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まずはアニメらしさを追求する取り組みについて、アークシステムワークスの「陰影表現」からスタートしました。アニメのセル画のような陰影表現はデザインされたものであり、コンピュータの計算処理ではキレイに表現が難しいとのこと。しかし、同社の格闘ゲーム『GUILTY GEAR Xrd』ではセル調の表現をリアルタイムで実現するために、あらゆる手段を動員して陰影の出方をデザインするという手法を取りました。
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具体的には、テクスチャと頂点カラーを使用し出したい場所に影を出す、陰影の乱れを法線の編集で回避、法線を編集することで任意の形状の陰影をデザインなど、陰影をコンピュータが実装できるように作っているとのことです。さらに、3Dツール上でのリアルタイムプレビューとゲーム実機上での画面が同じになるようにリアルタイムシェーダーを組んでいます。本村氏は、「結果をリアルタイムで確認しながら制作できるのは非常にメリットですが、モデルを作る時間が1.5倍ぐらいかかります」との苦労も語っていました。
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続いて、サイバーコネクトツーによる同社の格闘ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』を例に、「原作再現」についての解説が行われました。「動く原作イラスト」をコンセプトに、テクスチャの解像度に依存しない密度の調整が可能なハッチング、濃度のコントロールが可能なメリハリのある印影表現、均一ではない太さに変化のあるアナログなアウトラインを実装しているそうです。
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次に、神風動画によるスマートフォン向けアプリ『アイドリッシュセブン』の事例が紹介されました。ここでも原作イラストを再現するために、3Dモデルを制作後はポーズを付けてデザインを確認。さらに2D独特のほつれ毛や、どの角度から見てもキャラクターに見えるようにかきあげのモーフを付け足すような工夫をしています。
ここからはアニメーションらしい表現の事例が紹介されました。はじめに、サイバーコネクトツーの格闘ゲーム『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4』の「フェイシャル表現」について。感情がダイレクトに伝わるようなフェイシャルアニメーションを実現するため、目元と口元を中心に細かくリグを組んで制御し、顔全体を変化させる誇張表現をしています。こうしたフェイシャル表現では収まらない作画表現は、専用の3Dテクスチャを顔に貼り付けイラスト調のタッチを作っています。
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続いて、サンジゲンが手がけたTVアニメ『ブブキ・ブランキ』の事例が紹介されました。サンジゲンではアニメらしいいきいきとした表情を実現するため、まず1体のキャラクターに対して80体近い大量のモーフターゲットを作成します。また、作画崩壊もいとわないアニメーターによった独特の表現やフェイシャルリグを使用してアニメーションを作っています。
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「リミテッドアニメーション」とは、実写映画などは1秒間に24コマの連続した絵を見せるのに対して、1秒間を8コマで表す日本のアニメ独特の表現です。サンジゲンではこの手法を積極的に取り入れ、基本的に1秒間に3コマで制作しAfter Effectsで調整してアニメらしい動きを実現しています。加えて、止め・スライドという平面的に動かすアニメ的表現を利用することで、見慣れたアニメらしさを出しているそうです。
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一方、アークシステムワークスでは、フレーム間の補間を一切使わずに1コマづつ作っていくストップモーションアニメのような作り方をしています。手間はかかりますが、画面に出てるコマがすべて見せたいコマなので印象的なポーズが目に焼き付きやすく、表現力は上がっているとのことです。
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神風動画では、CGモデルで「フェチズム」の追求にこだわりを見せていました。カットごとにキレイに見えるようなお尻専用のモーフを作成して、チラリズムを表現しているとのこと。サンジゲンではそれに準ずる乳ボーンなるリグもあるらしく、それぞれのあくなきフェチズム追及が伺えました。
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最後に、各社の未来に向けた取り組みについて紹介がなされました。サンジゲンとサイバーコネクトツーではモーションキャプチャーに力を入れており、サンジゲンでは撮影したもののコマを落としてアニメらしくする見せ方に挑戦しています。一方、サイバーコネクトツーでは、フォトリアル・ノンフォトリアルどちらにも活用できるクセのないモーションライブラリの作成を行うことで工数を落としているそうです。神風動画さんは女性スタッフが活躍しており、現在社内の女性の割合は6割。アーティストの倖田來未さんのPVを手掛けるなど、女性らしい感性で取り組める仕事も増えているとのことでした。以上で講演は終了となりました。