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独特の進化を遂げる『人狼』 日本のゲームが海外で勝つ鍵はこの進化させる力?【オールゲームニッポン 第20回】

ゲームクリエイターで角川ゲームス代表の安田善巳氏と、ゲームアナリストの平林久和氏によるトーク番組「オールゲームニッポン」。第20回からは毎月末のオンエアとなります。

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ゲームクリエイターで角川ゲームス代表の安田善巳氏と、ゲームアナリストの平林久和氏によるトーク番組「オールゲームニッポン」。第20回からは毎月末のオンエアとなります。居酒屋のお供にぜひどうぞ。今回は両名が登壇したOGC2015の振り返りから、いまゲームクリエイターの間で流行しているという「人狼」について話題が盛り上がっていきます。



海外で勝つ鍵は「編集力」



土本
 
今回からオールゲームニッポンは模様替えをして配信しております。毎月末にその月の重要なトピックスを選んでおふたりにお話をしてもらいます。

安田
 
我々も登壇したOGC2015が4月24日に行われたので、まずはこの話をしましょうか。

平林
 
はい。OGCはオンライン・ゲーム・カンファレンスの略です。このイベントで安田さんが特別トークセッションに登壇されて、私がインタビュアーをつとめさせていただきました。演題は「2030年のゲーム産業を予測するキーワード」でした。

安田
 
2030年という年をピックアップして、ゲーム産業の未来予測と提言を行いました。5年先、10年先だと現在と何かがつながっていそうなので、あえて不連続な未来という意味を込めて2030年。また、日本のゲーム産業のスタート地点を1980年前後とした場合、産業が興されてから、ちょうど半世紀にあたるので2030年を設定してみました。

平林
 
いろいろなキーワードが飛び出しましたがオールゲームニッポン的に、もう一度語っておきたいのが「ゲームの国境は編集される」という話題です。今までのゲームビジネスでは、ざっくりと海外市場とくくられていましたが、そんなに単純ではない。国=国境の概念は混ぜこぜになっていくことを「編集」と表現されたわけですが……。

安田
 
今までのゲーム産業を振り返ると、なんだかんだといいつつもモノの貿易に近いことをしてきました。アミューズメントマシン、コンソールゲーム機ともに、まさに日本から海外に輸出されてきました。戦後の日本が成功した自動車や家電のビジネスモデル。「貿易立国」のイメージからソフト産業も抜け出せない面があると思うんですね。

平林
 
時代でいうと2000年を過ぎたあたりからでしょうか。日本国内市場はピークを迎えて、海外市場が注目されるようになりました。しかし、海外に出て行ける、やったーすごい! という高揚感ではなくて。海外に出ないとダメになってしまう……そんな切迫感に包まれていたように思えます。

安田
 
2000年を過ぎた頃に、海外市場が急成長して有望視されたのですが、とても皮肉なことに、その頃からゲーム文化の違いがはっきりとしてきました。日本のゲームソフト会社は海外市場に打って出たいのだけれども、海外市場の好むゲームは日本とは異なります。

平林
 
このオールゲームニッポンではたびたび触れてきた「FPS文化の違い問題」ですね。

安田
 
FPSという、たかがゲームジャンルの話のようですがこれは根深い問題でもあります。たとえばアメリカのゲームユーザーにとっての銃を撃って遊ぶことは、プレイヤーにとっての正義の表現です。アメリカ的な世界観での銃は、自由を勝ち取るためのシンボルでもあります。

平林
 
かたや日本人にとっては武士が持っていた刀は、ただの武器ではなくて魂のシンボルととらえるわけで……。

安田
 
市場は大きくて魅力的だけど、ソフトの好みは違う。長年の課題は、これからも続きますが、うまい解決策を発見してほしい。そのためのキーワードが「編集」です。たとえば、JRPGのようなジャンルのゲームだったとしても、海外にもファンはいます。地域別に市場を見るばかりではなく、ユーザーの感性や作品のテイスト別で海外のファンを掘り起こしていく。そっちの方向に進むことを期待しています。とりわけ2030年になれば、アジア市場が世界をリードしているはずですから、欧米中心だった海外戦略から転換しなくてはいけません。

平林
 
これは日本のゲーム会社は文化発信力を持て、という意味でもありますね。そのためには日本文化を自覚的に理解したつくり手、外国の文化になじませることに長けたマーケッターの役割が重要になるんでしょうね。

安田
 
角川ゲームスがすでにそうなってますが、日本のゲーム会社で働く人も、自然といろいろな国の出身者が集うようになっています。これからは世界の人材を編集してゲームをつくることも、当たり前になるんじゃないでしょうか。

平林
 
OGC2015では人材育成の話もされました。

安田
 
僕は基本的に2030年を楽観視しています。問題をあげたらきりがないのですが、画期的なテクノロジーとビジネスモデルは、きっと誰かが産んでくれるはずです。僕らソフトのつくり手は、そうした環境の変化に対応すればいいと考えています。肝心なのはその環境をいかせる人がいるかどうか、だと思うんです。

平林
 
これも昔からの習性でしょうか。どのハードが覇権を握るとか、次の流行は何になるとか。ゲーム業界人はえてして技術とビジネストレンドの話に敏感です。けれども、つぶさに見てみると成功した企業は、先端技術や新しいビジネスモデルに乗っかっただけではないんですね。そこには必ず人がいきいきと働いた痕跡が残されているものです。

安田
 
流行は追い切れないですし、流行を知ったところでそれが成果に結びつくとは限りません。ですからOGCに来てくださった経営層の方に、次世代のリーダーを育てましょうと呼びかけました。けれども残念なことに……

平林
 
え? 何か問題がありましたか?

安田
 
会場では「自らが考えて答えを持とう」と若手社員の皆さんに訴えたのですが、SNSで「ウチの会社では考えるなと言われている」と突っ込まれました(笑)

平林
 
その会社が今後15年かけて変わってくれることを期待しましょう(笑)。


次ページ: アップルウォッチより人狼

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