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【インタビュー】原作の“哲学”を込めたい―『攻殻機動隊 S.A.C. Online』開発者に訊くそのこだわり

先日オープンベータが開始されたネクソンのオンラインFPS『攻殻機動隊 S.A.C. Online』。今回は、本作のプロジェクトディレクターを務め、「攻殻機動隊」シリーズの大ファンでもあるChoi Jung Eik氏にインタビューを行いました。

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先日オープンベータが開始されたネクソンのオンラインFPS『攻殻機動隊 S.A.C. Online』。今回は、本作のプロジェクトディレクターを務め、「攻殻機動隊」シリーズの大ファンでもあるChoi Jung Eik氏にインタビューを行いました。人気シリーズのゲーム化に関った時の心境や、作品への愛、初心者が使用するべきキャラクターなどを語ってもらいました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――日本で『攻殻機動隊 S.A.C. Online』を発表したときのユーザーからの反応はどうでしたか?

Choi Jung Eik氏(以下、Choi):
「攻殻機動隊」というIPを使うということで、憂慮されると共に期待してくれているユーザーもいるんだなということを感じました。また韓国の開発会社が「攻殻機動隊」のゲームを制作することが、不思議というか珍しいという反応もありました。

――「攻殻機動隊』をゲーム化にするのに当たって再現するのに力を入れた部分を教えてください。

Choi:
「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の持っている魅力を最も重要視し、原作の哲学をFPSに込められるように開発を続けました。チームワークなどFPS開発に当たってのアイデアもそこから来ており、その部分に力を費やしています。FPSと「攻殻機動隊」のハッキングという要素を、上手く調和させることができるか、というのも熟考しました。また、FPSのPvE(プレイヤー対AI)という部分でもチームワークを表現できればと思っています。


――Production I.Gなどの原作サイドと協力して制作した部分はどのような部分ですか?

Choi:
Production I.Gや講談社など原作サイドとのやりとりは、リソースの段階から細かくやりとりをしています。武器やアイコン、そしてキャラクターの髪の色など、全ての領域において緊密にコミュニケーションをとっています。今現在、新キャラクターを準備しているところで、「攻殻機動隊」の世界観を壊さないように気を使っています。

――『攻殻機動隊 S.A.C. Online』を使ったe-Sports展開は考えているのでしょうか?

Choi:
まだ準備段階なのですが、ツールなどを考えて開発を続けています。本作にはゴーストスクリーンという機能があり、ユーザーの情報を相互に見られるので、その部分にも注目して貰えればと思います。

――「攻殻機動隊」シリーズファンということに関する質問になるのですが、「攻殻機動隊」シリーズで好きなエピソードがあれば教えてください

Choi:
超が付くほど「攻殻機動隊」ファンなのですが、「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」における13話「顔 MAKE UP」で色々な義体を使うシーンが今でも脳裏に焼き付いています。パズを愛した女性が、そっくりそのままの義体を着ているというアイデアに大きな衝撃を受けました。


――今回のゲーム化に関われたことは嬉しかったですか?

Choi:
このプロジェクト始動時に当時の代表が開発者を集めたのですが、その場では「攻殻機動隊」のゲームという話はされておらず、皆で飲みにいった時に「うち、攻殻やるから」という話を突然されました。私は「攻殻機動隊」が超好きなため、かなり驚愕してしまい、その日はそのまま一日お酒を飲みました(笑)。丁度それから1年後に、日本でサービス開始するよという発表をしたときは、ユーザーの反応から「えらいものを引き受けてしまったな」と思い、その日も一日お酒を飲んでしまいました。

――そうなると開発時には大きなプレッシャーを感じていそうですが…

Choi:
やっぱり、ユーザーからの関心が本当に高いというのを実感していました。ゲーム化するに当たって、外見もそうなのですが作品自体が持つ哲学や社会的なメッセージもあるので、FPSに落とし込んでいく中では心が折れそうになることもありました。

――日本でのオープンベータの反響はありましたか?

Choi:
そうですね、原作に対する期待が大きい反面、FPSというジャンルの特性上「原作を省みていないのではないか」という反応があるというのも見ています。北米やSteamでの展開も含めてずっと前からフィードバックも受け取っていますし、それを含めて改善し努力していこうと思っています。

――開発するにあたって生まれた好きなマップ/オススメマップというのはありますか?

Choi:
自分が「攻殻機動隊」の大ファンなので、マップ「公安9課」を楽しんでいただければと思います。

――ちなみに、初心者オススメキャラクターはありますか?

Choi:
初心者は、トグサを使ってもらうとすぐゲームに適応できるかと思います。逆にサイトーは、経験者向けのキャラクターであり、北米では同キャラをなんとかしてくれと声が上がっています。


――キャラクターやこだわりの要素など、「ここは見て欲しい」という部分はありますか?

Choi:
カスタマイズの部分には注力していて、義体という概念などを面白く作って行ければなと思っています。前述の通り、Production I.Gと協力し「攻殻機動隊」の世界観を壊さないように大切にしながら試行錯誤を繰り返し、面白くなるように突き詰めて行きたいと思っています。


――最後にオープンベータをプレイしている日本のユーザーに向けて一言お願いします。

Choi:
様々な意見を受け取っていますけれど、新しいチームワークをFPSとしてゲーム化したかった部分でもあります。私が「攻殻機動隊」を知らないわけではないので、もう少し努力したいです。ユーザーからの反応を見ていると「攻殻の仮面を被ったゲーム」という話も出ているので、もうちょっと頑張って行きたいと思っています。

また、本作は「FPS」というジャンル、新しい部分である「キャラクター」、ゲームの深みとしての「スキルシンク」、そして「カスタマイズ」という4つのコンセプトを立てています。この部分をユーザーの方々にお伝えしていきたいと思っています。

――ありがとうございました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

様々な話を聞けた今回のインタビュー。開発者自身も「攻殻機動隊」ファンであるが故に、原作の「らしさ」や込められた“哲学”をどのようにゲームに落とし込んでいくのか、試行錯誤を続けているようです。『攻殻機動隊 S.A.C. Online』は、基本プレイ無料タイトルとして現在オープンベータが開催中。正式サービス開始は11月末を予定しています。

《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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