかけました。対象はサムスンとOculus VRが共同開発したAndroid端末「GALAXY Note 4」向けの簡易VRゴーグル向けアプリで、賞金総額が100万ドル(約1億円)以上。日本でもオキュラスコミュニティのさらなる活性化が期待されます。
またUnityの代名詞ともいえるマルチプラットフォームでは、新たにMozillaとの協力でWebGLがサポートされました。デモではブラウザ上で3Dアクションゲームがグリグリと動く様が紹介され、ゲーム体験の新時代を予感させました。日本でも『艦隊これくしょん~艦これ~』のヒットでブラウザゲームが再注目されており、Unity5でさらなる地殻変動がおきるかもしれません。
グラフィック面での強化では、ムービークオリティともいえるリアルタイムデモ「The Blacksmith」をベースに、リアルタイムライティングシステム「Enlighten」や物理ベースシェーダーなどの機能が紹介されました。中でも川の水面を赤色に変えると、瞬時に橋の下面に照り返しが表示されるという、リアルタイムのライトマッププレビューに関するデモは印象深いものでした。
エディタの刷新では、オーディオミキサーのデモが行われました。ディストーションやダッキングといった高度なサウンド演出も、Unity5ではプログラマーの手をわずらわせることなく、オーディオデザイナーが自由に設定することができます。このほかC#のコードをC++に変換することでパフォーマンスを向上させるIL2CPP技術では、ベンチマーク上で約8倍、実機上のデモで約3倍の効果が出たことが紹介されました。
Unityのイベントらしくインディゲーム開発者の登壇や、Unity Adsを用いたマネタイズ支援などの紹介もありました。イベントの司会は元EAのCEOとして知られ、昨年10月に新CEOに就任したジョン・リカティロ氏が担当。もっとも最後に「業界のビジョナリーで個人的なヒーロー」として、創始者のデビッド・ヘルガソン氏を紹介する一幕もあり、CEOが交替してもDNAは不変であることを匂わせました。
そのヘルガソン氏はUnity5のリリースを劇的な変化だと語った上で、同社とコミュニティとの関係性についても言及。「It’s not about what we’re making, it’s about what you’re making(私たち=ユニティが作り上げるものではなく、あなたがた=ゲーム開発者が作り上げていくもの)」と鼓舞して、イベントを締めくくりました。
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