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台湾で人気ゲームを展開
土本
やっと涼しくなってきましたね。もうすぐ8月が終わりますが、安田さん、今月は台湾で発表会をなさっていましたね。
安田
はい。台湾に行ってまいりました。昨年リリースして100万ダウンロードを達成したスマホRPG『妖怪百姫たん!』の発表会を開かせていただきました。台北に拠点を置くカイエンテック社とライセンス契約を結んで、繁体字版をリリースします。繁体字ということなので、台湾と同時に香港・マカオでもリリースしていきます。『妖怪百姫たん!』のたんは物語の意味の「譚」なので、ゲーム名は『妖怪百姫譚!』になります。
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平林
おめでとうございます! 台湾・香港・マカオで使われている繁体字といえばアレですよ。中国語で画数が多いほうの漢字ですよね。中国大陸では、日本の漢字よりも画数が少ない簡単な文字、簡体字を使っています。
安田
繁体字と簡体字では画数が違うのですが、それだけではなくて言葉そのものが違ってるんですよ。たとえばトマト。繁体字では「番茄」と書きますが、簡体字では「西紅柿」と書きます。このように表記が違う単語がたくさんあるそうです。
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※4月に日本上陸し人気を集めているアイスモンスター
(次回配信は9月25日予定です)
■パーソナリティの紹介
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安田善巳 (やすだ よしみ)
角川ゲームス代表取締役社長、フロム・ソフトウェア代表取締役会長。日本興業銀行、テクモを経て、2009年に角川ゲームスの設立に参画。経営者でありながら、現役のゲームプロデューサーとして『ロリポップチェーンソー』『デモンゲイズ』などを手掛け、現在は『Projectcode -堕 天-』『Projectcode -月 読-』の開発に取り組む。
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平林久和(ひらばやし ひさかず)
インターラクト代表取締役社長。ゲーム黎明期の頃から専門誌編集者として従事。日本で唯一のゲームアナリストとしてゲーム評論、ゲーム産業分析、商品企画などの多方面で活躍してきた。著書に『ゲームの時事問題』『ゲームの大學』(共著)など。「今のゲームを知るためには、まず日本を知ることから」が最近の持論。 《平林久和》
平林
そうなんですか。
安田
ともあれ『妖怪百姫譚!』の発表会は大いに盛り上がりまして、今は一安心しています。
平林
ゲームにとっての海外市場というと、伝統的に北米とヨーロッパが中心でした。ところがここ数年、アジア全般の市場が急成長しました。本物の銃を触ったことがない人がFPS風のゲームをつくるよりも、慣れ親しんだ日本的なゲームをつくって、それをアジアで展開するほうがいいんじゃないか……という提言を込めてこのオールゲームニッポンが始まったので、『妖怪百姫譚!』、ぜひ成功させてください。
安田
はい。さっそくですが手応えを感じているので、期待してください。
土本
やはり今の台湾の方たちは親日的でしたか?
安田
おかげさまで現地では歓迎されましたね。ところで、よく台湾の人のことを親日的と言いますけど、日本のことが好きな外国人というイメージをはるかに越えて、ポップカルチャーに親しむときの感性は、日本と変わらないんだな、とも思いますね。今回、一緒に仕事をしたスタッフたちが、なぜか皆『クレヨンしんちゃん』が大好きだったんです(笑)。オフィスのデスクにはフィギュアを飾っているほどでした。しんちゃんのシュールな笑いを、日本人と同じように理解して楽しんでいました。
平林
私の台湾の友人は山崎パンの「ランチパック」が大好物で、日本に来ると、いろいろな種類を買いまくっています。あと、日本の大食いアイドルのことについてやたら詳しい台湾の知り合いもいます。
安田
そうなんですよね。日本の洗練された文化、グローバルで通用するメジャーな日本文化ではなくても。日本独特の一風変わった、奇妙で俗っぽい文化がすんなりと受け入れられています。ちなみに今回の発表会ではTwinkoという台湾の5人組アイドルグループが浴衣を着て発表会で登壇してくれました。
平林
アイドルに浴衣! 日本のゲーム業界、独特の文化ですね(笑)。ところで、これは私の勝手な解釈なんですが「わかっている」って一種のステイタスじゃないですか。ほかの人たちはわからないかもしれないけれど、私だけはわかっているというのは、ある種の優越感に通じますよね。
安田
いわゆる「お目が高い」という意味ですかね?
平林
それです。外国の人から見ると、理解するのが難しい日本文化です。その文化の細かなことを、ハイレベルでわかっていてお目が高いのが台湾だと思うんです。
安田
お目が高いといえば、逆のことも言えそうですよ。
平林
といいますと?
