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体験版では、車が故障してしまったノクトたちが、薄霧の森に出現する巨大なベヒーモス「スモークアイ」を討伐し、修理代を稼いで次の街に行くまでのエピソードを体験することができます。冒険するエリアは湖を中心に広大な草原を持つダスカ地方、ゴブリンが生息する暗いフォッシオ洞窟の2つのエリア。他にはモンスターを討伐したり、チョコボやアイテムを探すサブクエストもいくつかプレイ可能です。
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本作のバトルは、従来のコマンド選択式バトルから、ボタン入力によるアクションバトルに変わり、フィールドから滑らかにシームレスでバトルに移行するスタイルになりました。基本的な操作は、□ or Xボタンを長押ししている間は攻撃、L1orLボタンでガード、△ or Yボタンでアビリティを使用、MP最大時には「ファントムソード」を召喚し強力な攻撃やアビリティの連発が行えます。10体以上の敵と乱戦になる場面も多く、常に自分の立ち位置や攻撃対象を確認しないとあっという間に大ピンチに陥ることも。ポイントとなるのが、ターゲットに向け剣を投げ距離を一気に詰める技「シフトブレイク」。MPを消費して発動しますが、遠くの敵に先制攻撃を仕掛けたり、囲まれた場所から離脱したりと多用することになります。また、ステップやパリィなど駆使しての激しく動きながらの戦いが必須なので、操作は複雑になりました。
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風景や人物の美しいグラフィックが印象的な本作。フィールドを探索していると時間が経過し、夜間は洞窟に生息するモンスターが草原に出てくるといった演出も見られました。中でも召喚獣のムービーは圧巻で、体験版ではシリーズお馴染みのラムウが登場します。これまでも幾度となくお世話になってきた召喚獣でしたが、本作における圧倒的な大きさと破壊力は一見の価値あり。特に雷を落とした後、辺りのエリアが燃え尽きたような演出がされるのは感動しました。
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本作では、ストーリーに関係したメインクエストと自由にチャレンジできるサブクエストが存在します。クエストは、敵を背後から隠れて追跡するスニーキングミッションや、指定の場所におびき出す──といった、アイテム収集や敵を倒すなどのオーソドックスなクエスト以外のバリエーションも見られました。また、バトルやクエストで溜めた経験値は宿泊することで獲得できレベルアップするなど過去作にはないシステムがありました。
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パーティーメンバーは、主人公のノクト(ノクティス)、筋骨隆々としたグラディオラス、眼鏡の軍師イグニス、明るいムードメーカーのプロンプトの4名。移動中はヒントをくれたり何気ない会話のやりとりがなされ終始賑やかな雰囲気。バトル中は、誰がピンチになのか声で知らせてくれるので、視界に対象がいなくてもすぐに救援に向かえるなどの利点も感じました。
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女性キャラクターでは、シドニーが登場。サバサバした性格のエンジニアで、帽子で顔の表情がはっきりと見えなかったのは少し残念でしたが、大胆な胸元とセクシーなくびれは男だらけのパーティーに潤いが。体験版では車を修理してくれましたが、彼女の口ぶりからは違うものも修理できそうだったので、新たな乗り物の登場にも期待してしまいます。
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1987年にファミコン用タイトルとして発売された『ファイナルファンタジー』から28年。ファンタジックな世界観を舞台にしたRPGとしてスタートしたシリーズは、『ファイナルファンタジーIV』でアクティブタイムバトルシステムを導入、『ファイナルファンタジーVII』では3Dグラフィックスを採用、『ファイナルファンタジーX』ではキャラクターボイスが実装され、『ファイナルファンタジーXI』では初のMMORPGに──その後もハードの垣根を越えてユーザーに愛されてきました。
シリーズの最新作が全世界のユーザーから注目される中、2006年のE3で『ファイナルファンタジー ヴェルサスXIII』としてスタートした本作。開発が長期化し、多体制の変更に際してディレクターが交代するなどの懸念事項も多々ありましたが、今回の体験版で本作が目指す新しいファイナルファンタジーの形は垣間見ることができました。プレイ感覚としては、『ファイナルファンタジー12』で実現したシームレスバトル、『ライトニングリターンズ ファイナルファンタジーXIII』の攻撃コマンドを選択しライトニングがリアルタイムに行動をする──という要素を合わせたような印象。よりスムーズにプレイヤーが移動や攻撃・防御などのコマンドを、敵の動きやバトルフィールドの状態に合わせてリアルタイムに行動ができるアクションゲームに近いと思いました。
体験版クリア後には、ノクトたちの立ち向かう過酷な運命を予感させるようシリアスな雰囲気のモノローグのムービーが流れました。作中ではメインストーリーについて触れられる機会はありませんでしたが、全てを楽しめる時期はそう遠くないことに期待します。