魔女のキキは、13歳になる年のある満月の夜、魔女のしきたりで独り立ちするため、黒猫のジジと一緒に旅に出る。美しい大都会・コリコにたどり着いたキキは、心躍らせるが、初めて訪れる都会でトラブルの連続。そんな中出会ったパン屋のおかみさん・おソノの好意で、自宅に下宿することに。身重のおソノを手伝いながら、魔女としての唯一の能力=空を飛ぶ力を生かした「お届け屋さん」として働き始めたキキ。初仕事からピンチに立たされながらも、森で暮らす画学生・ウルスラや、街で初めて声をかけてくれた少年・トンボのお陰で、少しずつ新しい生活に慣れていく。しかし、当たり前に使えていた“魔女の力”が弱くなってしまい…!?
長編作品からの引退を宣言した宮崎駿監督が、“魔法”というファンタジックな世界観がありつつも、どこにでもいそうな少女・キキを主人公に、彼女が様々な出会い中で自立へ一歩を踏み出す姿を丁寧に描き、性別を問わず誰もが共感できるあたたかい成長物語として人気を誇る本作。これまでも「金曜ロードSHOW!」で放送されてきたが、前回放送の2011年7月8日から約4年半ぶりに今回放送されることとなった。
本作のプロデューサーを務めた鈴木敏夫は、本作の制作当時、宮崎監督が悩みに悩んで「何作ったらいいの?」と聞いてきたことを明かし、「原作はあるし、テーマもあるんですよ。テーマっていうかストーリーも。だから僕が言ったのは、『思春期』、こう言ったんですよ。『だって宮さん、思春期の人扱ったことないでしょ?』って」と告げたという。
「そしたら、宮崎駿監督は、観念を具体化するのがすごい上手い人で、そこが彼の才能だと思うんですが、紙ナプキンをパッと置いたんですよ。それで自分のポケットからね、細いマジックペンを出して、いきなり描いたもの…でっかいリボン。『これだね!』って言ったんですよ。『このでかいリボンがこの娘を守ってるんだ。それが思春期じゃない?』って。それがスタートでした。抽象的じゃなく、常に具体的・現実的。その大きなリボンが頭に載っかってるって、思いついたら後はスッキリなんです。それで、側にジジがいる。そうすると、リボンとジジによって守られる女の子…宮崎駿という人は、キャラクターをどうやって作るか、突然(頭の中に)降りてくるんです」と、制作秘話を明かした。
久々の放送ということで、今回の放送で初めて本作に触れる子どもたちに向けて鈴木さんは「大人向きの言い方になってしまうかもしれないけど、やっぱり世の中って現実だけじゃない、理想とか夢とかってあるわけで、現実以外の何かがあるんだってことを(子どもたちに)知ってもらえればと思います。現実原則ばっかりにしばられたら、人間ってつまらないと思うんですよ。そうすると、宮崎駿っていう人はね…もう少し現実に縛られてほしいんですけれど(笑)」と、メッセージを贈った。
「金曜ロードSHOW!」『魔女の宅急便』は、1月22日(金)より21時から15分拡大ノーカットで放送。
『魔女の宅急便』、4年半ぶりに放送!「金曜ロードSHOW!」
《text:cinemacafe.net》編集部おすすめの記事
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