安田
今年の夏は、アイスモンスターがちょっとした話題になったじゃないですか。もとは台湾で生まれたかき氷ですよね。アイスモンスターが日本にやってきて、原宿のお店には長蛇の列が今でもできています。このブームを台湾の人たちはすごく喜んでいました。「日本の行列は長くて行けないだろうから地元のお店に行こう」と台北滞在中に何度も誘われました。実際の店舗に行ってみたら、かき氷の種類が想像していた以上に多くて、180種類もあるんです。かき氷の道を突きつめていました。つまりですね、アイスモンスターって、夏の食べ物であると同時に、現在の台湾を象徴するオリジナル文化でもあり、それを日本人が「わかった」ことを喜んでくれているように思えたんです。
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※4月に日本上陸し人気を集めているアイスモンスター
平林
なるほど、アイスモンスターを通じて、さすが日本、お目が高いと言われているような気がしたんですね。……こういうこと言うと問題がありそうですが言っちゃいます。日本の某ラーメンチェーン店と某定食チェーン店が、今、ニューヨークで大人気だそうです。ともに値段は日本の2倍以上します。ホノルルでは某うどんチェーン店の天ぷらが大人気だそうです。こういう話を聞くにつけ、申し訳ないですが、「え? あのフツーなお店なのに人気になっちゃうの?」と思いまして。こちらは、お目が高くない例ではないでしょうか。
土本
あ、そのチェーン店の名前は言わないでください(笑)。
平林
ところで、堅苦しい歴史の話をしてもいいですか。
安田
どうぞ。
平林
今日の話の流れでは、文化についてはわかりあっている日本と台湾ですが、歴史についてはどうなんでしょう。特に日本人は知らないことがすごく多いと思うんです。台湾の人たちは、過去に功績を残した日本人について今でも慕ってくれています。私は台湾のこうしたことを家庭でも学校でも教わりませんでした。恥ずかしいことに大人になってから学習したんですね。
土本
慕ってくれるとは? たとえばどんな人ですか?
平林
3年前に私が台湾に行った時でした。現地の人が一生懸命に「あそこが乃木大将のお母様のお墓です」と案内してくれたんです。乃木大将といえば乃木希典(のぎまれすけ)。日露戦争の司令官ですが、台湾でそんなに慕われていることは知りませんでした。
安田
乃木大将は台湾総督だったんですよね。
平林
はい。日本統治時代、台湾に赴任する際に乃木大将は老いたお母様を連れて行かれました。お母様は「腰掛けのつもりで働いてはいけない。台湾の土になるつもりでがんばりなさい」と言われたそうです。しかし、お母様は台湾でマラリアに罹患されて他界します。息子に土になれといったのだから、私の墓は台湾の地に残すようにと遺言したそうです。その墓が台北にあり、逸話が今でも伝わっているんですね。……日本人ならば当然知っていると思って、案内してくれたのですが、私は最初、意味がわかりませんでした。恥ずかしながら「乃木大将のお母さん? どうして?」って感じでした。
土本
確かにこういう逸話を知っている日本人は少ないですよね。
平林
はい。調べてみると、日本よりも台湾で有名な戦前の日本人がたくさんいます。台湾南部に巨大ダムを建設した技師・八田與一(はったよいち)は台湾の教科書で教えられているそうです。台湾で学校制度と水力発電を推進した明石元二郎(あかしもとじろう)のお墓も台北にあり慕われています。
安田
日本よりも台湾のほうが……からの連想ですが訪れる人も逆転していますね。1年間に台湾から日本を訪れる人は毎年200万人を越えていて、台湾の人口は約2300万人なので、10人に1人が日本に来る計算になる。たいして、日本から台湾を訪問する人は最近増えていますが150万人以下だそうです。というわけで、平林さん、土本さん。いつか台湾にみんなで行ってオールゲームニッポン出張バージョンをやりたいですね。
(次回配信は9月25日予定です)
■パーソナリティの紹介
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安田善巳 (やすだ よしみ)
角川ゲームス代表取締役社長、フロム・ソフトウェア代表取締役会長。日本興業銀行、テクモを経て、2009年に角川ゲームスの設立に参画。経営者でありながら、現役のゲームプロデューサーとして『ロリポップチェーンソー』『デモンゲイズ』などを手掛け、現在は『Projectcode -堕 天-』『Projectcode -月 読-』の開発に取り組む。
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平林久和(ひらばやし ひさかず)
インターラクト代表取締役社長。ゲーム黎明期の頃から専門誌編集者として従事。日本で唯一のゲームアナリストとしてゲーム評論、ゲーム産業分析、商品企画などの多方面で活躍してきた。著書に『ゲームの時事問題』『ゲームの大學』(共著)など。「今のゲームを知るためには、まず日本を知ることから」が最近の持論。 《平林久和》
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