アトラスのPS4/PS3ソフト『ペルソナ5』の発売から早2週間が経過した。「本作の最大の敵はラスボスではなく、その圧倒的なボリュームだろうと」と解釈している筆者だが、プレイ時間が80時間を超えたあたりに無事エンディングを迎え、今まさに「この気持ちを誰かと共有したい!!」という思いでいっぱいだ。ただ、ネタバレの視点から中々言葉にすることが難しく、Twitterで呟こうにも内容に悩んでしまう。一度悩みだすと全てがネタバレの様に思えてくるのだ。
そこで今回は、アトラスに内容を事前に確認してもらい、“『ペルソナ5』はどこが面白いのか”という記事をネタバレなしで書いていこうと思う。なお、基本的な概要などはあえて割愛しているので、まったく知らないという方は、先に公式サイトをご覧頂きたい。
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『ペルソナ5』をプレイする直前、よく「ゲームの面白さとは何だろうか」と考えていた。というのも、本作発売前後というのは『シン・ゴジラ』『君の名は。』『聲の形』という素晴らしい映像作品が立て続けに公開された時期で、ゲームをプレイするモチベーションがかなり下がっていたのだ。何十時間かけてプレイするゲームと同じかそれ以上の感動や高揚感を、これらの作品に感じてしまったからである。また、これは完全に私の好みの問題だが、ここ最近は心躍るゲームに出会えていなかったのも影響しているように思える。クリア前に満足し、心のどこかで「早く終わらないかな」と思いながらゲームを消費していたのだ。
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だが『ペルソナ5』をクリアしてスッキリした。「やっぱりゲームって面白いな」と清々しい気持ちである。本作では高校2年生の約1年間を体験することになるが、その期間をどう過ごすかはプレイヤーに委ねられる。もちろん何日かはメインストーリーの進行に当てられるが、それ以外の時間は、バイトをしてお金を稼いだり、読書をして知識を蓄えたり、洗濯をして服を洗ったり、政治家と一緒に過ごしたり、恋人とデートしたり……と、様々な行動項目の中から好きなものを選択できるのだ。
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本作では、この“自分で選択する”という要素が非常に上手く取り入れられており、どの行動にもメリットがある。そしてワクワクやドキドキが詰まっており、まったく無駄がなく、それでいてオリジナリティに溢れ、オーソドックスでもあるのだ。『ペルソナ5』には様々な魅力があるが、一番大きな魅力は“主人公=自分として体験できること”だと思う。本作の公式サイトに「主人公はあなた」と書かれているとおり、本作の物語は“あなたの物語”だ。だから80時間なんてあっという間だし、ストーリーが進むにつれて「終わらないでくれ」という願いが強くなっていった。
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そしてゲームでの体験が、現実の生活にも影響を与えていることに気がついた。分かりやすいのだと「人と繋がっていたい」だろうか。本作をプレイしてから人と会う頻度が高くなり、より一層人との繋がりを大切にしたいと思うようになった。また細かなところだと「コーヒーについて知りたい」とか「家に友達を招きたい」とか「銭湯に行きたい」とか「鞄に猫を入れたい」などを思うようになり、なんだか自分の生活が豊かになった気がする。ここまで熱狂した作品は久しぶりであり、それを実現させたセンスと拘りに脱帽だ。
そう考えると、どうやら私も“更生“を成しえたようだ。これが『ペルソナ5』の体験であり、ゲームならではの魅力なのだろう。だから『ペルソナ5』は、そしてゲームは、面白いんだ。
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『ペルソナ5』は発売中で、価格は通常版が8,800円(税抜)/豪華版が13,800円(税抜)です。
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